海外銀行での資産運用をお考えなら、シンガポールの銀行口座への預金がおすすめです。シンガポールは先進国の中では金利が比較的高く、周辺の東南アジア諸国と比較すると経済・通貨の安定性の高い国です。

本記事ではシンガポールで口座開設するメリットとリスク、最新の金利情報から高金利なシンガポールでの銀行口座の開設方法までまとめました。シンガポールの銀行での利息収入に興味のある方はぜひ参考にしてみて下さい。

シンガポールの金利について

政策金利がない

シンガポールには政策金利が存在しません。これは世界的に見ても非常に珍しく、金融政策の手段は金利の調整ではなく為替のコントロールによって行われています。

シンガポールドルの通貨制度はバスケット方式と呼ばれ、主要貿易相手国の通貨をバスケットに入れるようにひとつにまとめ、それらの通貨の変動幅を超えないように調整するという仕組みです。

米ドルやユーロなどの主要通貨に大きな変動が起これば中央銀行に相当するMAS(シンガポール金融通貨庁)が介入するため、金融危機などのリスクに対しても安定していると言えます。

預金金利は比較的高い

シンガポールの民間銀行が設定する定期預金金利は比較的高く、預け入れ期間や金額によりますが、シンガポールドルでの運用で最大2.45%ほどの利率のプランもあります。

銀行名定期預金金利
UOB(ユナイテッド・オーバシーズ銀行)2.4%
OCBC(オーバシー・チャイニーズ銀行)2.45%
DBS銀行2.45%

現在はどの銀行も最大で2.4%ほどの金利ですが、銀行によってはキャンペーンなどが開催されることもあり、指定の期間と金額を預け入れることで3%〜5%の利率で運用できる場合もあります。

シンガポールドルの推移

シンガポールドルの過去の推移

シンガポールドルは安定性の高い通貨で、それは2008年のリーマンショック時に証明されました。当時オーストラリアドルやニュージーランドドルなど資源国通貨が半値近く下落した一方で、シンガポールドルは3割ほどの値下げでとどまり、その後すぐに回復しました。

これは先程紹介したバスケット方式という独特の金融制度によるもので、アメリカなどの主要国に金融危機が訪れても過剰な影響を受けないようにコントロールされています。

シンガポールドル対日本円の推移

【出典】世界経済のネタ帳

資産運用の観点においてはこの通貨の安定性は大きなメリットで、資産の分散を目的に海外での資産運用をする方にとってはシンガポールは最適な国のうちのひとつです。

シンガポールドルの今後の見通し

シンガポールドルの今後の見通しとしては過去10年間と変わらず安定的な推移が予測されますが、一定のリスクは存在します。詳しくは後述しますが、貿易や外国資本の流入に頼るシンガポールが近年の先進諸国の保護主義的風潮や米中の対立による影響を受ける可能性があります。

大幅な下落リスクは小さいとは言え、グローバル経済や国際情勢の動向を注視しておく必要があります。

シンガポールに銀行口座を開設するメリット

シンガポールに銀行口座を開設すると何がいいのか?まずはそのメリットを整理していきましょう。

政治的・経済的に安定している

シンガポールに銀行口座を開設するメリットは、安定した国での資産運用ができる点です。

シンガポールは地理的にも経済的にも東南アジアの中心に位置しており、面積は東京23区と同程度ほどの大きさにもかかわらず一人当たりGDPは世界5位です。

アジアにおける金融及び貿易の中心国であるシンガポールは資産運用を行う上で安心してお金を投資できる国だと言えます。

モバイルアプリで家賃や公共料金を支払える

シンガポールへの移住を検討される方は、現地の銀行口座を開設することで家賃や公共料金の支払いをモバイルアプリで行えます。
シンガポールではオンラインバンキングや銀行の公式モバイルアプリが発展しており、ATMを利用せずともスマホで簡単に各種支払いを完結できます。

多様な金融商品を購入できる

シンガポールで口座開設をすると、日本では購入できないような投資型保険や外国投資信託商品、外国債券などを購入できるようになります。

金融商品によるものの、高い利回りが期待できるものも存在するため、グローバルな市場で投資を始めてみたい方にとってはシンガポールで銀行口座を持つメリットがあります。

シンガポールに銀行口座を開設する方法

次にシンガポールに銀行口座を開設する方法についてご紹介します。メリットは多くても開設できなければ意味がないので、ここで必要な書類や手順をご紹介します。

プレミア口座なら非居住者でも開設可能

シンガポールで口座開設をする際には、シンガポールでの在留証明書や住所、現地での就労や在学の証明書が求められます。

それらの資格を持たずとも日本在住の方が口座開設することも一部可能ですが、開設できるのは一般的に「プレミア口座」に限られます。

プレミア口座とは最低35万シンガポールドル(約4,000万円)を預け入れることにより開設できる口座です。

審査が非常に厳しいことに注意

シンガポールでの口座開設は、信用調査などの審査がとても厳しいです。

シンガポールはマネーロンダリングに対して厳格であり、上記でご紹介したプレミア口座の開設においては特に入念な審査が行われます。審査に時間がかかることも想定する必要があるため、これらを念頭に置いたうえでの準備と計画をおすすめします。

居住者の口座開設に必要な書類は一般的

シンガポールに居住されている方、すなわち就労許可証(Employment PassやS Pass)や配偶者・家族ビザ(Dependant’s Pass)、学生ビザ(Student Pass)などを保有している方にとっての口座開設は比較的簡単です。

必要書類は上記でご紹介したビザと最新の住所証明書、最低預金額(通常1,000シンガポールドル程度)さえあれば基本的に外国人でも口座開設ができます。

シンガポールで口座開設する前に知っておくべきリスク

シンガポールで銀行口座を解説するメリットについて先にご紹介しましたが、想定されるリスクを理解しておくことも大切です。ここではシンガポールの銀行で口座開設するリスクについてご紹介します。

一定の経済不況リスクはある

シンガポールは世界的に見れば経済的にかなり安定していますが、全くリスクが無い訳ではありません。

世界経済のグローバル化が追い風となり経済発展を遂げたシンガポールですが、近年の米国を代表とする保護主義の風潮の加速により経済的な打撃を受ける可能性があります。

また、国土や人口が限られているため、DX化や高スキル人材の確保が遅れると経済成長が鈍化してしまう危険性があります。

2025年現在、米国のトランプ大統領が中国などの貿易相手国に対して高い関税を設定する政策を計画していますが、中国への高い関税は間接的にシンガポール経済に大きなダメージを与えることは必至です。

高齢化問題

シンガポールは日本と同じく国民の高齢化問題に直面しており、「世界最速の高齢化」と称されるほど人口の高齢化が進んでしまっています。

シンガポールの若者の多くは英語や中国語が流暢で、優秀な人材を育てる教育システムが構築されていますが、そういった高スキルな若い世代が北米や欧州に流出してしまっている現状があります。

こうした人材の確保や海外の優秀な若者を引き寄せる政策が急務となっており、対応が遅れれば経済的に衰退フェーズに入るリスクがあります。

シンガポールで口座開設するのにおすすめの銀行

シンガポールで銀行口座を開設するメリットや注意点についてご紹介したところで、各銀行の特徴について解説していきます。

UOB(ユナイテッド・オーバシーズ銀行)

ユナイテッド・オーバシーズ銀行はアジアに限らず北米やヨーロッパ圏にも進出しているシンガポール3大銀行のうちの一つです。

UOBでは複数通貨での口座開設が認められています。口座開設の際には推薦書が必要であり開設のハードルは少し高いですが、口座の種類の多さや金融商品の豊富なラインナップなどが魅力です。

OCBC(オーバシー・チャイニーズ銀行)

オーバシー・チャイニーズ銀行はシンガポールで最大規模の中華系の銀行です。マレーシアやインドネシアを中心としたASEAN諸国や中国、香港、マカオなどに数多くの拠点を持っています。

OCBCは非居住者に対するプレミア口座の開設を認めています。開設手続きにおいては現地に渡航する必要がなく、プレミア口座を開設できる充分な予算がある方にとっては日本から気軽にシンガポールの口座を作ることができます。

DBS銀行(シンガポール開発銀行)

DBSは世界的な評価が高い銀行です。2024年には世界で最も企業・機関向けのオンラインバンキングサービスが優れているという評価を受けています。

このことからわかる通りオンラインバンキングなどの高いデジタル技術力があり、世界各国の銀行のDX化にも貢献しています。

DBS銀行はモバイルアプリを通して手軽に口座開設が可能です。現在は非居住者による口座開設が認められていませんが、現地でも最大手級の銀行なため居住資格を持つ方にとってはおすすめの銀行です。

まとめ

本記事ではシンガポールの金利について、現地口座の開設方法やメリット、リスクについてご紹介しました。安定性が魅力のシンガポールでの資産運用ですが、非居住者にとって口座開設のハードルが高いことも事実です。

また、安定している国といえども不況や衰退に向かうリスクはゼロではありません。シンガポールでの資産運用を検討される方は入念な調査と準備を行うことをおすすめします。

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