新しい550億ドル(約3.6兆円)規模のインフラや輸送経路の後押しを得て、シドニーでは今後数年で様々な開発プロジェクトが行われる予定となっている。シドニーの活気を増すオフィス市場や堅調な住宅市場、新しい輸送インフラなどが、民間のデベロッパーやREITによる建築開発ブーム参入に拍車をかけているという。

ニューサウスウェールズ州においては、2027年までに人口が900万人に増加するという見通しもあり、州政府は輸送インフラの改善開発に多くの予算を充てている。

今後予定されている主なプロジェクトは下記の通り。

1. シドニーメトロ
新地下鉄敷設事業「シドニーメトロ」は、2024年までに66km、31駅が開通する予定となっている。完成すると毎時200本の運行で約4万人を運ぶことが可能になる。総工費については、シドニー市街中心地(CBD)や南西部への拡張は120億ドル(約7,850億円)、西部郊外への拡張にはさらに100億ドル(約6,540億円)がかかる見通しである。

2. 西シドニー空港
シドニー西部のバジェリーズ・クリークで進められている西シドニー空港の開発は、現在掘削作業が行われており、総開発費は53億ドル(約3,470億円)に上ると言われている。完成は2026年12月の予定で、年間1,000万人規模の利用を見込んでいる。

3. ワン・バランガルー / ワン・シドニー・ハーバー
バランガルーは、シドニーの中心業務地区(CBD)の北西部で行われている再開発エリアである。カジノやホテル、アパートメントからなる複合タワー「ワン・バランガルー(One Barangaroo)」は2021年オープン予定とあり、ほぼ完成間近の姿を確認することができる。「ワン・シドニー・ハーバー(One Sydney Harbour)」においては、30階建て、72階建て、62階建ての3つの超高層住宅建設が進められている(完成は2023年予定)。

4. 505ジョージ・ストリート(505 George Street)
シドニー市街中心地(CBD)に建設予定の「505ジョージ・ストリート」は、開発費10億ドル(約654億円)の超スリム型高層ビルである。完成するとシドニーで最も高い住宅タワーとなる。

5. エアロトロポリス
「エアロトロポリス(Aerotropolis)」は、新しく開発が進められている西シドニー空港の開港に合わせ新空港周辺で行われている新都心開発計画で、商業、農業、工業、住宅開発などが含まれる。また航空宇宙や防衛などの新興産業を誘致することで、20万人の雇用機会を生み出すことも重要な目的となっている。

6. パワーハウス・ミュージアム
シドニーの観光名所にもなっている「パワーハウス・ミュージアム」は、ウルティモ(Ultimo)中心部からシドニー西部郊外のパラマタ(Parramatta)への移転が計画されている。移転後には、ニューサウスウェールズ州最大の博物館となる。このプロジェクトは、オペラハウス以来となる芸術・文化部門への大型投資となる。

7. パラマタ・スクウェア
国内最大規模の都市再生プロジェクトの一つである「パラマタ・スクウェア(Parramatta Square)」地区の開発は、総工費32億ドル(約2,095億円)、2022年の完成が予定されている。商業および住宅施設の複合プロジェクトは、5つのタワーで構成され、インターチェンジやウェストフィールド・パラマタ(ショッピングセンター)にも近い。

8. キー・クウォーター
「キー・クウォーター・タワー(Quay Quarter Tower)」は、地上200m、50階建てのビルで、5層に分かれたユニークなデザインが特徴的である。完成は2022年初頭の予定。またキー・クウォーター地区においては、106戸のアパートメントを含む複合施設開発「Young and Loftus」も進められており、こちらは今年中に完成する予定となっている。

9. セールスフォース・タワー
日本の三菱地所も参画している53階建てのプロジェクト「サーキュラー・キー・タワー(Circular Quay Tower)」は、国内で最も環境に優しい建築物の一つとなる。53階のうち24階分は米系セールスフォース社(Salesforce)が入居することになり、ビルの命名権についても取得している。2022年に完成すると、シドニーで最も高いオフィスビルとなる。

10. ワン・サーキュラー・キー
「ワン・サーキュラー・キー(One Circular Quay)」は、シドニー市街中心地(CBD)ウォーターフロント再開発プランにおいて重要なプロジェクトと位置づけられている。現在開発中の高層タワーは、300戸を超える高級アパートメントとホテルの複合施設となる。

11. 39マーティン・プレイス
オーストラリア最大の投資銀行マッコーリー・グループの「39 マーティン・プレイス(39 Martin Place)」プロジェクトは、新しい地下鉄駅と統合され、現在のマッコーリー本社へとつながる予定である。29階建てのサウスタワー、39階建てのノースタワーから成り、統合される駅は2024年に完成する予定である。

12. コックル・ベイ・ワーフ
開発費6.5億ドルをかけたコックル・ベイ・ワーフ(Cockle Bay Wharf)エリアの再開発は、完成するとダーリングハーバー(Darling Harbour)とシドニー市街中心地(CBD)がつながれることになる。

13. デニソン・ストリート
新しいランドマークとなる「1デニソン・ストリート(1Denison Street)」は、完成間近である。6万㎡に及ぶオフィススペースには、オーストラリアの民間テレビネットワークである「Nine Network」の本社も入居する予定だという。

14. シドニー魚市場
世界で3番目に大きなシドニー魚市場は、小売りスペースを2倍に拡大される予定となっている。現在の市場も再開発が行われ、アパートメント開発なども含まれる可能性があるという。再開発は2020年後半に着手、2024年に完成する予定であり、集客数は2倍に増加すると見られている。

15. グリーンランド・センター
中国系デベロッパーが手掛ける「グリーンランド・センター・タワー(Greenland Center Tower)」は、シドニー市街中心地(CBD)内に7億ドルをかけ開発されたビルである。完成すると、西欧で最も高い住居ビルである「Spire London」と同じ高さとなる。(「Spire London」は、同じくグリーンランド・グループが手掛けている。)


【参照】Sydney's top 15 major development projects

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