不動産投資に関する情報収集には、日本国内と海外とにかかわらず、本やwebによる机上のものとセミナーによるものとに分けられます。近年では日本国内にも海外不動産投資を取扱う不動産会社が増えており、開催されるセミナーも多いものです。
しかし、不動産会社と直接接触することにもなるため、セミナーに参加する際は冷静な判断が重要になります。特に重要なポイントは、セミナーに参加する前に調査や質問事項の整理などをすることです。この記事では海外不動産セミナーに参加する際の注意点について解説します。
海外不動産セミナーに行くときの注意点
海外不動産セミナーに行くときには、事前に不動産会社や質問事項などを整理することが特に重要です。
不動産会社がセミナーテーマの国に進出しているか確認する
海外不動産のセミナーを選ぶときに重要なポイントの1つは、セミナーを開催する不動産会社がテーマとなっている国に進出しているかどうかということです。テーマとなっている国に進出していない不動産会社が開催するセミナーでは、収集できる情報の希少性がそれほど高くないこともあります。
海外不動産投資の投資先は主に新興国と先進国とに分かれており、新興国では特に、現地で不動産業を営む人にしかわからない雰囲気などが強いものです。webで多くの情報を収集できる現代においては、投資先の国を判断するためには、できる限り現地でしか得られない鮮度の高い情報を収集することも重要になります。
コロナウイルス感染症の拡大によって、世界中で外国人駐在員が帰国する流れも起きている中では特に、空室リスクを軽減しながら物件を選ぶためには、現地の情報を収集する重要性は高まっていると言えます。また、セミナーで取り上げている国に進出している不動産会社と接触できれば、海外現地を視察するときにも案内してもらえることがあるので有効です。
不動産会社を比較するためのポイントを決めておく
海外不動産セミナーに参加するメリットとしては、セミナーの内容や講師の雰囲気などによって、不動産会社を比較するための材料を集められることが挙げられます。どんな不動産会社であれば安心して取引できそうか、自分なりの基準や優先順位を考えてからセミナーに参加すると、海外不動産セミナーに参加するメリットが大きくなります。
また、海外不動産セミナーを選ぶときに、セミナー主催の不動産会社について背景を調べておくことも、不動産会社を比較するためには有効です。あらかじめ不動産会社の背景を調べておくことによって、当日確認したいポイントが明確になります。例えば、設立間もない不動産会社であれば、今後の事業展開予定とともに物件管理の請負者についても確認することが重要です。
今後の予定次第では事業撤退してしまうことも考えられます。そのほか、事業を始めてから日が浅い不動産会社の場合は特に、物件引渡し後の管理については管理会社を紹介するだけという場合も少なくありません。紹介される管理会社はどんな不動産会社なのか確認することで、空室リスクの見極めも可能になります。
特に知りたい情報については事前に整理しておく
事前調査の結果、特に自分が知りたいと感じる情報については事前に整理しておくことが重要です。例えば空室リスクが心配なのであれば、セミナーで以下の内容を確認する必要があります。
・案内している物件ではどんな入居者を想定しているのか
・想定される入居者が物件の周辺にいると考えられる根拠は何か
・入居者募集の流れはどのようなものなのか
そのほか、本当に物件の引渡しが受けられるのか心配な場合は、以下の内容を確認することが重要です。
・案内している物件のデベロッパーはどんな不動産会社なのか
・その国ではどのような流れで物件所有権の登記済証が発行されるのか
・物件の引渡しから登記済証の発行までにどれくらいの時間がかかるのか
セミナーの講義でこれらの情報説明がなかった場合は、セミナー終了後などに講師へ質問すると良いでしょう。
質問に即答できるのか、即答できなかった場合は回答にどのくらいの時間がかかるのかなどによって、不動産会社を比較するための材料も集められます。
国内と海外とにかかわらず不動産投資のセミナーでは、統計情報など表面的な情報の説明に終始することもあるので、1歩突っ込んだ内容の質問を考えることは事前準備として有効です。
メモを取る準備をしておく
細かい話ではありますが、海外不動産投資のセミナーでは、説明資料を参加者に配布していない不動産会社も少なくありません。このため、自分でメモを取る準備をしてセミナーに参加することが必要です。講義内容の録音や説明スライドの写真撮影については禁止されている場合も多いため、ペンとノートを用意するか、スマホのメモ帳などに内容を記録する必要があります。
講義で解説された情報の記録が残っていないと、講義内容を忘れてしまうほか、不動産会社の比較について感覚的な判断に頼らざるを得なくなるので要注意です。なお、特に確認しておきたいポイントについてあらかじめメモを取ってあると、セミナー当日に忘れずに質問できます。
疑問点は自分でも調査してみる
海外不動産セミナーに参加してもなお、疑問点が解消されないこともあります。この場合は、セミナー参加後に自分でも情報調査してみることが必要です。特に人口推移や物件価格の推移など、統計情報については出典が曖昧なまま解説されることもあります。
統計情報については特に、各国政府や国際連合などの機関が公開している情報か、CBREなど大手リサーチ会社のレポートを参照することが重要です。人口や不動産価格指数などについては、一部の新興国を除けば、政府の統計局がwebで公開しています。また、大手リサーチ会社は、四半期に1度など定期的に漏れなくレポートを発行しているため、webで探してみるのも有効です。
海外の統計情報を参照する上では、大半の場合は英語の読解を必要とします。しかし、webブラウザの翻訳機能を利用すれば理解可能です。新規物件を案内するセミナーでは、物件の収支シミュレーションが提示されることもありますが、統計情報の確認は収支シミュレーションの妥当性確認にも役立ちます。正確な情報の収集は物件の比較にもつながるためおすすめです。
まとめ
海外不動産セミナーに行くときは、事前に不動産会社の背景や比較ポイントを整理するとともに、特に軽減したいリスクについて順位付けできていると、有効な情報収集が可能になります。重要なポイントは、セミナーの前に事前準備をすることです。
なお、質問事項などを準備しておくことで、不動産会社を見極める材料を集めることもできます。国や物件とともに不動産会社を比較するためにも事前準備は重要です。