日本の方でモルドバと聞いて思い浮かぶものとすれば、一昔前に流行した「恋のマイアヒ」を歌った歌手の出身国、などといったことでしょうか?
また、日本政府や、国際機関からの経済支援などで名前を聞くこともあります。
首都キシナウ以外に住む人々の多くは貧困線以下で暮らし、人口の三分の一は農業に従事しています。
ただ、不動産市場に関する統計を見ると、誰もが注目する部分―高い利回りがあります。このような国で不動産投資とは、どのようなものでしょうか?
モルドバはどんな国?
モルドバは、歴史的に隣国ルーマニアとの関わりが緊密で、言語、文化も類似しています。第二次世界大戦後は、旧ソビエト連邦の構成国のひとつでしたが、1991年に独立しました。面積は日本の九州と同程度、人口は約350万人です。
首都はキシナウ、通貨はモルドバ・レウです。
政治的に、ルーマニア(EU)寄り勢力と、ロシア寄りの勢力があり、しのぎを削っています。EU加盟を希望する国民は多いのですがまだ加盟はしておらず、2014年にモルドバとEUとの連合協定が締結されたのみです。
モルドバの経済と、不動産の価格推移
モルドバは、「欧州最貧国」という不名誉な呼ばれ方をすることもあるように、2017年の一人当たりGDPはわずか2,280ドルでした。その理由に、1990年代の国内紛争、資源が乏しいこと、ロシアの影響などが挙げられますが、IMF、世界銀行、先進諸国からの援助を得て、成長しています。
IMFの統計では、GDP成長率は2017年に前年比+4.00%、2018年には3.5%となる予測です。2013-16年は、それぞれ9.40%、4.79%、-0.40%、4.27でした。
近年ではロシアよりもEUと関係が近く、データなどの表記もユーロで行われることが増えています。
モルドバの不動産価格は、独立後、内部紛争などの時期を経て、2002年―2007年には毎年前年比30-40%の上昇を続け、経済危機の影響を受けましたが2013年には安定した成長を開始しました。
2016年の価格上昇率は前年比6%、まだ経済危機前の水準まで戻ってはおらず、今後の上昇が見込まれます。
利回りは、首都のキシナウで、40平方メートル前後の小さい物件では13%、70平方メートルで11.81%、120平方メートルで10%と、非常に高い数字が出ています。
モルドバ不動産は外国人でも購入できる?
モルドバにおいて、農地、森林以外は外国人が購入することはできず、短期(1-3年)あるいは長期(5-99年)の賃貸借となります。
モルドバで不動産を購入するステップ
すべての不動産取引は、公証を受け、不動産登記局に登記されなければならず、登記によって所有権の移転は効力を生じます。
購入不動産決定後、買主側の弁護士が土地台帳から非譲渡証明書を取得し、それから売主は地方土地登記事務所で地籍証明書を取得、売買契約書の準備と、登記のための公証をします。
買主は税務署で納税証明書を取得、取引不動産に関連する未払い税がないことを確認することが望ましいです。
公証役場は、権利証移転の契約書を公証、地方土地登記事務所へ所有権移転登記の申請をします。
3年以内の短期の不動産賃貸借は市役所に登録しますが、公証は不要です。
登記をするためには、3-10日間を要します。
モルドバにおける不動産購入時、売却時の「税制」
購入時:
登記費用:
10日間で登記を完了すればよい場合:
不動産価格の0.06%。ただし、267レウ(約12ユーロ)を下回ることはできず、1,335レウ(約67ユーロ)を上回ることもない。
5日間で登記を完了させたい場合:
上記の3倍
3日間で登記を完了させたい場合:
上記の5倍
印紙税:不動産価格の0.2-0.5%
公証費用:不動産価格が高いほど比率は減り、原則として不動産価格の1.3%-0.1%
所有時:
固定資産税:
農村部:0.1%
都市部:0.02-0.25%
首都キシナウ:0.02%
土地税:土地所有者は不動産の所在地や用途により、地方官憲の指定により、支払う必要があります。
賃料にかかる所得税:非居住者の場合、一律10%です。
売却時:
キャピタルゲイン税:非居住者の場合、原則として一律10%です。
モルドバで不動産を購入するのにおすすめのエリア
モルドバの政治、経済、文化の中心である首都キシナウ以外は、多くの外国人から見て「都市」と呼べるものではなく、統計もほぼないため、キシナウ市内での投資をお勧めします。中でも、市の西部である。
- キシナウ中心部
- Buiucani
- Botanica
それぞれの地域は、住宅街であり、賃貸用住宅も集まっています。地方からの出稼ぎ労働者が集まり、小さな物件の賃貸の需要は多いです。
まとめ
モルドバでの不動産投資の魅力は、なんと言ってもその利回りでしょう。
経済成長の見込みに関しましては、同じく旧ソ連の構成国で、独立後もその干渉を強く受けているウクライナと比較されることがよくありますが、現時点では、政情が安定していることから、ウクライナよりも安定した成長を続けています。
また、旧ソ連の構成国の中で、最も不動産に関する法整備が進んでいるという評価もあるので、不動産投資ができるかどうか、検討する価値はあるのではないでしょうか?