イギリスでフラットやハウスを購入する際に、最近のイギリスの不動産価格の傾向が気になる人は多いのではないでしょうか。今回はイギリスの不動産価格の推移、EUのほかの国との比較、不動産タイプごとの比較、イギリス国内の代表的な地域の比較などを紹介していきます。

イギリスの不動産価格の推移


イギリスの不動産市場は「セーフヘイブン(Safe Haven)」と呼ばれ、長く安定的に成長してきています。

出典 UK House Price Index

参照 Nationwide ”UK House Prices Since 1952”

1980年以降、平均年率6.4%で推移

イギリスでは1952年から、Nationwideという住宅金融組合がイギリスの不動産価格の統計を取っています。1990年代に不動産価格の落ち込みはあったものの、1980年以降から現在まで不動産価格は平均年率6.4%で推移しています。

2009年に落ち込みがあったが、その後価格は回復

2009年はリーマンショックの影響で不動産価格の落ち込みがありました。しかし、その後以前よりも高値をつけ、順調に回復しています。また、ブレグジットの影響として2016年6月の国民投票の直後はロンドンで不動産価格の下落や、イギリス全体では不動産価格の下落は無かったものの伸び率が下がるなどしました。しかし、ロンドンの不動産価格の下落については、2016年6月以前までの価格が高騰しすぎていたことが理由と言われており、その後不動産価格は回復し、以前ほどのペースではないものの順調に上昇しています。

イギリスの不動産価格をEU主要5カ国と比較


ここではイギリスの不動産価格とEUの主要5カ国(フランス、ドイツ、ベルギー、イタリア、スペイン)の不動産価格をそれぞれ比較していきます。

1㎡あたり価格の比較

1㎡あたり価格は6カ国の中ではイギリスが1位です。前年比は去年よりもマイナスになっていますが、これは2016年にイギリスのポンドがユーロに対して下落したためです。しかし、ポンド単価で見てみると去年よりも新築物件の平均取引価格は値上がりしています。

図:新築の物件の1㎡当り平均取引価格 ()内は前年からの変化比率

イギリス4,628 EUR (-9.0%)
フランス4,055EUR (1.4%)
ドイツ2,957 EUR (8.5%)
ベルギー2,216EUR (1.1%)
イタリア2,359EUR (-1.5%)
スペイン1,933EUR (15.2%)

参照 Deloitte 「Property Index Overview of European Residential Markets」 p.10

2016年のイギリスの新築物件価格はEUの中でトップの高値ですが、前年と比べると-9.0%です。マイナス成長になっているのはイギリスポンドが値下がりをしたためで、新築物件価格をポンドで見ると前年よりも値上がりしています。

ロンドンと他の首都の価格比較

図:新築の物件の1㎡当り平均取引価格 ()内は前年からの変化比率

インナーロンドン16,538 EUR/m2 (-8.8%)
パリ(内側)12,374 EUR/m2 (15.6%)
ベルリン3,510 EUR/m2 (9.7%)
ブリュッセル3,096EUR/m2 (2.7%)
ローマ3,409EUR/m2 (-1.7%)
マドリッド3,353EUR/m2 (4.0%)

参照 Deloitte 「Property Index Overview of European Residential Markets」 p.10

首都で比べてみてもイギリスの新築物件はEUの他の国を突き放して一番高い平均価格を記録しています。インナーロンドンはロンドン市33区の内の中心部12区を指しています。ロンドンの新築物件の平均価格が高い1つの理由は、新築物件そのものの供給量が少ないことが挙げられます。

不動産のタイプ別の価格比較


ここではイギリス国内の不動産の価格を物件のタイプごとに比較していきます。

新築物件と中古物件の価格比較

出典 UK House Price Index ”Average price by property status in United Kingdom”

新築物件と中古物件、どちらもほぼ同じように値上がりを続けています。2016年3月に新築物件の価格が下がっているのは同年4月1日からStamp duty(印紙税)の改定があったためと考えられます。

戸建て・フラットなど物件タイプ別の価格比較

出典 UK House Price Index “Average price by type of property in United Kingdom”

図:2018年6月の不動産平均価格

Detached House(デタッチハウス)342,739ポンド
Semi-detached House(セミデタッチハウス)216,218ポンド
Terraced House(テラスハウス)185,623ポンド
Flat(フラット)・Maisonette(メゾネット)204,247ポンド

出典 Average price by type of property in United Kingdom


Detached House(デタッチハウス)は独立の一軒立ての家で、4ベッドルーム以上、庭・駐車場付きで家屋も敷地もゆったりと大きなつくりの物件が多いため、他タイプの物件と比べると値段が高くなります。

Semi-detached House(セミデタッチハウス)は2戸で1軒の建物を形成する家屋で、それぞれの入り口は別にあり左右対称の作りをしています。3ベッドルーム以上で庭付きの物件が多いです。

Terraced House(テラスハウス)はイギリス式の長屋で軒を連ねて6戸ほどの家が作られることが多いです。中は広く、庭付きの物件もあります。

Flat(フラット)は日本のマンションやアパートメントなどの集合住宅以外にも、デタッチハウスやセミデタッチハウスを改装した集合住宅も含まれます。Maisonette(メゾネット)はいわゆる日本のメゾネットタイプの物件と同じです。

イギリスの不動産価格をエリアで比較


ここからはイギリスの不動産価格をエリアごとに比較していきます。

イングランドの9つのリージョンと3カントリーの価格比較


図:2018年6月の不動産平均価格

ロンドン476,752ポンド
南東部325,107ポンド
東部292,632ポンド
南西部252,558ポンド
ミッドランド西部196,015ポンド
ミッドランド東部187,553ポンド
ヨークシャー州160,727ポンド
北西部159,801ポンド
北東部127,271ポンド
ウェールズ156,886ポンド
スコットランド150,472ポンド
北アイルランド132,795ポンド

出典 UK House Price Index “Average price by type of property in United Kingdom”


ロンドンの不動産平均価格は2番目の南東部の約1.5倍の価格で抜きん出ています。また、2番目の南東部はオックスフォードやブライトンがある、ロンドンの北西から南東にかけて広がっている地域で、ロンドンが通勤・通学圏内のベッドタウンいくつか存在します。イングランド内は北部へ行くにつれて平均価格が下がっていく傾向にあります。イングランド以外の3つのカントリーの不動産平均価格はウェールズ、スコットランド、北アイルランドの順番に下がっています。

主要3都市の価格比較

ロンドン476,752ポンド3,994~19,439ポンド472,374ポンド
バーミンガム181,241ポンド1,837ポンド165,993ポンド
マンチェスター174,044ポンド1,941ポンド156,281ポンド

*ロンドンで最も安いのはBarking and Dengham、最も高いのはKensington and Chelsea

出典 UK House Price Index


ロンドンは約883万人が住み(2017年のPopulation estimatesより)、イギリスの金融・ビジネスの中心地として発展しています。近年は他のEU諸国からの移民が増えており、住宅の供給不足が起きているため、不動産の賃貸・販売価格が高騰していました。ブレグジットを問う国民投票後は不動産価格の高騰が以前より弱まっていますが、今後の価格動向は観察が必要です。

出典 UK House Price Index


バーミンガムは人口がロンドンに次いで第2位の約114万人(2017年のPopulation estimatesより)で、GDPもロンドンに次いで2番目多い都市です。また、2018年にHSBCがロンドンの地価高騰や個人向けサービスへの新しい規制を受けて、イギリス本社をロンドンからバーミンガムに移しています。他にも金融業ではドイツ銀行がバーミンガムにイギリス本社を持っています。また、バーミンガムは地域を上げて会社の誘致を行っており、PwCも2019年にコーンウォール地方の会社機能をバーミンガムに移す予定です。バーミンガムの不動産価格はロンドンの半分以下ですが、2010年以降、緩やかな上昇を続けています。

出典 UK House Price Index


マンチェスターの人口は約55万人(2017年のPopulation estimatesより)とバーミンガムの半分ほどですが、文化面が豊かな都市で、学術・スポーツも盛んです。マンチェスターは訪れる観光客も多く、「イングランドの第2の都市はどこか」というイギリスの世論調査でも1位になっています。不動産平均価格はバーミンガムに劣りますが、1㎡当りで見るとバーミンガムよりも100ポンドほど高いという結果になっています。

出典 UK House Price Index


ロンドンの代表的な3カウンシル(区)の価格比較


2018年6月の不動産平均価格2016年の1㎡当りの不動産価格2016年12月の不動産平均価格
London Borough of Ealing477,414ポンド6,814ポンド485,390ポンド
Royal Borough of Kensington and Chelsea1,154,270ポンド19,439ポンド1,357,231ポンド
London Borough of Barnet530,924ポンド6,668ポンド522,223ポンド

出典 UK House Price Index ”Average price by type of property in United Kingdom”


Ealing(イーリング)区は日本人学校があるため、子供を日本人学校に通わせたい日本人駐在員が多く住んでいます。また、日本語の幼稚園や医療機関、食料品店なども揃っており日本人にとって住みやすいエリアです。こういった経緯から日本人コミュニティが発達しており、日本人のクライアントを相手に仕事をしている現地在住の日本人も多く住んでいます。

出典 UK House Price Index


Kensington and Chelsea(ケンジントン・アンド・チェルシー)区は”ロイヤル”を冠した王室特別区で、ケンジントン宮殿や映画で有名なノッティング・ヒルがある、ロンドンの中で高級住宅地のひとつに数えられるエリアです。不動産価格はロンドン市内でも群を抜いて高く、2018年6月の平均不動産価格は1,154,270ポンドです。近年値下がり傾向にありますが、このエリアの物件をよく買っていたフランス人・イタリア人の購入が減少している、2014年までの値上がり傾向が強すぎたため等と言われています。

出典 UK House Price Index


Barnet(バーネット)区は学校教育に定評があるため、現地の学校に子供を通わせたい日本人駐在員が多く住んでいます。また、このエリアには日本語の幼稚園や日本語が通じる24時間体制の医療機関もあります。金融街シティへNorthern Lineでアクセスできるため、通勤にも便が良いエリアと言えます。

出典 UK House Price Index

まとめ


イギリスの不動産価格の推移・比較の解説は以上となりますが、いかがでしたでしょうか?


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