「アドリア海の秘宝」と呼ばれ、バルカン半島に位置する小さな国、モンテネグロ。まるで中世にタイムスリップした街並みは世界遺産に指定されています。近年観光都市としてスポットを浴びているモンテネグロの不動産事情はどのようになっているでしょうか?今回はモンテネグロ不動産について解説していきます。

モンテネグロはどんな国?


モンテネグロは、ヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置し、首都はポドゴリツァ、人口はわずか約63万人、面積は日本の四国の約四分の三です。政府は2007-2020年を「観光振興年」と定め、後押ししています。

冷戦終了後のユーゴスラビアの解体後、ユーゴスラビアから独立せず1992年-2003年にはユーゴスラビア連邦共和国の一部として、そして2003年-2006年にはセルビア・モンテネグロを構成する2つの共和国のうちのひとつ、モンテネグロ共和国でしたが、2006年6月3日に独立し、2017年6月にNATO加盟しました。

通貨は1999年からドイツマルクを使用、2002年からはユーロを使用しています。三権分立が保障されている民主国家です。在留邦人は2017年10月時点で、外務省によると27人でした。

モンテネグロの経済と、不動産市場の推移


モンテネグロの経済は、観光業と建設業に牽引されています。2016年にモンテネグロを訪れた旅客数モンテネグロ統計局によると、人口を上回る、約81万人でした。2017年の第一ー第三四半期には約74万人と、前年比プラス18%の成長でした。

また、IMFによると、GDP前年比成長率は、2013年に3.5%、2014年に1.8%、2015年に3.4%、2016年に2.5%、2017年に3.9%で、2018年には3.3%となる予測です。

モンテネグロの不動産価格は、2008年の金融危機の影響により、大幅に下落しましたが、観光業の発展が後押しし、経済危機、欧州危機から回復中です。モンテネグロ統計局によると、2017年第二四半期の不動産価格は前年同時期と比べて4.95%上昇しました。

中でも、住宅の取引件数の上昇は顕著で、2015年、16年と平均10%ずつ上昇しました。

利回りは首都ポドゴリツァの35平方メートルほどの小型物件で6.89%、65平方メートルほどの物件で7.01%、120平方メートルほどの物件で7.53%と、よいといえるでしょう。

モンテネグロ不動産は外国人でも購入できる?

個人であっても法人であっても建物の購入は容易です。しかし、個人が土地を購入するためには、モンテネグロにおいて会社の設立をする必要があります。

モンテネグロで不動産を購入するステップ


不動産を購入し、所有権を確定するためには、不動産の法的所有権を証明し、地域不動産登記所に登記する必要があります。

  • 購入する不動産を決定したら、当事者あるいは代理人が契約書にサインをします。すべてのサインは、裁判所不動産事務所が、不動産の価値を認定します。
  • 買主は、不動産取得税を、不動産価格の3%支払います。

  • 不動産取得税支払い後、売買契約書に公印が押印され、地域不動産登記所に登記します。
  • 不動産価格を支払うことで取引は終了します。

モンテネグロにおける不動産購入時、売却時の「税制」


購入時:

不動産取得税:不動産価格の3%
登記、公証費用:不動産価格ののおよそ0.01%
弁護士費用:100-300ユーロ
所有時:固定資産税:通常不動産価格の0.25-1%。例外的に、5.5%までかかることもあります。
賃料収入にかかる所得税:一律9%です。所有者がコストを負担した場合には、賃料収入の40%まで控除することもできます。
売却時:キャピタルゲイン税
売却額ー(購入額+諸費用)の、一律9%

モンテネグロで不動産を購入するにあたりおすすめのエリア

首都ポドゴリツァ

憲法上はツェティニェが首都とされていますが、事実上の首都はポドゴリツァです。モンテネグロの工業、金融、商業の中心で、市街の人口は約15万人、主要産業は電気通信や建設、銀行業へ移行しています。

特に中心部では平均利回り7%、2017年第二四半期の前年比不動産価格はプラス4.1%でした。

ニクシッチ

モンテネグロで2番目の都市で、人口は約76,000人、ニクシッチの国際空港から、ベオグラード、ブダペスト、チューリッヒ、フランクフルト、リュブリャナ、パリ、ローマ、ウィーンへの直行便があります。

ユーゴスラビア崩壊、産業は大きく打撃を受け、不動産市場も不安定になりましたが、経済、産業はその後回復に向かっています。社会主義時代の国有企業の民営化が順調に進めば、さらなる発展が見込めるでしょう。

首都ポドゴリツァの一平方メートル当たり平均価格は1,116ユーロでしたが、ニクシッチでは550ユーロとまだまだ低価格です。

バル


アドリア海沿岸に位置する港湾都市です。市街地の人口は約18,000人、中小企業の創業や新しい工業地区の創設、自由貿易地区の推進が行われています。

年平均270日は晴天、文化的、歴史的見どころが多く、砂浜もあり、多くの旅行者を魅了しています。2017年第二四半期の前年比不動産価格はマイナス2.6%でしたが、これだけで一概に判断できない魅力があります。一平方メートル当たり平均不動産価格は1,461ユーロと、モンテネグロの主要都市で最も高額です。

まとめ


モンテネグロは経済的にはまだ不安定なところはありますが、女性でも安心して旅行ができる治安の良さ、息をのむような美しい中世の景色に惹かれ、世界ではモンテネグロの不動産を購入する人が増えつつあります。EU加入準備も進むモンテネグロの今後に注目です。

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