労働者や人口増加による経済成長によって、東南アジアは海外不動産投資先として大きな注目を集めています。そんな東南アジアの不動産には、どのようなメリットがあるのか。この記事で紹介していきます。
1 なぜ、東南アジアの不動産が注目されているのか
日本のように一定の成長を遂げてしまった国では、不動産価値が一気に上昇するのは珍しいこととなります。しかし、東南アジアでは、現在進行形で発展を続ける国が多くあるため、不動産投資に多くのチャンスがあるのです。
1-1 成長が約束されている東南アジア
人口構成がピラミッド型という、発展途上国ならではの特徴を持つ東南アジアでは、これからも労働人口の増加が予測されます。特に、カンボジアとフィリピンでは、0〜20代までの人口が他の国に比べ多く、今後さらに労働人口が増えていき国の発展が見込まれます。これは、日本の人口構成と見比べてみると一目瞭然。超高齢化社会に突入しようとしている日本とは、真逆の現象が起こっているのです。
参照:『worldbank.org/indicator/SP.POP.GROW』『PopulationPyramid.net』
人口に関しても、東南アジアは増加傾向にあります。人口減少が始まっている日本に比べ、右肩上がりで数字が伸びていることが分かります。人口増加に伴い、あらゆるマーケットで成長を遂げていくことになるでしょう。まさに、戦後日本が大きく発展していく過程を、東南アジア各国が現在経験しているのです。
参照:『PopulationPyramid.net』・『世界銀行』のデータを当社で加工
1-2 東南アジアの成長は、加速する
2018年の日本のGDP成長率は、0.7%(内閣府HPより)となります。一方で、代表的な東南アジア各国のGDP成長率を見てみると、カンボジアが7.2%と非常に高く、フィリピン、ベトナムも6%台と続いています。さらに、その成長率は下がることなく、上昇傾向にあります。
分譲マンションの購入者が増えるとされるラインは、1人当たりのGDPが6,000~7,000米ドルあたりとされています。現在、東南アジアで該当するのは、シンガポール、マレーシア、タイとなります。次いでインドネシア、フィリピン、ラオス、ベトナムが約2,000~4,000米ドルとなっていますが、高いGDP成長率を維持している東南アジア各国では、今後の需要拡大も期待できます。
世界の1人当たり名目GDP 国別ランキング・推移(IMF)より
1-3 東南アジアの不動産投資は、キャピタルゲインが得やすい
労働人口を含めた人口の増加に支えられながら、高い経済成長率を続ける東南アジアでは、物の取引が活発に行われています。そのため、物の値段がどんどん上がり、インフレが発生しています。インフレの中では、不動産を転売することで売却益を得ることができる、つまりキャピタルゲインを得られるのです。低調な経済成長と人口減少、超高齢化社会に突入している日本ではデフレ状態であり、インフレは期待できません。国内ではキャピタルゲインを狙った不動産投資が難しいのです。また、東南アジアの都市部では人口集中が続いているので賃料が上がっていますが、日本と比べて土地代が相対的に低いので、利回りが高くなります。
2 東南アジア各国の特徴や不動産投資の現状
東南アジア全体における不動産投資のメリットを伝えましたが、ここからは各国の特徴と不動産投資のメリットやデメリット、注意点をご紹介します。
2-1 安定した不動産投資が見込めるマレーシア
外資や外国人を積極的に受け入れるオープンな国であるマレーシアは、東南アジアのハブとも言われています。日本人からの人気も高く、GDP成長率は毎年4%〜5%と安定した伸びを見せています。政治情勢も東南アジアの他の国に比べ非常に安定しており、カントリーリスクを抑えた投資が可能です。GDP成長率が5.7%のジョホール州は、マレーシアの中で最も投資家が集まるエリアで、金融都市シンガポールの目と鼻の先にあるという高立地です。
2025年までに東京都とほぼ同じ面積を開発する「イスカンダル計画」が進行していますが、供給過剰気味で空室物件が目立つという情報があります。イスカンダル地区の空室を解消するために、外国人移住者を含めた人口増加対策が、今後の命運を握っているでしょう。対外投資に積極的な国でもあり、一定の条件を満たせば外国人でも土地付きの物件を購入できます。物件を購入するためのローンも組めますので、レバレッジをきかせた投資も検討が可能です。
2-2 日本の大手デベロッパーも進出しているタイ
GDP成長率に関しては3%前後と他の国に見劣りしますが、経済的な安定性が高く、海外での分散投資として人気が高い国です。東南アジアで先進国的な立場であり、投資先としてはメジャーな国で、東南アジアの中でもバンコクは不動産投資が活発です。バンコク都心の高級マンションなどは、日本の大手デベロッパーが進出しているため、投資家にとって魅力的なのではないでしょうか。
不動産価格高騰が期待されながら、停滞ムードが流れていたタイの市場ですが、売買価格が下げ止まったことで、「本来の価値を反映した値付けに回復するのでは」というのが現在の評価です。しかし、世界的な金融危機が発生した場合には影響が大きいため、慎重に投資を検討する必要があります。他の注意点では、現地企業の施工・管理能力が低いことが珍しくないので、日本の大手デベロッパー物件に優先して投資した方が安全です。安定的な成長を続ける国ではありますが、軍事クーデターや洪水などのカントリーリスクがあるため、リスクマネジメントを意識した投資をお忘れなく。
2-3 成長著しいベトナム
人口の増加や経済成長が今後も期待できるベトナム。社会主義国ですが、外資の受け入れは積極的です。ホーチミンは高層建設ラッシュが始まり、近代都市への第一歩を踏み出しました。2015年の法改正により外国人も不動産購入が可能となり、日本国内でもベトナムへの投資が進み、不動産価格の値上がりが期待できる状況が続いています。
ベトナムのGDP は2,551米ドルですが、富裕層やアッパーミドル層の住宅ニーズは高いといえます。しかし、現在も国の体制を手探りで構築しているため、法律や税制などが突然変わるリスクが伴っています。東南アジアの中で、リスクもリターンも大きい不動産投資となるため、投資の配分は慎重に決めることをおすすめします。
2-4 その他、東南アジア各国の現状
◾︎フィリピン:経済成長率が著しく、すでに将来的なリターンが期待できます。セブ島などのリゾート地やマニラといった都心部が投資先として考えられ、リゾート地では7~10%と利回りが高いケースが多いようです。物件価格も東京都心部に比べ割安傾向なのが特徴で、外国人・現地富裕層向けコンドミニアムが注目されています。注意点としては、建物の工期は予定通り進んでいるか、完成後の管理は問題ないか、情報収集は怠らないようにしてください。
◾︎カンボジア:タイとベトナムの間にあるという立地を活かし、物流面でも期待されているのがカンボジアです。近年は不安定だった政情も安定し、投資国としての魅力が高まっています。首都のプノンペン近辺の不動産は年々上昇しており、今後も値上がりが続くと予想されています。2014年には「イオンモールプノンペン」を開業するなど、日本人が住みやすく投資したくなる魅力も備わってきました。
◾︎ラオス:ラオスは1989年以降GDP成長率がプラス成長を続けています。2005年以降は、7%以上の経済成長となっています(2018年は6.7%予測)。また、カンボジアと同じように、タイとベトナムの中間に位置する立地のため、製造業の物流拠点としても注目されています。首都のビエンチャン周辺が不動産投資の中心で、外資企業の受け入れなどにより労働者が増加したことで、ビエンチャンには多くのコンドミニアムが建設されています。法改正による外国人の不動産購入解禁が噂されており、投資家が注視している国のひとつです。
3 東南アジアの不動産投資におけるデメリット・リスク
海外投資にはデメリットやリスクが伴います。それは、東南アジアも例外ではありません。ここでは、東南アジアへの不動産投資において予想される、デメリット・リスクを紹介します。
3-1 現地の情報を収集するのが難しい
海外投資は情報が得にくいというのが、最大のデメリットです。地元の商慣習や立地情報などは、住んでいる人しか分からない部分があります。不動産投資は、その土地に精通しないと、どこが狙い目なのか判断できない場合があります。日本国内でも遠方投資は難易度が高いとされていますので、東南アジアへの不動産投資となると、さらにリスクが伴うことを忘れてはいけません。
3-2 カントリーリスクが高い
東南アジアの国々では、政治不安によって政策や税制が次々と変わる可能性があります。治安も悪く、外国人に対する規制も多くあります。だからこそ、東南アジアにおいては、カントリーリスクが高いことを常に頭に入れておきましょう。そして、日本の常識で考えず、常に現地の情報を最新にしながら投資を行ってください。
3-3 リスクの割に、リターンが少ない場合も
東南アジア各国は高度成長期ではありますが、日本のバブルのようなイメージを持って不動産投資を行うと、リスクの割にリターン(キャピタルゲイン)が得られないという結果に終わります。また、東南アジアの発展途上国では通貨の信頼性が低く、金融危機において脆弱です。投資の際には、通貨や不動産の価値が大幅に下落しても、耐えられるポートフォリオを組んでおくのが鉄則です。
4 まとめ
成長著しい東南アジアにおいて、不動産投資によって大きなチャンスを掴むことができます。しかし、東南アジア各国の不動産に関する情報はもちろん、経済や政情をしっかりと調べた上で投資を行い、リスクを最小限に抑えていくことが必要となるでしょう。
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