イギリスで不動産を購入するには、どこから手をつけるべきか分からない人は多いのではないでしょうか?
「どうやって不動産を探せばいいの?」
「購入する時には物件価格以外にかかる費用はあるの?」
「どうやってお金を支払えばいいの?
といった疑問は尽きないでしょう。
そこで、今回はイギリスで不動産を購入するための事前知識や具体的な方法、必要な費用について、ステップに分けて解説していきます。
イギリス不動産を購入するための事前知識
イギリスでの不動産購入は日本や他の国とは異なる規制や税制などがあります。ここでは3つの重要な点について説明していきます。
外国人のみを対象にした購入規制はない
セーフヘイブンと呼ばれるイギリスの不動産市場は、イギリスにとっては外資を呼び込む材料として、海外投資家からは優良な投資対象として見られてきました。
長い時間をかけて発展してきたイギリスの不動産市場では外国人だけに適応される規制はなく、他の国でみられる戸数制限や購入可能な不動産価格の下限などは存在しません。
土地・不動産所有権がFreeholdとLeasehold の2種類存在する
Freeholdは土地や建物の永続的な所有権を表し、一方のLeaseholdは土地や建物の期間が定まっている所有権・賃貸権を表します。新規Leasehold の期間は125年となることが一般的です。
Leaseholdでも内装を自由に変えることは可能な場合が多く、リノベーションが必要な物件を購入して内装を綺麗にしたり、時には壁を壊して部屋のサイズを変えることもできます。
こうして改装した物件を購入金額よりも高値で売却するという不動産投資方法もイギリスでは活発に行われています。
住宅ローン(mortgage)や税制などの条件が購入目的で異なる
イギリスでは上昇し続ける不動産価格を背景に、buy to letと呼ばれる不動産投資が長い間盛んに行われてきました。しかしその影響として、不動産の価格が上がり過ぎたために若い世代が物件を購入することが困難になってきました。
この状況を改善するためにイギリス政府は2013年4月からhelp to buyと呼ばれるプログラムを導入しました。これは購入者が自身の住居用として初めて不動産を購入する場合にかぎり、税制や住宅ローンが優遇されるというものです。
また、2軒目以降の購入の場合も、自身の住居用と賃貸用では条件や審査内容が異なる住宅ローンが存在するため、ローンを組んで不動産を購入する場合は「どのような目的で購入するのか」が資金の規模を決める大きな鍵となります。
イギリスの不動産を購入するための8つのステップ
1. 不動産購入の目的を考え、資金の目処をつける
上記でも述べましたが、イギリスでは賃貸用不動産の購入(buy to let)の場合と自分で住む不動産の購入(特に初回であるhelp to buy)の場合で税制や住宅ローンの条件が異なります。
そのため幾らくらいの頭金が必要なのか、どの程度のローンが組めるのか、といった全体の予算の見通しをまずは立てる必要があります。
特にイギリス非居住者のローン申請は厳しく条件付けされているので、現金一括購入をしない場合は慎重な見極めが必要になります。イギリスでは独立したファイナンシャルアドバイザー(IFA・Independent Financial Advisor)や住宅ローンブローカー(Mortgage Broker)、または直接金融機関に相談することができます。
また、物件の価格以外にかかるお金は以下のようになります。
- 事務弁護士(Solicitor)500~1500ポンド+20%の消費税(VAT)
- 不動産鑑定士(Surveyor)250~600ポンド以上(調査書の種類や物件の大きさにより異なります)
- 印紙税(Stamp Duty)不動産価格によってパーセンテージは異なり、投資目的や2軒目以降の購入の場合は3%が上乗せされます
- 振り込み手数料 25~50ポンド
- エージェントへの手数料 <買主側がエージェントやコンサルタントを立てた場合> 物件購入価格の0.5~3%+VAT <売主のエージェントと直接やりとりをする場合> 売主が手数料を負担するため、買主は0ポンド
住宅ローンを借りる場合は以下も加わります。
- 価値調査(Valuation Survey)無料もしくは150~1500ポンド(住宅ローンの条件により異なります)
- 住宅ローン(Mortgage)の口座手数料 100~300ポンド(住宅ローン口座の条件により異なります)
- 住宅ローン(Mortgage)の手数料や予約金 0~2250ポンド(住宅ローンの条件やIFA、住宅ローンブローカーなどによって異なります)
2. 不動産エージェントやコンサルタントを通して購入するかどうかを決める
現地の日系不動産エージェントやコンサルタントを通せば言葉のストレスがなく、物件探しや諸手続きを進めことができます。
こうしたサポートを受ける場合は物件購入金額の数%+VATの手数料がかかります。しかし例外として、そのエージェントで売却を担当している物件を購入した場合は、売主が手数料を負担するため、買い手側の手数料は0になる場合もあります。
英語でのやり取りに問題がない方も、いくつものエージェントと内覧の調整をするのは面倒であればエージェントに依頼すれば手間を省くことができます。
この場合も購入金額の0.5~3%の手数料が発生しますが、依頼したエージェントが取り扱っている物件を購入した場合は、買主の手数料の負担は発生しません。
3. 購入する物件を探す
ウェブサイトで検索したり、物件を購入したい地域が決まっている場合は、その地元のエージェントへ直接問い合わせをして、希望に沿う物件を探しましょう。気になる物件があったらエージェントに連絡して内覧(viewing)を手配してもらいます。
エージェントやコンサルタントに物件探しを頼む場合は希望を伝えると、条件にあった物件をリストアップしてくれるでしょう。
また一般的に、物件価格は交渉を見越して高めに設定されているので、多少予算オーバーの物件も内覧してみると良いかもしれません。
4. 売主にオファー出す
購入したい物件が見つかったら、まずはエージェントを通して売主にオファー(offer)を出します。最初のオファーで希望の条件は全て伝え、希望の購入価格よりも低めで提案するようにしましょう。その後、売主からも新しい条件が提示されるので交渉を重ねていきます。
5. 事務弁護士(Solicitor)と不動産鑑定士(Surveyor)を手配する
大まかな売買合意が固まると、事務弁護士(Solicitor)と不動産鑑定士(Surveyor)の手配が必要になります。事務弁護士は法律まわりの確認を担当し、仕事を依頼する際には着手金(deposit)として事務弁護士費の10%を支払う必要があります。
不動産鑑定士は物件の状態を表からでは分からない部分まで確認し、調査書を作成します。こうした確認や調査は1~2ヶ月ほどかかります。
6. 最終的な売買合意をまとめる
事務弁護士が確認した情報や不動産鑑定士がまとめた調査書を元に、価格や条件を再度交渉します。
そうして最終的な売買合意がまとまった所で、事務弁護士が不動産売買契約書の作成に取り掛かります。
7. 住宅ローン(Mortgage)を手配する
合意した物件の価格にのっとって、住宅ローン(Mortgage)の手配をします。住宅ローンの貸し手は価値調査(Valuation Survey)を行い、物件の価値と価格が見合っているかどうかを調査します。また、買い手に返済能力があるか、信用調査も行われます。
8. 契約書を取り交わすまで
イギリスでの不動産購入は売買契約書を取り交わすまで、気を抜くことができません。というのも、契約書を交わすまでは双方とも売買合意を取り消すことが可能だからです。
例えば、売主が「売るのをやめた」もしくは「もっと高いオファーを他の人からもらった」場合や、買主の「住宅ローンの審査が通らなかった」場合に売買合意の取り消しが行われます。
こうした事態を避けるためには、事務弁護士やエージェントとは密にコミュニケーションを取り、売主との意思疎通を円滑にして、契約書を取り交わすところまで進める必要があります。
また、この段階で売買合意が流れてしまった場合でも事務弁護士費用、不動産鑑定士費用の支払いは発生します。
9. 不動産売買契約締結とデポジット(Deposit)の支払い
契約書に双方のサインが入ると契約の締結が完了します(事務弁護士に委任状を渡している場合は事務弁護士が代筆可能)。また、契約書の取り交わしの際には購入価格の10~25%を予約金(Deposit)として支払う必要があります。
この予約金は買主から買主の事務弁護士を通して売主の事務弁護士へと渡ります。契約を交わしても予約金の支払いがされていない場合は正式な売買契約の成立とならないので注意してください。
10. 各種支払い
不動産売買の契約書が締結されてから契約書に記載してある決済日時までに、残りの購入費用を買主側の事務弁護士を介して、売主側の事務弁護士に支払います。また、契約書の締結から30日以内に印紙税(Stamp Duty)を支払う必要があります。この印紙税の支払いは通常、事務弁護士が手続きを行います。
他にも事務弁護士手数料の着手金を引いた残金の支払い、買主がエージェントやコンサルタントを依頼していた場合はその手数料の支払いも必要になります。
11. 物件の引渡し・不動産の登記情報変更
全てのお金が売主の口座に着金すると鍵の受け渡しが行われます。また、事務弁護士が地元のカウンシル(council)へ赴き、登記情報(Land registry)の変更を行います。
まとめ
今回はイギリスの不動産を購入する際の手順について11ステップで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
イギリスでの不動産購入は事務弁護士や不動産調査士による調査や、売主との交渉が入るため長い時間がかかりますが、その分第三者からのチェックが入り、買い手と売り手の権利が平等に扱われる点がメリットと言えます。
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