世界の金融事情を司るとも言われるアメリカでは、高金利が続いています。年に数回、政策金利の変更が実施されていますが、依然として日本や欧州、その他の国と比べると高い金利が特徴です。

本記事では、アメリカの銀行金利に関する情報をまとめます。アメリカの銀行金利の最新動向や、主要銀行における金利の比較、アメリカでローンを組む際の注意点などを解説していきます。

アメリカの銀行金利とは

アメリカの銀行金利は、「普通預金」や「定期預金」、「住宅ローン」などの金利を指し、FRB(アメリカ連邦準備制度理事会)の政策金利に大きく影響される。一般的に、国の政策金利が上昇すると預金金利も上がるだけでなく、住宅ローンや事業融資の金利も高騰し、お金を借りる側の負担が増します。

アメリカの金利は日本や欧州より高い傾向があり、インフレ時には大きく変動しやすいです。金利の動向は資産運用や不動産市場に影響を与えるため、常に最新の情報を入手することが大切です。

アメリカの銀行金利の最新動向

新型コロナウイルスの感染拡大以降、アメリカはインフレ抑制に向けて、FRBは政策金利を急速に引き上げており、これに伴い銀行の預金金利やローン金利も上昇しています。

2024年現在、アメリカ大手銀行の普通預金金利は0.01〜0.50%程度ですが、ネットバンキングでは4.00%以上の高金利商品も見られます。一方、定期預金(CD)の金利は5%前後と高水準を維持しています。また、住宅ローン金利も上昇しており、30年固定ローンの金利は7%を超える水準となり、住宅購入者への負担が増しています。

アメリカ主要銀行の金利比較

アメリカの主要銀行(バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース)の普通預金金利と定期預金金利を比較すると、それぞれ特徴が異なります。

普通預金の金利は、いずれの3銀行も「 0.01%〜0.03%」と低く、銀行預金に対する利息収入を期待するのは難しい状況です。大手銀行が主に利便性やセキュリティを重視する顧客をターゲットにしており、高金利での預金には積極的でないためです。

次に、定期預金(CD)金利は 2.75%〜3.51% と銀行ごとに若干の違いがあります。バンク・オブ・アメリカが一番高く3.51%、JPモルガン・チェース銀行が3.0%、ウェルズ・ファーゴ銀行が2.75~3.25%です。

上記のとおり、普通預金による利息は難しい一方、定期預金であれば利息が期待できます。

銀行名普通預金金利
定期預金金利
バンク・オブ・アメリカ
0.03%
3.51%
ウェルズ・ファーゴ銀行
0.01%
2.75~3.25%
JPモルガン・チェース銀行
0.01%
3.0%

アメリカの不動産ローン金利の動向

近年、アメリカの不動産ローン金利はFRB(米連邦準備制度)の金融政策やインフレ動向によって大きく変動しています。2022年以降では、FRBの利上げにより住宅ローン金利が急上昇し、借り手にとって負担が増加しています。

住宅ローンの金利推移

アメリカの30年固定金利住宅ローンの推移を見ると、2020年には3%以下の低金利でしたが、2022年以降はFRBの利上げにより上昇を続け、2023年には7%台に達しました。2024年も高止まりしており、住宅購入のハードルが高くなっています。

過去数年間の平均住宅ローン金利推移(30年固定)

2020年:2.7%〜3.1%(歴史的低水準)

2021年:3.0%〜3.5%(緩やかな上昇)

2022年:4.0%〜7.0%(急上昇)

2023年:6.5%〜7.5%(高水準維持)

2024年:6.0%〜7.0%(高止まり)

出典:アメリカ 抵当証券 30年住宅ローン利率

金利上昇が住宅市場に与える影響

住宅ローン金利の上昇は、住宅市場に大きな影響を与えています。

・住宅購入者の減少

金利が高くなると、月々の支払い額が増えるため、多くの買い手が購入を見送る傾向が高まります。

・住宅価格の下落

買い手が購入を見送る傾向が続くことで買い手が減り、売り手側も価格を下げざるを得なくなり、一部地域では価格調整が進行します。

・既存住宅市場の停滞

低金利で住宅ローンを組んでいる所有者は、より高い金利での借り換えを避けるため、物件の売却を控えるケースが増加します。

新築住宅市場では、建築コストの上昇と金利高のダブルパンチにより、販売が鈍化する傾向が見られます。

ローンを組む際のポイントと注意点

住宅ローンを組む際には、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。まず、固定金利と変動金利の選択が大きな判断材料となります。固定金利は、将来的な金利上昇のリスクを回避できるものの、初期の金利がやや高めに設定されています。

一方、変動金利は短期的には低金利で借りられますが、将来的に金利が上昇するリスクがあるため注意が必要です。

次に、頭金の準備も重要です。一般的に、20%程度の頭金を用意すると借入額を抑えられ、より有利な金利が適用される可能性があります。総支払額を抑え、ローン返済の負担を軽減できます。

また、クレジットスコアの向上も低金利のローンを利用するためのカギです。クレジットスコアが高いほど金融機関からの信用が得られやすく、より良い条件でローンを組めます。事前にスコアを確認し、改善の余地がある場合は適切な対策を講じることが大切です。

アメリカと他国との金利比較

アメリカの銀行金利は、世界的に見ても比較的高い水準です。FRBの金融政策やインフレ対策の影響を強く受けており、高金利が続いています。しかし、日本や欧州の金利は低水準にとどまっており、各国の経済状況や政策によって大きな違いが見られます。

日本との金利差と影響

日本は長年にわたり超低金利政策を維持しており、2025年現在、日銀の政策金利は0.5%です。アメリカの政策金利は4.25-4.50%と依然として高く、両国の金利差は大きく開いています。

出典:日本銀行 長・短期プライムレート(主要行)の推移 2001年以降

この金利差は、日本の投資家にとって米ドル建ての資産が魅力的に映る要因で、円安の要因にもなっています。実際、日本の投資家はアメリカの高金利を利用するために米国債や外貨預金に資金を移す傾向が強まっています。

欧州の金利政策との比較

欧州中央銀行(ECB)は、2022年以降のインフレ対策として利上げを実施しており、現在の政策金利は2.90%となっています。アメリカと比較するとやや低めではあるものの、コロナ禍以前のゼロ金利政策から大幅に引き上げられた水準です。

出典:欧州中央銀行、4会合連続で政策金利0.25ポイント引き下げ決定

アメリカと欧州の違いとして、欧州は各国の経済事情が異なるため、金融政策の調整が難しいという特徴があります。たとえば、ドイツやフランスは比較的強い経済成長を維持している一方、イタリアやスペインなどは高金利が経済に与える負担が大きく、金融政策の操作が難しくなっています。

また、欧州では環境・持続可能性に配慮した投資を優遇する政策も進んでおり、金利の調整だけでなく金融市場の規制強化も行われています。アメリカは金融市場の自由度が高く、より市場原理に基づいた金利変動が特徴的です。

アメリカ銀行の高金利を活用する方法

アメリカの銀行金利が高水準にある中で、メリットを最大限に活用する方法を知っておくことは重要です。高い金利を提供している銀行や金融商品を選ぶことで、効率的な資産運用が可能となります。

金利の高い銀行・口座の選び方

高金利の銀行を選ぶ際には、以下のポイントを考慮してみてください。

・年利(APY)の高さ:定期的に金利を見直し、最も高い利率を提供する銀行を選ぶ。

・手数料の有無:維持手数料や最低預金額の条件を確認し、不要なコストがかからない銀行を選ぶ。

・FDIC保険の適用:万が一銀行が破綻しても、預金が保護されるかを確認する。

定期預金・MMF・債券の活用

高金利を活かすためには、定期預金・MMF(マネー・マーケット・ファンド)・債券といった金融商品をうまく使うのが効果的です。

定期預金(CD)

定期預金(Certificate of Deposit, CD)は、一定期間資金を預けることで、普通預金よりも高い金利を受け取れる金融商品です。期間が長いほど金利が高くなる傾向があり、現在では5%前後の定期預金も提供されています。

MMF(マネー・マーケット・ファンド)

MMFは、短期国債や社債などの安全性の高い金融資産を中心に運用される投資信託です。流動性が高く、普通預金よりも高金利が期待できるため、短期間での資金運用に適しています。金利が上昇している局面では、MMFの利回りも高くなるため、預金の代替手段として活用できます。

債券(米国債・社債)

債券投資は、金利上昇局面では特に魅力的な選択肢となります。

・米国債:安全性が高く、長期債は4〜5%の利回りが期待できる。

・社債:企業が発行する債券で、信用リスクはあるが高利回りが得られる。

まとめ

アメリカは、金利が高い金融政策を実施しており、うまく活用することで利益につながる可能性があります。特に、定期預金の金利はどの銀行も高水準で、アメリカに銀行口座を持っている場合、大きなチャンスが広がります。

しかし、アメリカの高金利が続くなかで、住宅市場の縮小に注意が必要です。今後、アメリカでも政策金利の引き下げが予想されており、常に最新情報を入手できるようにしましょう。

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