スロバキア不動産 スロバキアと聞くと、チェコスロバキアから分離した国、というイメージが強いかもしれません。しかも近年のチェコの経済成長の陰に隠れて、あまり存在感を感じることもありません。
そのような国の不動産の魅力はどのようなものでしょうか?
スロバキアとはどんな国?
スロバキアは、中央ヨーロッパにある国で、第一次世界大戦後に、オーストリア・ハンガリー帝国からチェコと合併するかたちで独立、第二次大戦後は共産主義国家となり、1989年の共産党政権崩壊後、1993年1月1日にチェコスロバキアから分離独立、「ビロード離婚」し、独立国家となりました。
人口は約550万人、面積は日本の約七分の一、首都はブラチスラバで、チェコではユーロを使用していないのに対し、スロバキアでは使用しています。
もとは農業国でしたが、現在では多くの先進国が自動車工場を設立、マグネシウムなどの無機鉱物資源にも恵まれています。
スロバキアの経済と、不動産の価格推移
チェコから分離して1993年に成立して以来、東欧でももっとも順調な発展を遂げている国の一つです。
2004年にはOECDとEUに加盟し、2007年にはシェンゲン圏となりました。
2008年の経済危機からは、2010年に早くも回復をはじめ、IMFによると、前年比GDP成長率は5% でした。その後4年間はギリシャ危機の影響などでやや低迷し、2011年から2014年までの前年比GDP成長率はそれぞれ 2.8、1.7% 、1.5、2.6% でしたが、2015年には回復し、2015年には3.8%、2016年、2017年にはそれぞ3.3%、2018年には3.7%となると予測されています。
失業率は2009-2015年の平均で13.3%であったのに対し、2017年には6.9%でした。
スロバキアの不動産価格は、2008年の経済危機の打撃を受けたものの、その後は順調に上昇しており、スロバキア国立銀行のデータでは、2017年第二四半期の不動産価格前年比上昇率は6.02%でしたが、2008年の経済危機前よりもまだ11.6%低く、今後の上昇の余地が高いといえます。
首都ブラチスラヴァでは不動産価格は最も高く、2015年第二四半期の前年比上昇率は2.6%であったのに対し、2017年第二四半期には6.3%と、成長しています。
集合住宅の広さごとにみると、2017年第二四半期の前年比上昇率は、
1-room: 10.5% 上昇、一平方メートルあたり €1,749。
2-room: 11.5% 上昇、一平方メートルあたり €1,683。
3-room: 8.8% 上昇、一平方メートルあたり €1,506。
4-room: 6.3% 上昇、一平方メートルあたり €1,482。
5-room: 6.0%上昇、一平方メートルあたり €1,636。
一軒家では、3.4% 上昇、一平方メートルあたり €1,139 でした。
利回りは、ブラチスラヴァ全体で4.5-5.4%、ブラチスラヴァ1区の旧市街では、4.5%に過ぎません。ブラチスラヴァ2区のルジノウなどで高めとなる傾向のようです。
スロバキア不動産は外国人でも購入できる?
スロバキアで外国人が建物を購入することは問題ありません。2004年にEUに加盟してからは、農地と森林以外は外国人も所有できるようになりました。
スロバキアで不動産を購入するステップ
- 購入する不動産が決まったら、不動産価格の10%を頭金として支払い、弁護士が所有権の存在、未払い金の不存在などの確認を開始します。両当事者は、仮売買契約書にサインをします。
- 鑑定人により不動産レポートが作成され、そのコピーを弁護士に渡すことで、本契約の締結<となります。買主は、残金を支払います。
- 登録簿に、不動産所有者名、抵当権の詳細について記載されています。売主は、売却前に財産の法的状態に関する書面を買主に提供する必要があります。
- 権利証の名義を買主に書き換えるまで、約四週間かかります。
スロバキアにおける不動産購入時、売却時の税制
公証、登記費用:不動産価格の0.01% - 0.50% (+ 20% VAT)
弁護士費用:不動産価格の1%
所有時:
固定資産税:土地税、ビル税、アパート税に分かれており、それぞれ
土地税:自治体が査定した土地の価値の 0.25%
ビル税:一平方メートル当たり €0.033
アパート税:一平方メートル当たり €0.033
賃料収入にかかる所得税:
賃料収入から、メンテナンス費用、減価償却費用、利息、固定資産税などを差し引いた額の19%です。
所有者は、賃料収入の40%までこれらを指し引くことができます。
売却時:
キャピタルゲイン税は、19-25%です。
スロバキアで不動産を購入するのにお勧めのエリア
プレショフ
スロバキア東部に位置する、スロバキア第三の都市です。市街地の人口約9万人、大学の多い文化都市です。主要産業は機械、電機工学、衣料品業などです。
2017年第二四半期の不動産価格前年比上昇率は10.3%でした。
ニトラ
スロバキア南西部の都市で、人口は約8万5000人です。主要産業は食品産業、中欧・東欧で最大の盆栽博覧会であるボンサイ・スロバキアが毎年4月に開催され、観光客を魅了しています。2017年第二四半期の不動産価格前年比上昇率は15%でした。
ルナヴァ
スロバキア西部に位置する、市街地の人口約65,000人の、スロバキアで7番めに大きな都市です。カトリック教会の大司教座、2か所の大学などがある歴史・文化の中心地です。「スロバキアのローマ」の別名があります。
2017年第二四半期の不動産価格前年比上昇率は9%でした。
現在、東欧の旧共産圏では、不動産市場成長中の国が多く、スロバキアも例外ではありません。中でも、相当なキャピタルゲインが期待できる都市も少なくありません。
利回りなどはさほど期待できませんが、学生が多いなど、期待できる地域を狙って投資してみるのもよいでしょう。