2021-06-11

海外不動産投資のメリット・デメリットは?日本との比較や特有のリスクも解説

  • 海外不動産コラム

海外不動産投資には、日本よりも大きな利益を狙える国も多い一方で、注意すべき海外特有のリスクがあります。全体的な海外不動産投資のメリットに加え、国ごとのリスクやローンの情報等について解説します。

海外不動産投資のメリット

海外不動産投資には、日本国内よりも大きな利益を狙える可能性を持っていることや、資産分散によるリスクヘッジなど、様々なメリットがあります。

空室率の低い投資が可能

不動産投資による収益には、家賃収入などの「インカムゲイン」と、不動産価格上昇による売買差益「キャピタルゲイン」の2種類があります。

インカムゲインやキャピタルゲインを狙えるのは、人口増加および経済成長を続ける国の不動産です。また、人口が増加している国では住宅ニーズも増加するため、空室率の低い投資を期待できます。

2021年時点ですでに人口が減少している日本では、住宅ニーズの縮小が予測されるため、慎重にエリアを選ばなければ、空室リスクが高くなる点に要注意です。

経済成長に伴う物件の値上がりを期待できる

日本の不動産価格は新築時が最も高く、築年数の経過とともに下がっていきます。しかし、大幅な経済成長を続ける東南アジアの新興国などでは、今後物価が上昇する期待も大きいものです。

新興国の海外不動産投資では特に、国民所得の増加と物価上昇に伴うキャピタルゲインを期待できます。

首都の物件を日本よりも安く購入できる

東京の不動産価格は世界の中でもかなり高い部類に入ります。その一方で、新興国の首都では不動産価格が上昇中でありながら、まだ東京よりも低価格なエリアも少なくありません。

なお、利回りの計算上、物件価格が安ければ利回りは上がります。首都はその国の中で最も人が集まる都市です。

首都に立地する低価格・高利回りの物件を購入できるのも、海外不動産投資が持つメリットの1つと言えます。

資産分散によるリスクヘッジが可能

日本国内に加えて海外でも不動産投資をすることで、災害や経済に関するリスクヘッジが可能です。不動産投資は災害や経済の落ち込みによって悪影響を受けることも少なくありません。

しかし、エリアを分散して投資できていれば、1箇所で収益が減少しても他の物件の収益でカバーできます。

日本にはない海外不動産投資特有のデメリット

海外不動産投資で特に注意すべきデメリットとしては、情報収集に関わるものや節税ができないことなどが挙げられます。

海外不動産投資を進めるのであれば、国ごとの状況を比較しながら投資先を選ぶことが重要です。

情報収集やエージェント探しが難しい

個人の日本人投資家が新興国などで現地の不動産情報を探すことは容易ではありません。新興国では特に、エリアごとの人口や不動産価格に関する情報が整理されていないことも多いためです。

海外では「エージェント」と呼ばれる不動産業者が投資家をサポートしてくれますが、物件とともにエージェントの見極めが重要です。エージェントの見極めを怠ると、投資に不適格な物件を勧められる、入金後に連絡がつかなくなるなどのこともあります。

海外不動産投資では、日本国内の不動産投資と違って気軽にエージェントに会いに行けません。直接対面でエージェントを見極めにくいため、投資先が先進国であっても要注意です。

新興国では突然規制が変わるリスクもある

海外では、政権交代によって、不動産に関する制度や外国人に向けた規制が一変することもあります。特に新興国には政治情勢が不安定な国もあるので要注意です。政権交代が発生したタイミングで規制が変更されることも少なくありません。

新興国では実際に、外国人の不動産買い占めによって不動産価格や家賃が高騰し、現地民が住宅を購入できないといったことも起きています。このため、外国人による不動産購入の規制に踏み切った新興国も多いものです。

たとえばベトナムでは、外国人による不動産の買い占めを防ぐため、開発プロジェクトごとに外国人が購入できる戸数に制限があります。コンドミニアムは総戸数の30%、戸建て住宅は1街区につき250戸が上限です。

為替と海外送金に要注意

海外不動産は現地通貨で購入しますが、為替レートは変動するため注意が必要です。円高の時に物件を売却すると、為替差損が発生する可能性もあります。また、インカムゲインも円安になると受け取れる日本円が少なくなります。

海外不動産投資には、インカムゲイン・キャピタルゲインともに為替リスクがある点に要注意です。例えば、ベトナムの「VND(ドン)」は、海外への持ち出しが原則禁止されています。

そのため、ベトナム不動産投資では現地で得た収益を日本に送金できません。しかし、デビットカードやクレジットカードの引き落とし先を現地の口座に設定しておけば、日本国内でもベトナムで得た収益を使えます。

減価償却を利用した節税は不可能に

確定申告では、建物部分の耐用年数などから減価償却費を計算し、経費として計上できます。従来は、減価償却費の計上は海外不動産投資にも適用可能でした。

しかし、税制改正によって、令和3年(2021年)に行う確定申告から海外不動産投資では減価償却費を経費計上できなくなります。賃貸管理費などの経費は計上できますが、今後、海外不動産投資による節税効果は小さくなるので要注意です。

海外不動産投資でおすすめの国

日本人も不動産を購入できる海外の国について、メリットやリスクなどを解説します。

フィリピン

フィリピンは東南アジアの中でも特に人口増加率と経済成長率が高く、インカムゲインとキャピタルゲインとをバランスよく狙えます。また、2021年時点では首都のマカオでも1,000万円前後で物件を購入可能です。

その一方で、新築コンドミニアムを購入する際の竣工リスクには注意を要します。フィリピンでは中古不動産市場の整備が道半ばの状況です。

フィリピン不動産投資の選択肢は新築物件が大半ですが、工事が途中でストップした結果、物件引渡しを受けられなかった失敗例も少なくありません。

マレーシア

マレーシア不動産投資のメリットは高い安定性です。マレーシア政府の統計によると、マレーシアの不動産は2010年以降の10年間で安定的に値上がりし続けており、極端な値動きをしたことがありません。

また、経済成長を続けるマレーシアは、東南アジアの新興国の中では最も先進国に近い規模まで発展しています。

不動産関連の法整備なども進んでいるため、不動産業者の見極めを怠らなければ、リスクはそれほど大きくありません。その一方で、マレーシアの不動産マーケットには住宅の供給過剰という問題点があります。

物件を選ぶときには、空室リスクを軽減するため入居者ターゲットは周辺にいるのか検証が必要です。

タイ

タイ不動産投資のメリットは賃貸管理のしやすさです。海外不動産投資では、管理会社とのコミュニケーションも課題の1つになります。しかし、タイの首都バンコクには特に、現地で不動産業を営む日本人も少なくありません。

日本人の不動産エージェントに管理を任せられれば、コミュニケーションの課題を解消可能です。

その一方で、統計から見るタイの将来性は周辺諸国に劣ります。CIAの統計によると、タイでは2020年時点で国民の年齢中央値が39歳に達しています。また、人口増加率も2020年時点で1%を下回りました。今後、タイでどの程度住宅需要が拡大するかは不透明と言えます。

アメリカ

アメリカは人口増加を続ける数少ない先進国の1つです。また、外国人投資家に対する規制がないことから、日本人も自由に不動産投資ができます。

人口増加中のエリアも多いことから、先進国でありながらキャピタルゲインを狙った投資も可能です。その一方で、新興国と比較すると物件価格は高めで利回りが低い物件も多い点はアメリカ不動産投資のデメリットと言えます。

アメリカは、リスクを抑制しながら堅実に投資したい人向けの投資先です。

海外不動産投資の会社を選ぶポイント

海外不動産投資では特に、物件購入後の賃貸管理まで見据えた不動産会社選びが重要になります。海外不動産投資で不動産会社を選ぶ際のポイントについて解説します。

日本語対応が可能な不動産会社を選ぶ

海外不動産投資であっても、情報収集や契約書の締結などを投資家自ら対応することは可能です。

しかし、個人の海外投資家は不動産エージェントの対応を後回しにされてしまうことも考えられる上に、コミュニケーションにも不安があります。

投資をスムーズに進めるためには、日本語対応が可能なエージェントを利用し、煩雑な対応を任せるのがおすすめです。

投資先の国に進出している不動産会社を選ぶ

そのほか、海外不動産投資でリスクヘッジを図るためには、投資先の国に進出しているエージェントを利用するのが重要です。

現地に進出している不動産エージェントは、現地の不動産マーケットや商習慣に精通しています。そうした情報を持っているエージェントを見つけられれば、物件選びや引渡し手続きの際にも安心です。

海外不動産投資に利用できるローン

日本在住の日本人が不動産投資ローンを利用できる海外現地の金融機関は多くありません。その一方で、日本国内で海外不動産投資に融資している金融機関は複数あります。

海外不動産投資でのローンに関する注意点

海外不動産を購入する際に、日本の銀行からフルローンを借りるのは難しいものです。融資を受けられても、融資限度額が物件評価額の50%となる場合が多いほか、日本国内の担保不動産を求められることもあります。

また、海外の銀行でローンを借りられても、100%融資を受けられるのはまれです。物件価格の20〜30%は自己資金を入れるよう求められる傾向があります。

オリックス銀行

定期預金で有名なオリックス銀行ですが、海外不動産のローンも提供しています。審査通過

返済期間
最長35年
担保不動産
日本国内の不動産
(首都圏、近畿圏、名古屋市、福岡市の居住用不動産)
金利
3.3%〜3.675%
金利種別
変動金利または3年・5年の固定特約つき変動金利
必要年収
700万円以上
借入限度額
1,000万円〜2億円以内

※参照:オリックス銀行

SBJ銀行

SBJ銀行には、アメリカのハワイ州ホノルルの不動産を購入する時にだけ利用できる不動産投資ローンがあります。その「海外不動産(ハワイ州ホノルル)購入ローン」なら、日本国内で海外不動産投資用のローンを組めます。

SBJ銀行のローンを利用するメリットは、日本国内の担保不動産が不要なことです。ただし、ホノルル市内に立地する物件購入にしか利用できない点がデメリットと言えます。

返済期間
最長35年
担保不動産
購入対象の不動産に抵当権を設定
金利
2.8%
金利種別
変動金利
必要年収
安定・継続した収入が必要
借入限度額
1,000万円〜2億円以内

※参照:SBJ銀行

東京スター銀行

東京スター銀行には、ハワイのオアフ島南部エリアに立地する不動産を担保にして、利用できる不動産投資ローンがあります。東京スター銀行のローンを利用するメリットは、固定金利でローンを組めることです。

金利変動のリスクがない一方で、返済期間が5年以内と短いため、毎月の返済額が大きくなる点はデメリットと言えます。

返済期間
5年以内
担保不動産
購入対象の不動産に抵当権を設定
金利
2.8%
金利種別
固定金利
必要年収
安定・継続した収入が必要
借入限度額
1,000万円〜2億円以内

※参照:東京スター銀行

まとめ

日本国内の不動産投資と比較すると、インカムゲインやキャピタルゲインを狙えるエリアも多いことが海外不動産投資のメリットです。しかし、現地通貨で取引することから、為替等のリスクには注意を要します。

なお、新興国と先進国とでは特に注意すべきポイントが異なるため、優先したい利益や抑制したいリスクを決めてから投資先を選ぶのがポイントです。

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