スイスの国際経営開発研究所(IMD)とシンガポール工科デザイン大学が行った調査「IMDスマート・シティ・インデックス」が発表され、世界で最もスマート・シティ化が進んでいる都市はシンガポールであることがわかった。

今回の調査では、公共の安全や交通の利便性、ガバナンス、医療等の観点から、各都市における緑地の維持、既存の施設の改善、雇用におけるデジタル化、市民の安全維持などを評価している。

現在のところ「スマート・シティ」という言葉における定義は様々で、統一的な見解はないとされているが、「スマート・シティ」というコンセプトは、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)の普及と共に考案されたものである。「スマート・シティ」化が進むことで、都市サービスの提供や開発の改善が期待される。

シンガポールが「スマート・シティ」化が進んでいるとされるポイントは下記の通りである。

1. 医療都市の開発
スマート・シティにおいて、医療周辺事業をつなぐヘルスケア・エコシステムは必要不可欠である。シンガポールのノベナ地区では、「医療都市」としての開発が進められており、医療施設と共に歩行者専用道路や地下駐車場、緑地エリアなどのインフラ整備が行われているという。

2. 住宅環境の整備
シンガポールでは、国民の8割以上が住宅開発庁(HDB)の提供する公営住宅に住んでいる。シンガポールのような多様性のある国にとって、住宅の管理や提供は非常に重要になる。国は、コミュニティの寛大さ、家族の絆、人種間の調和などにおける性質をうまくまとめるだけではなく、財政計画や住宅の割当、保険なども含め包括的に住宅環境を整備していく必要がある。国が住宅のIoT化を積極的に勧めていくことで、住民の快適な生活が可能になる。

3. 交通利便性
交通利便性は、生活の良し悪しを決める重要な要素となる。陸上交通庁(LTA)は10月末、自律走行車(AV)の試験エリアをシンガポール西部全体に拡大している。またLTAは、徒歩や自転車での毎日の通勤をMRTやバスなどの公共交通サービスと統合するためのインフラ構築も進めている。このような取り組みは、レクリエーションスペースの拡張、持続可能なエネルギー使用の促進、大気汚染の減少などにつながるという。

このような取り組みは、行政がしっかりとしたリーダーシップを発揮しつつ市民の声に耳を傾けることで形になるものである。さらに財政的な課題をクリアできれば、シンガポール以外の国々でも「スマート・シティ化」を進めることは十分可能であろう。

今年の秋には、世界経済フォーラムによって選出されたメンバーからなる「ヤング・グローバル・リーダー」のフォーラムが、シンガポールの南洋理工大学(NTU)との協力の下、開催された。フォーラムでは、スマート・シティについての検討が行われ、シンガポールはそのケーススタディとして共有された。

Image: REUTERS/Edgar Su

【参照】3 reasons why Singapore is the smartest city in the world

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