2019-12-23

老後の海外移住/気になるビザの取得や年金受給、海外の医療を解説

  • 海外不動産コラム

老後は海外に移住して、ワンランク上の暮らしを楽しもう。そんな希望を抱きながら、日々暮らしている方も多いはず。今回は海外移住で失敗しないために、ビザの取得や移住後の年金受給、海外の医療に関する情報をご紹介します。

1 海外移住のためのビザ取得

1-1 ビザをズムーズに取得するために情報を集める

海外に移住するためにはビザが必要となります。免除制度や目的別ビザの申請条件、有効期間などビザに関するルールは国によって違うため、取得する際は調べておくことをオススメします。移住を希望している国の大使館や総領事館に問い合わせをする時は、書籍やインターネットで基本情報をインプットしてからの方が、話が早く進むでしょう。

1-2 移住(長期滞在用)のためのビザが取得できない可能性がある

移住などの長期滞在になると、専用のビザが必要になります。しかし、取得するためには条件があり、その条件を満たしていないと移住のためのビザが取得できないので注意が必要です。

移住や長期滞在の場合→目的に合ったビザを取得
※取得のためには、一定の条件あり。

1-3 移住のためのビザが取得できなくても、海外で暮らせる

移住のためのビザが取得できなくても、観光ビザによるロングステイと帰国を繰り返せば海外で暮らせます。観光目的なら簡単にビザが取得できますし、ビザ自体が免除されている国もあります。いきなり移住せずに、まずは観光ビザで移住を希望する国で暮らしてみてから、本当に自分に合った場所かを判断するのもよいでしょう。そうやって、移住先を決める方も少なくないので、選択肢のひとつとして覚えておいてください。

ロングステイと帰国を繰り返す場合→観光ビザを取得
※取得は簡単だが、数週間~3カ月程度で一時帰国する必要あり。

1-4 老後の移住なら、リタイアメントビザがオススメ

“移住先の人と結婚し、配偶者ビザを取得した”などの場合を除いて、海外に移住するなら、移住のためのビザが必要です。しかし、先程もお伝えした通り、取得には条件があります。そこで、リタイアメントビザを取得するのが、老後の海外移住の近道となるでしょう。

1-5リタイアメントビザとは

年金受給者などの退職者を主対象にした、長期滞在を許可するビザです。リタイアメントビザの場合、通常の長期滞在や移住のためのビザ申請よりも、取得しやすくなっています。しかし、発行している国は限られていますので、ご自身が希望する海外の移住先に、リタイアメントビザがあるか確認が必要になります。

<リタイアメントビザがある国>

【アジア】台湾、タイ、フイリピン、マレーシア、インドネシア、カンボジア

【ヨーロッパ】イギリス、フランス、スペイン、イタリア、スイス、ポルトガル

【オセアニア】オーストラリア、ニュージーランドなど

2 年金の扱いについて

2-1 すでに年金を受け取っている人

無事にビザを取得でき海外への移住が決まったら、今暮らしている市町村へ海外転出届を提出します。これによって、世界中どこに住んでいても、年金はこれまで同様に日本の銀行口座へ入金されます。年金は海外銀行の口座で受け取ることも可能ですが、現地通貨で入金されるため、為替変動相場で価値が増減します。日本の口座をそのまま使い、日本円で貯めておきながら、円高の時に現地通貨で引き出すとおトクです。

2-2 これから年金を受け取る人は

日本に住んでいる時から年金に関する手続きを適切に行い、移住前に海外転出届を提出すれば、移住後も年金受給資格があります。しかし、受給資格があっても年金受給の申請をしなければ、年金は振り込まれません。年金をもらうために、年金請求書を提出しましょう。

年金受給資格が発生する年齢になる3カ月前に、基礎年金番号や年金加入記録などが印字された年金請求書が送付されます。日本で暮らす人は、必要事項を記入して提出すれば年金受給の申請が完了します。しかし、海外の移住先までは、書類が送られてきません。海外移住者が年金を受け取るためには、海外移住者専用の請求書類を日本年金機構のHPからダウンロードし、自分で手続きする必要があります。必要事項を記入し、日本で住んでいた市町村を管轄する年金事務所か街角年金相談センターに提出すれば、年金受給の申請をすることができます。

2-3 移住先で年金を受け取り続ける方法

無事に年金を受け取れるようになっても、年に1回送られてくる年金受給者の生存を確認する現況届を返送しないと、年金が打ち切られてしまいます。現況届が届いたら、移住先の領事館などが発行する在留証明書を貼付して、必ず返送してください。

3 移住後の健康管理や医療費について

3-1 英文での健康診断書をもらっておく

日本人が多く移住している海外の街では、日本語が通じる場所が多くあります。現地の病院も日本語での対応が可能だったり、日本人医師がいる場合もあります。しかし、そういった病院がすぐに見つかるとは限りません。そのため、外国人医師が診ても理解できるよう、英文で書かれた健康診断書を持っておきましょう。特に持病などをお持ちの方は、移住前に健康診断を受けて、英文の健康診断書を手に入れておいてください。

3-2 移住先の公的医療保険制度を確認する

老後は何と言っても、健康が心配ですよね。だからこそ、海外の移住先には外国人でも加入できる公的医療保険制度があるかチェックしてください。医療保険に未加入ですと、高額な医療費を全額負担しなければならなくなりますので忘れずに確認しましょう。

3-3 日本に住民票を残しておくのも方法のひとつ

移住先の医療保険制度を調べてみて安心できない方は、日本に住民票を残しておいて、日本の健康保険に入ったままにしておくという手段もあります。そのかわり、移住してからも住民税を払わなければなりません。

移住後も日本に住民票を残しておくメリットはまだあります。それは、海外での入院やケガをカバーできる日本の保険に、加入し続けられることです。自分の体のこと、税金の支払いのことを考えて、移住前に住民票を残しておくかは検討しておきましょう。

4 まとめ

海外移住の前にビザを取得する必要がありますが、移住のための長期滞在のビザが取れない場合は、観光ビザで短期滞在しながら現地の暮らしを経験するのもよいでしょう。そのため、最初に長期滞在用のビザが取得できなくても、ガッカリする必要はありません。年金に関しては、すでに受給を受けている人とそうでない人で対応が変わりますので、移住前に書類や手続きなどを整理しておきましょう。老後は健康が重要ですし、海外での治療は不安もあるかと思います。日本で治療を受けられるようにしておくのか、住民税の扱いも含めて検討しておきましょう。