フランスで海外不動産投資を考えている場合、現地の銀行で口座を開設できれば投資もスムーズです。特に外不動産投資をするために、物件をローンで手に入れるならフランスの銀行口座開設が必須です。
そこで、フランスでは口座開設にどんな手続きや書類が必要なのか、その手順や必要書類などを解説。さらに、現地のオススメ銀行もご紹介していきます。
渡仏前に日本で準備しておきたいこと
フランスに現地入りしたからといってすぐに銀行口座が開設できるわけではありません。その間、ホテルに滞在したりアパルトマンを借りて生活する必要があります。アパルトマンを借りる際に、資金面の保証をする書類として、銀行口座の証明書や振込先の詳細を記したRIBと呼ばれる銀行口座開設証明書の提出が求められますが、口座開設前であれば、日本の本人名義の銀行口座の残高証明書が必要になります。
渡仏前に、日本の契約銀行で最低3ヵ月以上は生活できる金額(100万円以上が望ましい)の残高証明書を英語翻訳と現地通貨換算で予め作っておくといいでしょう。以前は世界に支店を持つシティバンクの口座を日本で開設し、フランスでの銀行開設前の「つなぎ期間」にその口座を利用する方法もありました。しかし2015年にシティバンクのリテール事業が日本のSMBC信託銀行に統合されたため、現在では旧シティバンクの個人口座にあたるSMBC信託銀行プレスティアで口座を開設すれば、世界のATMで現金の引き出しも可能です。
フランスの銀行口座の種類
フランスで銀行口座を開設すると3種類の口座所有が可能となりますが、不動産を持たない顧客には通常2種類の口座が与えられます。
1.普通預金口座/コント・デポ
いわゆる普通預金口座で、現金の出入、自動引落し、海外送金などがこの口座で行われます。クレジットカードの出金口座にもなり、ATMでは利子も手数料もなく24時間いつでもお金を引き落とすことができます。ただ、カードによって限度額や上限が異なるので注意しましょう。
2.預金口座/リブレA
定期預金口座のことで、利子は0.75%、出入の予定がない金額をこちらに預金しておくとお得で便利です。口座間の振替はできますが、海外送金など外部との出入金サービスはありません。
3.住宅預金口座/コント・デパルニュ・ロジュモン
フランスで不動産を購入する際に開設する口座で、住宅ローンの支払いはこの口座から行われます。利子は1.5%でATM手数料は無料ですが、毎月口座維持費を支払います。
フランスで銀行口座開設の手順
1.口座開設日の予約をとる
フランスではその場で口座開設がすぐできるというわけにはいかないので、どの銀行で口座を開設するか決まったら、銀行に出向くか電話して開設手続きをする日を予約します。その際、開設時に必要な書類などを確認し、予約日までに全書類を揃えておきます。直接銀行に行けば、予約時に必要書類を書いた紙を渡してくれる銀行もあります。
2.必要書類を揃える
フランスで外国人が口座開設するのに必要な書類は以下の通りです。
・パスポート
・滞在許可証:滞在許可証取得には本来銀行口座開設証明書が必要ですが、この時点の滞在許可証は仮のもので、口座開設後に正式な銀行口座証明書を持参すれば正式に滞在許可証が発行されます。
・住居証明:賃貸契約書、ホテル宿泊証明、ホームステイ家主の身分証明書・宿泊証明・公共料金証明
・学生の場合:学生査証・入学証明書・学生証
・銀行から渡された必要書類に記入したもの
・就労者の場合:雇用契約書、3カ月分の給与明細書以上の書類についてコピーが必要な書類もあるので、事前に要コピーか確認し全て用意していきましょう。コピーはコピー専門店もあり、フランスの郵便局やスーパーでもコピーできます。
3.担当者と面談し口座を開設
書類を持っていよいよ口座開設となりますが、日本人スタッフのいない銀行の場合はやはりフランス語が話せる日本人同伴者と行くことをお薦めします。特に地方は英語も話せないスタッフも多いので気をつけてください。
予約した担当者と1対1で面談しますが、この時の担当者が以降のあなたの口座の担当責任者となり、様々な相談に対応してくれます。説明をじっくり聞き大切な箇所はメモしておくといいでしょう。
4.口座使用に必要なアイテムを選ぶ
銀行口座が開設されると、フランスでは日本の預金通帳のような手帳は存在しません。現金の引き落としや支払いなどは、キャッシュカードか小切手で行います。フランスの銀行口座開設時には、「カルトブルーと呼ばれるクレジットカードのみ」または「クレジットカードとシェックと呼ばれる小切手帳の2種」のうちから使用アイテムを選び、書類にサインします。
【クレジットカード/カルトブルー】
フランスではセキュリティの問題上、現金で買い物する客は減っておりクレジットカードの使用がポピュラーです。使用時に4桁の暗証番号を使うだけの単純操作ですが、店によって機械が壊れていたり問題があって使えなかったりと、フランスならではのハプニングも多々あるので、カードだけ持つということは避けた方がいいでしょう。またクレジットカードも種類によって出金の限度額や手数料が異なります。
【小切手帳/カルネ・ド・シェック】
小切手帳はフランスでは日常的に使われており、小切手が20~30枚綴りになった長方形の冊子で、買い物時に金額を書き込みサインして使います。ほとんどの店ではレジに小切手用の印刷機がついているので金額は自動的に書き込まれ、サインをするだけです。その際、身分証明書提示を要求されるのでやや時間をとるという難点があります。小切手の長所は盗まれてもサインがなければ使用できず、銀行で使用ストップがかけられるので安全面では便利です。また小切手で口座から現金を引き出すことも可能ですし、フランスでは現金書留がない代わりに小切手を郵送して支払いする方法が一般的です。
【クレジットカードと小切手帳の配布】
口座開設をしたその日に、クレジットカードや小切手帳を受け取ることはできません。クレジットカードについては、口座開設数日後に銀行から暗証番号などが書かれた書類が送られてきて、その書類を持って銀行に行き、引き換えにクレジットカードを受け取ることになります。つまり暗証番号は自分では決められず、銀行が任意に決めますので馴染みのない数列になるので、忘れないよう慣れるまでメモしておくといいでしょう。また小切手帳の作成も時間がかかるため、準備ができれば銀行から連絡があります。受け取りは郵送か自分で取りに行くか選べることができます。
フランスで銀行を選ぶ
フランスで銀行口座開設にあたって、どこの銀行を選ぶか最初に迷うところです。まずフランスにはどんな主要銀行があるのか紹介します。
フランス大手3大銀行
フランスにも大手から中小まで、都市型から地域型まで、多種多様な銀行が存在しますが、外国人には顧客の多い大手銀行が安心でしょう。フランスの3大銀行は以下の3行です。
Le Crédits Lyonnais/ル・クレディ・リヨネ: www.lcl.com
Société Générale/ソシエテ・ジェネラル: www.societegenerale.fr
BNP Paribas/ベーエヌペー・パリバ: www.bnpparibas.com
この3行は日本にも支店があり、日本では個人口座業務は取り扱ってないものの、何か問題や質問事項が生じた時など、日本の支店でも対応してくれるでしょう。
安心の中堅銀行
他にフランスで人気なのが :
Caisse d’Epargne/ケッス・デパルニュ: www.caisse-epargne.fr
Banque Populaire/バンク・ポピュレー: www.banquepopulaire.fr
HSBC/アッシュエスベーセー: www.hsbc.fr
Crédits Agricole/クレディ・アグリコール: www.credit-agricole.fr
などがあり、いずれもフランス全土に支店やATM設備が整い、安心できる優良バンクです
フランスの郵貯銀行
フランスでも日本と同じように、郵便局で銀行口座を開設することもできます。その利点は口座維持費が安いこと。口座維持費が必須のフランス銀行業界において、郵便局は維持費が各段に安いのが人気の秘密です。ただ、郵便局はいつも込んでおり、おまけに手続きに長時間を要するため慣れない外国人にはお薦めできません。
日本語で口座を開設できるフランスの銀行
上記でご紹介した銀行のうち、口座開設時に日本語の通じる日本人スタッフが担当してくれるのは、以下の2行になります。
「ル・クレディ・リヨネ」のピラミッド支店
住所:20, Av. de l’Opera, 75001 Paris
Tel:0144589421(日本語)「ケッス・デパーニュ」のイル・ド・フランス支店(日本人担当デスク)
Tel:0153008261(日本語)
他にも主要3大銀行のソシエテ・ジェネラルやベーエヌペー・パリバにも、パリなどの大都市では日本人スタッフが銀行内で働いていますから、何か問題があれば日本語で対応してくれるでしょう。口座開設にあたって日本人が常駐して担当する上記2行は日本人にも人気があります。見ず知らずの土地で、口座開設から貯蓄・投資・各種保険のサポートやアドバイスを親身にしてくれるので、フランス語が話せなくても安心して任せられます。
まとめ
以上、フランスの銀行で口座を開設する方法を5つのステップで紹介しました。開設にあたっては沢山の書類の準備や所要時間など、日本の開設方法と違って不便と感じることも多々ありますが、現地で生活するには銀行口座の開設は必須です。フランスの銀行口座を自由に行使して、新たな生活へ飛び込んでみましょう!