日本との時差がマイナス2時間でありながら、年中ポロシャツと短パン、サンダルで過ごせる温暖な気候のタイは、毎年多くの日本人が観光に訪れる日本に馴染みのある国として有名です。日本と同じ仏教大国で、「微笑みの国」という言葉に代表される信仰深く礼儀正しい温和な国民性から、移住先としても人気なタイの在留邦人数は、現在7万人を超えています。そこで今回は、「なぜタイは、移住先として人気があるのか」その秘密に迫ります。
1 日本人に優しいタイでの生活
生活する上で欠かせない食において、タイは日本人にとても親和性の高い食文化と言えます。日本に多くのタイ料理屋があることからもわかるように、日本人にとってタイ料理は食べやすい外国料理のひとつです。現地のフードコートを利用すれば、日本より遥かに安い200~300円ほどでお腹いっぱい食べることができます。もし日本食が恋しくなってもバンコクには、日本食レストランが多く軒を連ねているので安心してください。富士スーパーという日本食材を扱うスーパーがありますので、日本米や醤油、味噌などを購入できます。ただし、輸入品扱いとなり、価格は日本の約2倍となるため、日本食ばかりの生活だと食費がかさむので注意が必要です。
1-2 公共交通機関が発達している
BTS(高架鉄道)やMRT(地下鉄)といった鉄道が発達していることから、移動に不自由を感じる事は少ないでしょう。BTS(高架鉄道)は、バンコクの都心を6時~24時まで約4~8分間隔で運行しています。運賃も16~44バーツとリーズナブルです。MRT(地下鉄)は、ホアランポーン駅(国鉄バンコク中央駅前)からバンスー駅間20kmを運行しています。しかも、シーロム駅、スクンビット駅、チャトゥチャック駅ではBTSの駅と連結しているのでスムーズに乗り換えることができます。運賃もBTS(高架鉄道)とほとんど変わりません。他にもタクシーやバス、トゥクトゥクやバイタクなどタイならではの乗り物もありますので、路上移動に関しては日本以上に利便性が高いと言えるでしょう。
1-3 水道・光熱費、通信費が安い
タイは、東南アジア諸国の中でもインターネット環境が整っている国のひとつです。通信費用については、月額2000~3000円(600~800バーツ)が目安となるため、日本で生活するよりも安く抑えることができます。Wi-Fiが無料でパッケージされている物件が多いことや、日本語対応可能な大手プロバイダー(TRUE、AISなど)があることも安心して暮らせる理由と言えるでしょう。また、水道・光熱費の単価が日本の約半分~3分の1程度と安いことが特徴です。ただし、気候が1年を通して蒸し暑いことから、環境になれるまではエアコンを使う頻度が多く、人によっては日本より金額が高くなるケースがあるかもしれません。
2 コンドミニアムでゆとりある暮らし
タイでは、外国人が土地を購入することはできないため、家を買う際はコンドミニアムを購入することになります。タイのコンドミニアムは、日本のマンションに相当します。バンコクでは、近年多くのコンドミニアムが建設され、外国人移住者を中心に高い人気があります。需要と供給のバランスが取れていることからも、条件の良い物件を探す上で、そこまで苦労することなく自分に合った物件を見つけることができます。価格は500万円~1億円以上と様々ですが、日本と同様の価格であってもトレーニングジムやレストラン、プールなど充実した設備が整っているため、日本よりもワンランク、ツーランク上の物件を購入することができます。
2-1 充実した設備でペットと一緒に生活する
基本的に、家電や大型家具は備え付けられていることに加え、24時間体制の警備や専属の清掃員がいることが多く、安心・安全面が十分考慮されていることも大きな魅力です。また、「ペットと一緒に暮らしたい」人にとってもタイは最適です。マレーシアやインドネシアなど、宗教上の理由で犬を外で散歩させるのが難しい国がある中、タイは愛犬と堂々と街中を散歩できます。日本語の話せる獣医やトリマーが都心部にいることや、ドッグカフェやドッグランなどペットと暮らす環境が整っています。ただし、ペットと一緒に日本を出国する際は、約6週間前から書類提出や検査、予防接種などの準備が必要です。手続きをきちんと行えば空港から一緒に引っ越し先の住居へ移動できます。
2-2 コンドミニアムを購入する手続き
まずはバンコクにある日系不動産会社に相談しましょう。そこで条件に合う物件を決めたら、不動産買い付け申込書にサインし、申込証拠金を支払い、予約手続きを行います。その後、売買契約書の作成やパスポートの確認、手付金などの契約手続きを行い、外貨送金を経て所有権の登記手続きへと進めて行きます。ここで大切なのは、タイで外国人がコンドミニアムを購入する際、購入金額相当の外貨をタイへ送金する「コンドミニアム法」に従い手続きを行うということです。日本で不動産物件を購入するように、金融機関でローンを組むことができませんのでご注意ください。日本と事情が異なるケースが多々ありますので単独での購入は控え、現地の日本語対応が可能な不動産会社に相談しながら、着実に進めていきましょう。
3 世代を問わず安心して長期滞在できる
観光のみであれば、30日までビザなしで滞在が可能です(イミグレーションで30日間延長可能)。それ以上の滞在となると、「学生ビザ」「就労ビザ」「リタイアメントビザ」のいずれかが必要となります。学生ビザは、文字通りタイの学校に通学する間有効です。就労ビザは、タイで就職・就労する人を対象に、タイにある企業のサポートを受ける必要があります。リタイアメントビザは、タイで就労せずに暮らせる財政基盤のある50歳以上が対象です(年金受給額が月額800,000バーツもしくは、銀行預金残高800,000バーツ以上)。このリタイアメントビザは、ノービザや観光ビザからタイでの切り替えが可能ですので、日本で必要書類を入手し、タイのビザ・エージェンシーにサポートを依頼すると安心して長期滞在のビザを取得できます。
3-1 年金だけでも豊かに暮らせる
経済成長に伴い以前のように「安いお金で優雅に暮らせる」ケースは少なくなりましたが、それでも現地のタイ人の生活費が月5万円ほどであることを考えると、日本からの年金だけでも十分生活できると言えるでしょう。チェンマイのような地方都市で贅沢をしない暮らしを目指すのであれば、月10万円以下で生活設計を組むことも可能です。ただし、医療保険には入る方が賢明です。医療保険は、タイ現地で加入するものと日本で加入する2つのタイプがあります。タイに移住している多くの人は、日本での補償期限が過ぎてからタイで新たな保険に加入するケースが見受けられます。せっかく移住するのであれば生活レベルを落とすのではなく、現在の生活費でワンランク上の生活を送ることを考えた方が、豊かな移住生活を過ごすことができるでしょう。
3-2 日本に馴染みのあるタイの人々
タイに長期滞在する上で、タイの人々が日本人に友好的な感情を持ってくれていることは、安心して暮らせる大きな理由のひとつです。日本の天皇・皇族とタイの国王・王族は、古くから深い結びつきがあることから、日本の文化に対して、深い敬意と尊敬の念を抱いているタイ人の方が多くいます。そのため、対人関係でストレスを感じることは他の国と比べて少ないでしょう。また、経済における同水準の他国と比較して犯罪率が低いため、周囲の安全に配慮していればトラブルに巻き込まれるケースは滅多にありません。現地には日本人街があり、日本国内でよく見るチェーン店もタイに多く進出しています。タイは、様々な意味で日本人に馴染みのある国だと言えるでしょう。
まとめ
日本と比べて物価が安い割に、衛生面や安全面が整っていることに加えて、日本文化に馴染みがあり、日本人に対して人々が友好的といった、ハードとソフトの両面から見て多くの魅力があるタイは、移住には最適な国と言えるのではないでしょうか。ゆとりある働き方を目指す方や、落ち着いた老後の暮らしを考えている方は、ぜひタイでの移住生活を一度検討してみてください。微笑みの国・タイで、日本にはない豊かな暮らしを実現できるかもしれません。