各国の富裕層から熱い視線を浴びるハワイの不動産市場。世界屈指のリゾート地としての魅力もさることながら、世界中を震撼させたサブプライム問題の際も、ハワイの不動産は他国と比較して大きく値を下げなかったことなどから、安心して保有できる資産として更に注目を浴びています。

今回は、そんなハワイの不動産価格から購入・売却方法、失敗例や不動産エージェントを選ぶポイントなど、ハワイの不動産について解説していきたいと思います。

一番気になるのは、ハワイの不動産価格。今後の見込みは?


憧れのハワイに別荘として不動産を持ちたいと思う方は多いでしょう。「自分でも住んでみたいし、将来的には売却も考えている」といった方にとっては、資産価値が上がっていくのかどうかも気になります。ここでは、ハワイ不動産の市況を見ていきましょう。

20年以上も上昇傾向に。ハワイの不動産価格推移

以下のグラフは、ハワイにおけるコンドミニアムの平均価格推移です。

出典:Honolulu Board of REALTORS

ハワイのコンドミニアムは2000年以降堅調に推移しており、2001年の同時多発テロ事件や2008年のリーマンショックの際にも大きな影響を受けていません。

アメリカの大手不動産ポータルサイトZillowは、2018年にハワイの不動産は3.3%上昇すると予測しており、2018年から2019年にかけてはさらに3.3%上昇すると見込んでいます。

ハワイの島別不動産価格の比較


続いてハワイの島別に不動産価格を見てみましょう。

ハワイの主要島は、ニイハウ、カウアイ、ホノルル、オアフ、モロカイ、マウイ、ラナイ、カフラウェー、ビッグアイランド(ハワイ郡)などがあります。下記グラフでは、6つの島に関する不動産価格の比較を見ることができます。

出典:Zillow

やはり最も高いのは、ハワイ人口の70%を占めるオアフ島。同島では、2017年に戸建ての平均販売価格が1.0%、コンドミニアムは3.2%上昇しています。

オアフ島に続いて、人気観光島でもあるカウアイ島、マウイ島が同様の価格帯を示しています。

ハワイ主要都市における住宅価格は?

出典:Zillow

Zillowのデータによると、ハワイ郡ヒロの住宅価格の平均値が30万ドル(約3,300万円)。一方、ホノルル郡のカイルアは、住宅価格平均値が94万5,700ドル(1億400万円)と他のエリアを大きく引き離すほど高額に。また、同じホノルル郡でもオアフ島に位置するワイパフは、60万400ドル(6,600万円)と、ハワイにおける平均価格帯となっています。

ハワイで人気のコンドミニアム投資。おすすめのエリア4選

ハワイの不動産と言えばやはり観光客にも絶大な人気を誇るコンドミニアムでしょう。特に観光客でにぎわうオアフ島はその数も多く滞在需要も高いことから、ハワイ不動産の筆頭としてまず検討したいもの。

ハワイのコンドミニアムは、1週間~数週間の短・中期滞在者のバケーションレンタルが人気。また、世界中の富裕層が所有するセカンドハウスとしても高い支持を誇っています。

では、そんなコンドミニアムを購入したい場合どこが適当なのでしょうか、おすすめのエリアを4つ紹介しましょう。

ハワイコンドミニアムと言えば、ワイキキエリア


青く透き通る海が広がる美しいビーチはもちろん、様々なアクテビティやショッピングが楽しめるワイキキは、ハワイで最もコンドミニアムが集中しているエリアです。手頃な価格帯から高級物件まであり、予算に応じた選択がしやすいでしょう。

また、ホテルコンドを所得し賃貸収入を得たい場合も、このエリアなら安定した需要が期待できるでしょう。このエリアのコンドミニアムで眺望の良い物件は、しっかりメンテナンスがされていれば、40~50年建っている中古物件でも不動産価格が上がり続けているものもあります。

ローカルにも人気。鉄道開通予定もある、アラモアナエリア

ハワイ最大のショッピングセンター、「アラモアナセンター」で有名なエリアで、ローカルの人に人気の「アラモアナビーチ」もおすすめです。観光客の多いワイキキを避け、波が静かな海でゆったりと泳ぐことを楽しみたい人に向いています。

比較的手ごろな価格帯のコンドミニアムがあるほか、眺望の良い海沿いには高級コンドミニアムも建っています。また、オアフ島の鉄道「ホノルル・レール・トランジット」が2025年にアラモアナセンターまで開通予定になっており、より利便性が高まることが期待されているエリアです。

第2のワイキキへの期待も高い、カカアコエリア


アラモアナの西側カカアコはホノルルのトレンドを牽引するエリアになりつつあります。官民一体の大規模都市再開発が進められており、今後10年間でコンドミニアム、商業施設、レストランなどが建設予定。「第2のワイキキ」と呼ばれる大都会へと変わろうとしています。

このエリアのコンドミニアムは1億円超えの高級物件が多く、街の発展とともにまだまだ高騰するとの予想も。

有名人の御用達エリア、カハラエリア

ダイアモンドヘッドの東側、高級住宅街のカハラエリアは、観光客でにぎわうホノルルとは対照的に、著名人などの別荘がある閑静なエリアです。

同エリアにある「カハラモール」にはレストラン、映画館、オーガニックで有名なスーパーマーケットなどもありますが、混雑することは滅多にありません。中古物件でもかなり高額になるエリアですが、落ち着いた環境を好む人々に人気があります。

ハワイ不動産の節税効果とは?


以上、ハワイでも不動産投資先として魅力あるエリアを紹介してきましたが、そんなハワイで、「不動産を買って節税する」、という話を聞いたことがありませんか?果たして本当に節税が可能なのでしょうか?

ハワイと日本の建物の価値の違いについて

ハワイと日本では、土地や建物の価値に対する考え方が大きく異なります。日本では土地の価値の方が高く、建物の価値は年数の経過とともに下がっていきます。対してハワイは、土地と建物の価値の割合が2:8~4:6と建物の比率が高いだけでなく、メンテナンスをきちんと行っていれば、築年数が経っていても建物の価値はほとんど下がらない、それどころか人気エリアでは価値が上がり続ける場合もあります。

建物の価格が高ければそれだけ減価償却費をとれる、これがハワイの不動産が節税につながると言われる理由です。

ハワイ不動産を所有する真の価値を見定める


ハワイ不動産による節税は、ハワイで不動産を購入さえすればできるというものではありません。例えば、買い替えることを考えず別荘として使い、時々バケーションレンタルとして貸し出している人や、加速度償却で大きく節税効果を狙うことが可能な、ある程度の所得のある人や法人には有効なようです。

しかし、この海外不動産による加速度償却のスキームは税逃れではないか、という指摘もあり、会計検査院による問題も定義されるなど、今後税法の見直しが図られる可能性も否めません。

ハワイで不動産を購入する場合は節税を第一目的と考えるのではなく、ハワイが好きで資産分散の目的からも買い求めたい、このように考えるのが適切かもしれません。

ハワイの不動産を購入する13のステップ


続いて、実際にハワイで不動産を購入するためのステップをポイントごとに見ていきましょう。

1.ハワイの銀行口座を作る

ハワイで不動産の購入を考えたら、まずハワイで銀行口座を開設しておくと便利です。手付金や手数料用の現金を銀行口座に入れておけば、気に入った物件を見つけたときにすぐに購入申し込みがができるなどのメリットがあります。

ハワイの代表的な銀行はバンク・オブ・ハワイ、ファースト・ハワイアン・バンク、セントラル・パシフィック・バンク。どの銀行も日本語対応可能なため、簡単に口座を開設することができます。

2.不動産エージェントを決める

次に、不動産エージェントを決めます。オアフ島の売物件はMLSというサイトで一括管理されているので、どの不動産会社もオアフ島のすべての売り物件を取り扱うことができます。

そのためエージェントを決めるポイントは、取り扱い物件数ではなく、ハワイの不動産や各エリアの特徴について精通していることや、デメリットなどもきちんと伝えてくれることです。

また、ハワイの銀行でローンを組みたい場合は、経験豊富なローンオフィサーを紹介してくれるかどうかも重要なポイントになるでしょう。ハワイで不動産取引をする場合、買い手はエージェントに支払う紹介手数料が無料です。

3.ローンオフィサーの審査を受ける

ハワイでの不動産購入を現地の銀行ローンで組みたい場合、ローンオフィサーに確認する必要があります。ローンオフィサーは不動産購入者から出された資料をもとに、どの銀行からどのローンで、いくら借りられそうかを診断し、Pre Qualification Letter (プリクオリフィケーションレター)を発行してくれます。

これは、物件の売り手にオファーをする際、ローン可能額に関する証明書として提出します。なお、アメリカ非居住者がローンを組む場合、一般的に頭金は30~50%程度必要と言われています。

また、日本の不動産を担保にローンを組むなど、海外不動産のローンを提供する日本の金融機関(西京銀行、オリックス銀行など)もありますので、相談してみる価値はありそうです。

4.不動産を探す

投資として家賃収入やキャピタルゲインを考えるなら、立地がよく、宿泊客がつきやすいホテルコンドが、一方、節税対策を考えるなら築年数の古い木造住宅がベターでしょう。

リタイア後の居住として考えるならば、観光地の喧騒を少し離れたエリアの一軒家やコンドミニアムが視野に入ってきます。年に何回か使う別荘地として考えるなら、コンドミニアム、ホテルコンド、タイムシェアという考え方もあります。

現地のことをよく知るエージェントとよく話し合いながら決めるのがいいでしょう。

5.物件の内見をする


気になる物件がある程度絞れたら、実際に内見します。通常、売出し物件を内見する場合には、あらかじめ予約を入れる必要がありますが、日曜日のある時間だけ、予約を入れなくても誰でも見学ができる「オープンハウス」というスタイルを取る物件もあります。

ただ、内見したい物件がホテルコンドの場合、宿泊客がいる場合は中を見ることができません。中古のホテルコンドの中には、ハイシーズン中は内見できる日がまったくない物件もありますので、できればオフシーズンの内見をおすすめします。

6.購入条件のオファー

購入したい物件が決まったら、購入契約書に購入希望価格、支払方法(現金か、ローンか)、手付金額を記入し、プリクオリフィケーションレターを添えて、売り主のエージェントにオファー(購入申し込み)をします。売り主側からは通常48時間以内に返答がきます。

7.売り主からの回答

売り主からはいずれかの回答が返ってきます。

  • ACCEPT(アクセプト)・・・ 受託、売買契約成立
  • REJECT(リジェクト)・・・拒否
  • COUNTER OFFER(カウンターオファー)・・・条件変更の申し出

売り主からの回答がカウンターオファーだった場合、購入希望者はその条件に対して、アセプト、リジェクト、カウンターオファーのいずれかの返答をします。お互いが納得するまで何回かカウンターオファーを繰り返すこともあります。折り合いがつけば売買契約となります。

8.エスクローの開設

売買契約が成立したら、エスクローが開設されます。エスクローとは売り手と買い手の公平な取引を仲介する会社のことを指します。

買い主と売り主の間で、売買契約が締結したら、エスクローは取引に関する書類、手付金を預かります。エスクローの開設時には購入代金の1.0~5.0%を、買い主は小切手などで2日以内にエスクローに預けます。

9.物件の調査

エスクロー会社は売却物件について調査を開始します。所有権、抵当権、先取り特権、未払税金、地役権など解決が必要な問題があるかどうかの確認や、シロアリ検査、測量・杭打ちの調査(一軒家のみ)などがあります。エスクロー会社はこれらを解決するために売り主と話し合いレポートを作成します。

買い主がこのレポートに不満がある場合は、この時点で売買契約を解除することができます(手付金は返却されます)。

10.開示報告書を受け取る


売り主は、その物件の価格に影響すると思われる物件の過去および現在の欠陥・修理箇所・状態などについて、エスクロー会社が作成した開示報告書にそって正直に答えるよう義務付けられています。売り主の回答内容に不満を持った場合にも、買い主は契約を解除することができます(手付金は返却されます)。

ホームインスペクションを希望する買い主は、専門業者を雇って物件の設備や電気、水回りなどに問題がないか調査することができます。この費用は買い主負担で、必ず必要なものではありません。しかし、不動産購入は大きな買い物なので、後から後悔のないよう実施することをおすすめします。

ファイナルウォークスルーすべてのレポートがそろったら、買い主は最終確認をします。契約内容に書かれているクリーニングや修繕は本当に終わっているか、売り主の私物は残っていないかを確認し、納得すれば、買い主は2回目の手付金を支払います。

11.権利書用書類作成

エスクローの弁護士が権利移転の書類を作成します。これが買い手の権利書になります。

12.エスクロー会社へ残金支払い及び譲渡書類のサイン

買い手は登記予定日の2日前までに手付金を引いた残金をエスクロー会社に支払わなければいけません。ローンの場合は手付金を引いた頭金を支払います。

売り主、買い主両者が譲渡書類、名義変更の書類にサインをします。譲渡書類のサインは公証されている書類のみが認められているため、エスクロー会社でサインをします。買い主が日本にいる場合は、日本のアメリカ大使館や領事館でも公証を得ることができます。

13.登記完了

すべての書類、代金がエスクロー会社に届いたら、エスクロー会社は決済、登記をします。その後、買い主から支払われた購入金額から、必要経費、手数料などが引かれ、売り主に購入代金が支払われます。買い主は、エスクロー会社からその購入物件の権利書と鍵を受け取り、購入が完了します。

ハワイの不動産を売却する11つのステップ


続いて、ハワイで購入した不動産の売却についても解説しておきましょう。先述した「12の購入ステップ」と同じ流れですが、買い手であったのが売り手という立場にかわりますので、それをポイントに説明してきます。

1.不動産エージェントを選ぶ

ハワイで不動産を売却する場合、その物件を購入した時のエージェントに依頼をするのも良し、当時の対応がいまひとつであれば、信頼のおけるエージェントを再度探すのも良いでしょう。 常日頃から腕の良い不動産エージェントを口コミなどで情報収集しておくと、このような時に役に立ちます。

2.売却価格を決める

現状のハワイ不動産マーケットの状況や、近隣の同じような条件の物件と比較しながら売却価格を決めていきます。値引き交渉が入ることも考えて価格設定しましょう。人気のエリアや条件が良い物件はかなり強気に出てもすぐ決まることもあるようです。

3.MLSに物件を掲載する


ハワイの売り出し物件がすべて掲載されているMLSに自分の物件を登録し掲載します。

4.内見が入る

MLSを見た物件購入希望者から内見が入ります。すぐに内見が入らない場合、日曜日のある時間だけ予約を入れなくても誰でも見学ができる「オープンハウス」というスタイルを取るのもいいでしょう。内見に出したい物件がホテルコンドの場合、宿泊客がいる場合は内見の予約を受けられません。

5.オファーへの返答

購入希望者から希望購入金額を含めたオファーが来ます。

それに対し、

  • ACCEPT(アクセプト)・・・ 受託、売買契約成立
  • REJECT(リジェクト)・・・拒否
  • COUNTER OFFER(カウンターオファー)・・・条件変更の申し出

の答えを返します。

お互いが納得するまで何回かカウンターオファーを繰り返すこともあります。折り合いがつけば売買契約となります。

6.契約合意後、エスクロー開設

売買契約が成立したら、エスクローが開設されます。

7.物件の調査が入る


エスクロー会社は売却物件について調査を開始します。買い主がこのレポートを読み、内容に不満がある場合は、この時点で売買契約を解除することができます。

8.開示報告書に答える

売り主は、エスクロー会社が作成した開示報告書の質問(その物件の価格に影響すると思われる物件の過去および現在の欠陥・修理箇所・状態など)について、正直に回答しなければいけません。

9.権利書用書類作成

すべてが合意に達したら、エスクローの弁護士が権利移転の書類を作成します。これが買い手の権利書になります。

10.譲渡書類、名義変更の書類にサイン


売り主、買い主両者が譲渡書類、名義変更の書類にサインをします。譲渡書類のサインは公証されている書類のみが認められているため、エスクロー会社でサインをします。買い主が日本にいる場合は、日本のアメリカ大使館や領事館でも公証を得ることができます。

11.売却完了

すべての書類、代金がエスクロー会社に届いたら、エスクロー会社は決済、登記をします。その後、買い主から支払われた購入金額から、必要経費、手数料、税金などが引かれ、売り主に購入代金が支払われ、売却が完了します。

ハワイで失敗する不動産投資の3つのパターン


値崩れしにくく、安心して投資ができると言われているハワイの不動産ですが、失敗事例もそれなりにあるようです。よくあるハワイ不動産投資の失敗パターンから学びましょう。

1.バケーションレンタルができない

ハワイのコンドミニアムは、普通のコンドミニアムとホテルコンドに分かれていて、普通のコンドミニアムは30日以上の中期レンタルしかできません。1週間程度のバケーションレンタルで、宿泊料収入を得たいと考えているならば、最初からホテルコンドを購入する必要があります。

また、法律上は1か月以上の期間なら、一般的なコンドミニアムでも貸し出せますが、最近はそのコンドミニアムの管理組合の規定で1年以上の長期レンタルしか認めない、という物件も増えてきています。物件のレンタルを考えている場合は、管理組合の規約もきちんと確認しておきましょう。

2.なかなか売却ができない

利便性があまり良くなく買い手がつかない、という理由で安く買うことができた物件は、売却するときにも同じことが起こります。購入時に「売却するかもしれない」と考えるならば、例え価格が安くても、あまり人気のない物件を選ぶのはやめましょう。

しかし、ハワイで不動産が売却できるかどうかはエージェントによる部分が大きいもの。腕の良いエージェントなら不利な条件の物件も、有利な条件で売却できる可能性があります。多少の費用はかかりますが、物件がなかなか売れないときはエージェントを探し直すことも選択の1つです。

3.エージェント手数料や税金で赤字になった

ハワイで物件を売却すると、エージェント手数料6.0%、その他の手数料1.0%、そして源泉税20.0%が売却額にかかります。

そのため、売却価格を決める際には、これらの手数料・税金も考慮に入れたうえで価格設定をするといいでしょう。ただ、それでも売却益がマイナスになった場合、源泉税は確定申告で申告すれば返ってきますので、しっかり手続きをとりましょう。

まとめ


以上、ハワイの不動産に関して解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

ハワイ不動産を購入する外国人ランキングで、ここ数年は日本人が第1位になったり、ハワイへの渡航者数も毎年増加し続けており、各航空会社はハワイ便に力を入れています。今後日本人にとってのハワイはさらに身近なリゾートとなることでしょう。

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