インフラ事業促進を背景とした建設業の活性化をはじめ、移民増加による消費の伸長、さらにはインバウンド観光業も好調なニュージーランドは、年間実質GDP成長率3.0%(2017年3月末年度)と、堅調な経済が魅力です。

急激な人口増加は同国の経済成長を支える一方、最大都市オークランドでは住宅不足による住宅価格の高騰が問題となっています。このような状況の中、新政権は外国人による中古不動産購入を禁止する法案を可決するなど、不動産に関わる政策の取り組みを強化しており、今後もその動向が注目されていくでしょう。

今回は、そんなニュージーランドにおける不動産価格にフォーカスして解説していきます。

ニュージーランドの不動産価格の推移


ニュージーランド研究所(REINZ)の不動産データによると、ニュージーランドの住宅価格は引き続き上昇しており、前年比で6.2%増。住宅価格の中央値は 550,000 ニュージーランド・ドル(約40,782,682円)となっています(2018年7月)。

最大都市オークランドを除くニュージーランド全体の増加率は前年比8.6%で、455,000 ニュージーランド・ドル(約33,757,644円)へと増加。一方、オークランドは前年比-0.1%と若干下げたものの、相変わらず高額で835,000ニュージーランド・ドル(約61,950,841)です。

特に以下の4つの地域では記録的な価格上昇を見せており、月単位の上昇率としては過去2番目の高さを記録しました。

  • ノースランド(オークランド北) + 5.7%、481,000ニュージーランド・ドル(約35,684,516円)
  • タラナキ(北島西海岸) + 15.4%、375,000ニュージーランド・ドル(約27,820,569円)
  • ネルソン(南島北部) + 15.2%、547,000ニュージーランド・ドル(約40,580,936円)
  • マールボロ(南島北端) + 13.4%、453,500ニュージーランド・ドル(約33,644,341円)

(出典:REINZ)

ノースランドやネルソンではリゾート地に注目が集まっており、リゾート地の数が増えているなど、振興開発が進んでいるのも影響しているようです。

しかしながら、REINZの経営責任者のビンディ・ノーウェル氏が述べている通り、これら住宅価格上昇の背景には、オークランド以外の地域でも住宅不足が続いていることがあります。政府主導の政策はもちろん、民間デベロッパーなどによる住宅供給を進めていく必要があるというのが多くの専門家の見解となっています。

ニュージランドの不動産価格をエリアで比較。人口増加予測も


続いて、ニュージーランドの3大都市、オークランド、首都ウェリントン、そして、クライストチャーチの不動産価格を比較してみました。

エリア名住宅価格の中央値(2018年7月)
オークランド835,000 ニュージーランド・ドル(約 61,919,288円)
ウェリントン545,000 ニュージーランド・ドル(約 40,414,385円)
カンタベリー(クライストチャーチ含む)428,000 ニュージーランド・ドル(約 31,738,269円)
オークランドを除くニュージーランド全体455,000 ニュージーランド・ドル(約 33,740,450円)
ニュージーランド全体550,000 ニュージーランド・ドル(約 40,785,159円)

(出典:REINZ)

2018年7月現在、オークランドの住宅価格は、ニュージーランド全体の中央値のほぼ倍となっており、同国でも突出して高くなっていることがわかります。

オークランドはニュージーランドの最大都市。人口はおよそ150万人で、同国の人口の約4分の1が居住しています。ポリネシア系人口では世界最大の都市であるとともに、地域人口の4割は海外の出身者が占めるというグローバルな都市でもあります。

そんなオークランドは、2017年3月までの1年間で人口が2.1%増となったことが、ニュージーランド統計局の集計で分かりました。増加人数は10万300人で、そのほとんどを占めているのが移民で約7万1,900人となっています。

比較的治安が良く、自然も豊か、さらに政治も安定しているニュージーランドは、理想的な移住先として人気が高まっていることがうかがえます。

スタティクス・ニュージーランドが発表した人口増加予測によると、2013~2043年までに、ここオークランドの人口は55%増えるという、過去最大値の83万3,000人の増加が見込まれています。

一方、首都ウェリントンの住宅価格は、ニュージーランド全体の中央値に近い545,000 ニュージーランド・ドル(約 40,414,385円)となっています。

同市の人口は約20万人、地域人口は約40万人ですが、先述した人口増加の予測では2043年までに26.8%増加(52,900人増)する見通しに。この数字から見ても、住宅建設の需要に一層の拍車がかかることが予想されます。

最後に、オークランドとよく比較されるのが南島最大の都市クライストチャーチ。人口は約34万人で、オークランドに比べると3分の1程度の規模です。

住宅価格の中央値は428,000 ニュージーランド・ドル(約 31,738,269円)で、オークランドのほぼ半分。ニュージーランド全体の住宅事情に比べれば、クライストチャーチの住宅価格は落ち着いており、需要も高止まりしています。

また、不動産価格と密接に関わるクライストチャーチの人口増加予測は、2043年までに28.7%増となっており、約10万人規模の増加が見込まれています。投資機会を比較する際の目安のひとつとして考慮すべきでしょう。

(出典:Stats NZ)

ニュージーランド不動産価格は本当に高いの?オーストラリアと比較


ニュージーランドの不動産は上昇傾向にあり、「高すぎるのでは」と言われていますが、どれくらい高いのでしょう?隣国であるオーストラリアと比較してみたいと思います。

以下のグラフは、各国、最重要都市の中心に位置するアパートメント120平米あたりの平均価格です。


(出典:Grobal Property Guide)


上段のオーストラリアが平方メートル当たりで10,711米ドル(約1,189,777円)のところ、ニュージーランドは3,438米ドル(約381,893円)と、およそ3分の1の価格となっています。

オーストラリアとの比較では割安なニュージーランドですが、同国の住宅価格は2001~2007年にかけて約114%(インフレ調整後は82.6%)上昇しています。その後、一旦、安定しましたが、2012~2016年の5年間、さらなる大幅な価格上昇が続いたのです。このため、ニュージーランドの住宅価格は、他国とに比べて人口が少ない国のわりには高い価格帯と言えるでしょう。

ちなみにオーストラリアの人口は2,460万人(2017年6月)、ニュージーランドは約476万人で、オーストラリアの約5分の1の人口規模です(2017年3月)。

まとめ


以上、ニュージーランドの不動産価格について解説してきました。今後も人口増加が見込まれるため、住宅の円滑な供給と安定のために、様々な政策が導入されていくでしょう。今後も、新政権の動向はじっくりと注視していく必要がありそうです。

SEKAI PROPERTYでは、現地のデベロッパーや不動産エージェントと提携しており、不動産購入の相談も受け付けています。ニュージーランドへの不動産投資を検討している方はお気軽にお問い合わせください。