「外資の参入がまだ少ないからこそ、先行者利益を狙える」。そう話すのは、モンゴルで既にオフィスビルを2棟建設し、そのうち1棟を完売させた実績を持つ、株式会社インベスコア代表の小林・リヒャルド・ワルター氏です。今回は同氏に、モンゴル不動産の魅力についてインタビューを行いました。
株式会社インベスコア 代表取締役 小林・リヒャルド・ワルター氏
1979年生まれ、2003年に国際基督教大学を卒業後、日立化成に入社。その後ドイツ赴任やTOTOヨーロッパへの転職を経て、2010年からモンゴルの証券会社に入社。モンゴルベンチャー企業副社長を経験し、日本で株式会社インベスコアのCEOに就任。



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2010年からモンゴルに駐在、不動産投資のポテンシャルを感じる

なぜ、モンゴルで不動産事業をされようと考えたのですか?

2010年頃に、モンゴルで証券会社に勤めていた時に、多くの方から、「モンゴルで不動産投資できないか」と聞かれていたんです。

そこから現地で不動産市場を調査していたところ、モンゴルには不動産が足りておらず、ポテンシャルがあることが分かったのです。

2010年頃と比べ、モンゴルはどのように発展してきたと感じますか?

5年モンゴルに住んでいたんですが、ウランバートルは当時と比べて変わりましたね。個人的には、街並みが都市化する中で、外食産業が増えたことが楽しみでした。

外食できる飲食店は多くありませんでしたが、今は美味しいお店がたくさんあります。今年の夏には、日系のコンビニチェーン、サークルKもできました。

ゲルに住んでいる人でさえローンが組める経済力がある

画像:ゲルとビルが共存するモンゴルの街並み

モンゴル不動産の魅力とはなんですか?

まず、価格の安さがあります。モンゴルの現在の経済成長率は、2017年にはインドネシアやマレーシアと同程度で、東南アジアの成長国と比べても引けを取らないレベルです。

しかし、不動産価格はこれらの国の中ではまだ低価格です。目立った観光地でないため、あまり注目されてないところが魅力だと思います。

モンゴルでは、1992年にそれまでの共産主義から民主主義になりました。それをきっかけとし、60万人だった首都ウランバートルの人口は、現在150万人にまで増加し、モンゴルにおける総人口の約50%を占めています。

そのため、現在首都ウランバートルでは、住居が足りない状況が続いています。

また、ゲルに住んでいる人々の経済力も魅力的です。

モンゴルの国民の約25%にあたる80万人は、現在でもゲル(モンゴルの伝統的なテント)地区に住んでいますが、そのうち3分の1は銀行で住宅ローンを組める経済力があるのです。

今後経済発展が進むと、ゲルからアパートや戸建て物件に移行する人々が増えることが予測されるため、住宅購入の潜在的な需要は大きいと考えています。

モンゴルは資源国としてのポテンシャルも高いですよね。

はい、銅、石炭、金、原油、レアアースなどの資源が豊富です。外資が入って開発が進んでおり、この鉱山開発が進むと、現在のGDPを25%押し上げると言われています。

しかし、モンゴル政府は鉱物資源の依存状態に問題意識を持ち、同じ鉱山国であるチリをモデルにして、農業とIT、仮想通貨を使って国を発展させようとしています。

また、再生可能エネルギー事業にも力を入れています。モンゴルは標高が高く風が強いため、風力発電が盛んです。

そこに商機を見出したソフトバンクとモンゴル企業が、合同で風力発電により、周辺国に電力を輸出するプロジェクトをスタートさせています。

また、広大な草原を利用し、太陽光発電のパネルを設置し、ゲルへの電力供給も行っています。

このように、経済発展のポテンシャルが高い割に、外資の参入が多くはないため、今なら先行者利益を狙えるというのが魅力ですね。

ウランバートルの一等地なのに割安な物件

画像:現在インベスコアが建設中の物件

今回、ウランバートルに居住用のサービスアパートメントを建設されていますが、周辺物件より優れている点はありますか?

立地が優れている割に、物件価格が安いことです。モンゴルの中心地、スフバートル広場の近隣で、最も地価が高いと言われるシャングリラホテルからすぐの場所に位置しています。

この立地でありながら、周辺相場よりも安く販売できるのは、独自のタイミングで土地を仕入れたことが要因となっています。

2012年にモンゴル経済が落ち込んだと同時に、地価も同時に下落しました。しかし、当社は再度経済が復活し、地価が上昇することを予測していたため、そのタイミングで土地を購入しました。その後、予測通り地価が上昇したため、結果的に一等地を底値で仕入れることに成功したのです。

また、日本の建設会社によって施工されているので、外装・内装ともに、クオリティの高いアパートになっています。日系企業により開発されたアパートは現地でも人気があるため、賃貸付けにも有利になるでしょう。

この居住用アパートに、100万円小口で投資できるというのも魅力だと思います。

入居者はどのような人を想定されていますか?

各国の大使館や企業に勤める外国人駐在員で、彼らは政府機関や企業が集まる都心に住むニーズを強く持っています。

モンゴルは渋滞がひどく、車で数百メートル進むのに1時間以上かかることもあります。そうすると、重要な会議などに遅れるわけにはいかないので、彼らは徒歩で移動できる立地を好みます。

今回当社が販売するのは日本大使館から1分、ウランバートルの中心地ですから賃貸付けに有利に働く可能性は高いと考えます。

プレビルドで既に1/3が販売済

画像:インベスコアが購入した土地

物件の販売状況を教えてください。

2018年11月現在、居住用の部屋は、まだプレビルド(まだ建物が完成していない状態)ですが、既に3分の1が売れています。

当社はこれまで、モンゴルにオフィスビルを2棟建てていますが、1棟目は完売、2棟目も80%で完売間近です。

モンゴルでは、2012年~2016年の外資規制政策による不景気から、不動産業者が多数倒産しており、今でも建設が途中で止まっているビルが多数見受けられます。

やはり、プレビルド物件は完成した物件と比較すると安価な分、リスクもあります。

ですから、プレビルド物件を購入する場合は、建設中止のリスクが低いデベロッパーを選ぶ必要があります。

モンゴルの不動産に投資するリスクも教えてください。

カントリーリスクとしては、中国とロシアという大国に挟まれていることでしょうか。しかし、モンゴルは民主主義国であり、選挙によって与野党も入れ替わります。

さらには、宗教・民族紛争もなく、独裁者の気まぐれで法律が変わることのない国なので、大きなリスクはないと考えます。

為替リスクはどうですか?

自国の通貨である「トゥグルグ」は流通量が少ないため、変動幅が大きいです。

しかし、当社の物件に限って言えば、外国人駐在員をターゲットにしているため、家賃はドルで受け取れ、為替リスクは最低限に抑えられます。

最後にモンゴル不動産を検討されている方へメッセージをお願いします。

モンゴルを投資先として検討する人は少ないと思いますが、まだ外資の参入が多くないからこそ、先行者利益を得られる可能性があります。

また、国というマクロな視点だけでなく、物件の立地条件やデベロッパーの信頼性など、ミクロな視点でも投資判断をしていただきたいですね。


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