不動産価格が上昇し続けているニュージーランドですが、2017年の政権交代後は不動産投資に関する規制が様々と提案されており、不動産市場の環境が変わりつつあります。

それでもなお魅力的な国であることには変わりはなく、「ニュージーランドへの移住を考えており家を購入したい」「ニュージーランドで不動産投資がしたい」などと考えている方に向けて、ニュージーランド不動産の購入に関わるアウトラインを5分で分かるガイドとしてまとめました。

ニュージーランドの基礎的な情報から、不動産市場の動向、規制内容や購入方法、メリット、デメリット、おすすめ都市まで解説していきます。

在留邦人18,706名!日本人に絶大な人気を誇る国、ニュージランドとは?


はじめに、ニュージーランドの基本的な情報を見てみましょう。

面積27万534平方キロメートル(日本の約4分の3)
人口約476万人(2017年3月統計局)
首都ウェリントン(約20万人、2015年ウェリントン市議会)
民族欧州系(74%)、マオリ系(14.9%)、太平洋島嶼国系(7.4%)、アジア系(11.8%)、その他(1.7%)
(2013年国勢調査)
言語英語、マオリ語、手話
元首エリザベス二世女王(英国女王)
総督:パッツィー・レディー
主要産業乳製品、肉類、木材・木製品、果実類、水産品、ワイン、機械類、羊毛類が輸出の6~7割を占める第1次産品が主要産業。近年はバイオテクノロジーを含む科学技術分野や映画製作等にも注力。
一人当たりGDP3万8,345米ドル(日本の3万8,917米ドルと同程度)
(2016年IMF)
通貨及び為替レート1NZドル=79.70円=0.7062米ドル
(2017年10月平均、NZ準備銀行)
在留邦人18,706名(2016年10月、外務省海外在留邦人数調査統計)

(出典:外務省)

ニュージーランドの正式名称は英語で New Zealand(ニュージーランド)、および現地の言葉であるマオリ語で Aotearoa(アオテアロア)。オセアニアのポリネシアに位置する島国で、北西2,000kmにオーストラリア、南方2,600kmには南極大陸、さらに、北にはトンガ、ニューカレドニア、フィジーがあります。

ほぼ全土が西岸海洋性気候のため年間を通して温暖で、ほどよく雨が降り、日照時間が長いのが特徴。1日の天気の移り変わりや気温差が激しく、朝夕は冷え込みます。

また、南半球に位置しているため南へ下がるほど気温は低くなるという点では、日本とは全く逆。季節も2月が夏季で一番暖かく、7月は冬季となり最も寒い時期になります。

バラエティに富んだ自然に恵まれ、年間337万人(2016年)というニュージーランド総人口にも匹敵するほどの旅行者が訪れる観光立国。日本からの渡航者数もイギリス、アメリカ、中国に次ぐ多さで約10万人(2016年末時点年間累計、NZ統計局)となっています。

また、欧米の英語圏と比べてリーズナブルなことから語学留学先としても人気があり、日本からの留学生が約1万人(2016年Education NZ統計)いるほか、ワーキング・ホリデー制度を利用する若者たちも多く滞在しており、在留邦人は18,706名を数えます。

世界で16番目に在留邦人の多い国で、その数は緩やかに増え続けており、今後ますます増えることが予想されています。さらに旅先としてだけでなく、移住したい国としても人気があります。

ニュージーランド不動産市場の動向と今後の見通し


ニュージーランド研究所(REINZ)によると、ニュージーランド全国で住宅価格は上昇を続けており、前年比で6.2%増。住宅中央値は 550,000 ニュージーランド・ドル(約40,782,682円)となっています(2018年7月)。

同国最大の都市であるオークランドを除いたニュージーランド全国の増加率は前年比8.6%で、455,000 ニュージーランド・ドル(約33,757,644円)。一方、オークランドは前年比-0.1%と若干下げたものの、相変わらず高額で835,000ニュージーランド・ドル(約61,950,841)です。

都市部における不動産価格は、世界でも高い部類に入るほどの水準に近づきつつあると言われる中、ニュージーランド国民の持ち家比率は徐々に低下。27年前に50%だった持ち家比率も、現状では25%にまで下落しています。

住宅価格高騰の主な要因は、住宅物件数の不足、移民ブーム、そして低金利が挙げられています。

地元住民が住宅購入を躊躇している現状を踏まえ、住宅価格高騰の沈静化はもとより、国民の権益を保護する観点から制定されるという新法令に注目が集まっています。

ニュージーランド不動産市場の新規制


中国をはじめとした海外投資家による不動産購入が激増するニュージーランドでは、不動産価格が高騰しており、全国的に住宅不足が深刻な問題となっています。特に、最大都市のオークランドは移民が集中していることから、人口増加も発生し危機的な状況にあります。

このような状況の中、ニュージーランド政府は外国人によるニュージーランドの中古不動産購入を禁止する法案を可決しました(2018年8月15日)。

外国人は中古不動産が購入できない

今後は、「ニュージーランドの居住ビザを保有していない外国人」による中古不動産の購入が全面的に禁止となります。

今まで不動産の購入が可能だった、観光ビザ、学生ビザ、ワーキングホリデービザ、ワークビザなどの保有者は今回の規制の対象となり、永住権や市民権の保持者のみ引き続き中古不動産の購入ができます。

さらに、自由貿易協定(FTA)により、新法の適用免除となるオーストラリアとシンガポールの国籍保有者は規制の対象外となっています。

外国人は新規物件は購入可能


しかしながら、住宅不足への対策として新規住宅供給は継続して増加させていくことから、引き続き外資が必要となります。このような状況から、外国人でも大規模宅地開発における新規物件の購入は可能です。マイホーム所有人口が低迷する中、賃貸物件の数を増やす目的もあるのでしょう。

外国人でも納税者番号(IRDナンバー)の取得が義務

ニュージーランドで不動産取引する際には必ず弁護士を通しますが、このような弁護士のサービスを受ける際、依頼者は、住所や氏名など身元が確認できる書類や購入資金の出所がわかる書類などを提出することが求められます。加えて、今後はニュージーランドの納税者番号(IRDナンバー)の取得も義務付けられます。

ニュージーランド不動産投資のメリット


資産価値が落ちにくい

以上のように、ニュージーランドの不動産は、需要の高まりとともに賃料や購入費の値上げが続いています。さらに、外国人の不動産購入を規制する法案も、当初予想されていたよりも厳しいものではないため、それほど大きな影響は出ないだろうという見解もあることから、同国の不動産需要はしばらく高水準のまま推移していくと予想されます。

国としての魅力がある


海外からニュージーランドへの不動産投資が活発な理由は、それだけ同国に価値を見出している人が多いから。最大都市オークランドでは、人口の4分の1が都市とその周辺地域に暮らしており、その半数近くが海外出身者といわれています。同国には世界中から人が集まっているのです。

人口が密集する都市には、仕事や学校、住宅、スーパー、娯楽施設など生活に必要なものがそろっており、便利な都市生活を可能にしています。さらに、世界で最も安全な国の上位に選ばれるなど、治安が良いことも人気の理由の1つでしょう。

加えて、都市周辺には、豊かな自然が広がっていることも魅力です。アフター5や休日など、山や森の中でアウトドア・アクティビティが気軽に楽しめます。自然豊かな国土は同国にとって大きな財産です。

日本と比べて税金や諸費用が安い

ニュージーランドでは相続税や贈与税が課税されません。不動産投資において特にメリットとなるのは、不動産の資産価値が上昇したときに、その増加分に対して払わなければならないキャピタルゲイン課税がほぼ無税なことです。

また、不動産購入時に手数料を払うのは売却側のため、購入者側は手数料は発生しません。さらに、ニュージーランドでは一般の住宅を購入する場合には、消費税(GST)もかかりませんのでこれも大きなメリットの1つです。

ニュージーランド不動産投資のデメリット


価値が上がりなかなか買えない

住宅価格は上昇し続けているため、不動産購入を目指しても、価格が上がりすぎてなかなか買えないということもあるでしょう。

ただ、全国的な住宅価格は上昇傾向にあっても、地域によって差があります。オークランドやウェリントン、クライストチャーチなどの大都市は、微増や少し価格が下落するなど価格の変化は最小限です。

大きな都市はもともと住宅需要が高く、それが多少増加しても対応できるだけの余地が残っているという見方もできます。しかし、これから価格上昇の局面に入る可能性も捨てきれません。住宅価格の大きな変化は、不動産投資にとってチャンスでもありますが、その反対にリスクを抱えることにもなるでしょう。

不動産需要が高い地域に人気が集中


不動産需要が高い地域というのは、オークランドやウェリントンなどの大都市とその近郊地域です。海外から不動産投資を行う場合でも、他の地域によほどのこだわりを持っていないかぎりは、こういった都市とその周辺から検討を始めるのが一般的でしょう。

不動産投資をしたいと思えるような物件というのは、国内外の多くの人にとっても住みたい物件となります。地域に人気が集中していると、自分の条件に合った投資先がなかなか見つからないといったことになるかもしれません。

外国人規制の動向がまだ読み難い

先述の通り、ニュージーランドの国会は2018年8月15日に、外国人によるニュージーランドの中古不動産購入を禁止する法案を可決しました。ニュージーランド元首の英連邦王国エリザベス女王が裁可すれば成立することになりますが、その見通しはまだ発表されていません。

このような状況にあることから、ニュージーランドでは住宅価格も引き続き上昇中ですが、外国人規制がかかるという新政府の政策が影響し、同国の不動産業界は足踏み状況となっています。

その反面、外国人が中古物件を購入できなくなる政策実行が正式ではない今が、自らの居住も可能な物件を購入できる最後のチャンスとも言えるでしょう。

ニュージーランド不動産の購入ステップ


続いて、ニュージーランドで不動産を購入をする場合のステップを見ていきましょう。

1.不動産エージェントを選ぶ

ニュージーランドの不動産売買資格を所有しているかどうかを確認しましょう。ニュージーランドでは、この資格がなければ不動産仲介を行うことはできません。

2.物件を探す

ニュージーランドではライフスタイルに合わせて住居を変える傾向が強く、例えば、結婚して子供ができたら家族向けの家を購入します。この時、将来、子供たちが通う学区なども検討材料の重要な位置を占めており、評判の良い学区に物件を購入することは賃貸を念頭に置いた場合でも重要になってきます。

3.住宅ローンの査定


住宅ローンを組む場合には、この段階で査定をしてもらうと良いでしょう。実際に、いくら購入資金を借りることができるのかを知ることで、物件探しの予算が明確になり取捨選択が行いやすくなります。

4.オファーをし、契約書を作成する

気に入った物件が見つかったら、不動産エージェントに購入の申し込み(オファー)をします。売主と買主は互いの弁護士を通じて、購入価格や引渡し日、条件等を提示し合います。交渉を重ねながら共に納得のいく契約書を作成していきます。

5.仮契約後、頭金の支払いへ

売主と買主の双方による契約書への署名が行われた段階で仮契約となります。ここで、買主は頭金として、一般的には物件価格の10%を不動産エージェントに支払います。

6.契約書の条件を確認する


担当弁護士の下で、契約書に記載されている建物の状態や所有権の確認、土地調査(LIMレポート)などを決済日までに行います。

7.本契約

契約書に記載された内容に偽りないことが確認され、必要な条件を満たすと本契約です。この時点で物件の購入が確定となるため、原則としてキャンセルはできません。

8.物件の引き渡し

弁護士を通じて残額支払いと不動産登記の手続きを行ったうえで、物件の引き渡しが行われます。引渡数日前には、物件に問題がないかどうか最終チェックを不動産エージェントと行っておきましょう。頭金を支払ってから物件引渡しまでは、一般的に約4週です。

ニュージーランドの銀行で口座を開設する方法


近年、マネーロンダリングやテロリスト対策のために、滞在資格や本人確認・住所の確認などにおいて、ニュージーランドでは口座開設時のチェックが厳格になっています。

オーストラリア・ニュージーランド銀行、または、オークランド・セービング銀行で口座を開設したい場合は、①現地の銀行に直接行く、②日本支店の現地口座開設媒介サービスを利用する、③オンラインで口座を開設する、という3つの方法から選ぶことができます。

必要書類は身分証明書、住所確認書類(日本で開設する場合は住民票、現地で開設する場合は光熱費の請求書・自宅の賃貸契約書など)、日本のマイナンバー、もしくはニュージーランドの納税者番号も必要です。

その他、日本で口座を開設した場合は、英文の残高証明書を求められることがあります。

ニュージーランド不動産を購入するのにおすすめのエリア


ニュージーランド国内最大の都市、オークランド

ニュージーランド全人口の約4分の1に当たる約150万人が住む国内最大の都市です。高層ビルが立ち並ぶ近代的な景観がある一方、「シティ・オブ・セイルズ(帆の街)」と呼ばれていることからも想像できる通り、海に面した街からも多数のヨットが停泊する様子が見られ、壮観な眺めが楽しめます。お洒落なカフェやレストランも多く、ビーチも近くに数多くあります。

また、約40%の住民が海外出身者であるため、国際色豊か。日本からの移住者にとっても暮らしやすい街といえるでしょう。語学学校も沢山あり、勉強とプライベートを両立できることから留学先としても注目されています。

さらに、オークランドは大都市でありながら周辺を海や山に囲まれています。休日にはさまざまなアクティビティで自然を満喫することが可能です。都市の便利さと自然の美しさを兼ね備えているオークランドですが、同国でもっとも不動産価格が高い地域となります。

世界で最もクールで小さな首都、ウェリントン

北島の最南端、且つニュージーランドの中心に位置するウェリントンは、首都であり政治・文化の中心でもあります。官庁街の落ち着いた雰囲気と若者が集うホットなスポットが混在し、さらに自然保護区やワインの産地にも近いことから、ガイドブック「ロンリープラネット」では、「世界で最もクールで小さな首都」と称されています。

治安が良いことでも知られており、家族連れには安心して暮らせる街といえるでしょう。また、ウェリントンの住宅価格はニュージーランド全国の中央値に近い価格帯となっています。

同市の地域人口は約40万人ですが、人口増加の予測では2043年までに26.8%増加(52,900人増)する見通しとなっています。この数字から見ても、住宅建設の需要に一層の拍車がかかることが予想されます。

緑豊かなガーデンシティー、クライストチャーチ

最後に、オークランドとよく比較される南島最大の都市クライストチャーチ。人口は約34万人で、オークランドに比べると3分の1程度の規模です。四季の風景を感じられる緑豊かな街で、あちこちに公園や庭園があることから、「ガーデンシティ」とも呼ばれています。

同市からはアウトドア・アクティビティはもちろん、スキーやホエールウオッチングなども日帰りで楽しめ、南東の観光地の拠点としても人気があります。

住宅価格はオークランドのほぼ半分。ニュージーランド全体の住宅価格高騰に比べれば安定しており、需要も高止まりしていることから不動産投資先としてはおすすめと言えるでしょう。

まとめ


ニュージーランド不動産投資の概要について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?

今後も、引き続き不動産投資としての魅力が高まると期待されているニュージーランド。

SEKAI PROPERTYでは、現地のデベロッパーや不動産エージェントと提携しており、不動産購入の相談も受け付けています。ニュージーランドへの不動産投資を検討している方はお気軽にお問い合わせください。