日本人が住みたい国として人気のマレーシア。南国の気候で自然を感じられる一方で、ツインタワーとして世界一の高さを誇る「ペトロナス・ツイン・タワー」に象徴されるように都市開発が進んでいます。
マレーシアの2020年度の年齢中央値は30.26歳で、日本の48.4歳を大幅に下回っているほか、タイ・シンガポール・ベトナムなどの国々と比べても若いです。またマレーシア政府は、2025年までに先進国になることを目標に掲げています。マレーシアは大きな将来性も持っています。
しかもマレーシアは、2021年時点で外国人による不動産購入の規制を緩和中です。そこで今回はマレーシアの不動産投資のメリットとリスクについて紹介します。
マレーシア不動産投資の代表的なメリットは?
1-1.人口増加と経済成長を背景としたキャピタルゲインを狙える
マレーシアは、例えば日本と比較すると人口増加率やGDP成長率が高い特徴を持っています。日本とマレーシアとの比較は以下表の通りです。
2015年〜2020年の 平均人口増加率 | 2025年の予測GDP成長率 | |
マレーシア | 1.3% | 5.0% |
日本 | -0.2% | 0.6% |
人口が増加しているエリアでは住宅需要が拡大します。また、GDP成長率が高いエリアでは、物価上昇に伴う不動産価格の値上がりを期待できます。マレーシアでは人口増加および経済成長の両面でキャピタルゲインを狙った投資が可能です。
1-2.税金の種類が日本より少ない
海外の不動産を購入する場合、日本の税制は適用されず、不動産がある国の税制が適用されます。マレーシアは日本にくらべ、不動産にかかる税金の種類と金額が少ないのが特徴です。また住民税や相続税、贈与税もなく、マレーシアに住所を移せば節税効果も期待できます。
1-3.将来的な移住に有効
マレーシアには、長期滞在ビザ「MM2H」があります。「MM2H」とは「Malaysia My Second Home」の頭文字をとった略語です。ビザ申請時に財産・収入証明は必要ですが、年齢制限はなく、条件を満たせば、比較的容易に取得できます。
MM2Hがあれば、最長10年マレーシアに住めます。永住権ではありませんが更新可能なため、期間延長も可能です。ちなみに国別取得者の合計数は1位が中国、2位が日本となっています(2018年時点)。
購入した物件は、投資用としてだけでなく、移住した際の住居としても利用可能です。マレーシアの物価は日本の3分の1程度なので、首都クアラルンプールの高級なコンドミニアム(日本でいう分譲マンションのこと)も、安価で販売されています。
クアラルンプールの高級コンドミニアムには、プールやジム、テニスコートなどが併設されている物件も多いものです。クアラルンプールのコンドミニアムに住めば、日本よりワンランク上の生活を送るのも夢ではありません。マレーシアはリタイア後の移住先にもおすすめです。
2.マレーシア不動産投資で要注意のリスク
2-1.外国人投資家に対する不動産購入価格の規制
東南アジアには、外国人による土地付き住宅購入を禁止している国も数多くあります。しかしマレーシアは、外国人による土地付き住宅の購入と所有を認めています。外国人も複数の物件を所有できるうえ、外国人の名前で登記も可能です。
ただし条件として、外国人が買えるのはRM60万(約1,620万円、RM1=27円換算:2021年時点)以上の物件に限られています。以前は最低購入価格がRM100万でしたが、外国人の購入を促すために基準が下げられました。とはいえ、RM60万円の物件は現地の人からすると高級であることは変わりません。
2-2.空室リスクに要注意
首都クアラルンプールでは住宅の過剰供給が起きています。供給過剰の背景となっているのは、住宅市場に中国系資本が大量流入したことです。不動産投資の主な収入源は入居者から入る家賃収入です。
マレーシア不動産投資で空室を防ぐためには、とにかく質のいい物件を選ぶ必要があります。またマレーシアでは、基本的に家具などもそろえた状態で賃貸に出します。現地に住む富裕層が好む内装や家具を入れるのも戦略のひとつです。
2-3.現地金融機関の住宅ローンを使うと赤字の可能性も
マレーシアでは、外国人でも現地の金融機関で住宅ローンを利用できます。ただし近年は審査が厳しく、住宅ローン承認率は50%を切っています。また、承認が降りたとしても、「MM2H」のビザがない外国人の場合、借りられる金額は物件価格の50%程度です。
なお、金利には要注意です。日本における2021年初頭時点の長期金利は0.05%未満ですが、マレーシアでは1.75%で推移しています。新型コロナウイルス以前はもっと高金利だったので、住宅ローンのハードルも下がりつつあるのは事実です。
とはいえ、高金利のローンを使えば、家賃収入が不十分な場合は赤字経営になってしまいます。支払金利も考慮すると、なるべくローンを使わずに物件購入するのがおすすめです。
3.まとめ
国としての将来性があり、日本人も住みやすい環境のマレーシア。投資のリスクはあるものの、外国人による不動産購入の規制を緩和しているだけに、投資先や移住先として検討してみてはいかがでしょうか。