スロベニアを含む、旧ユーゴスラビア諸国については、日本ではあまり知られていないといえるでしょう。
サッカーの国際大会で名前を聞くだけ、という方も多いかもしれません。1990年代の内戦を思い出す方もいるかもしれません。
ただ、その中でもスロベニアは内戦に直接関与せず、順調な経済成長を遂げている国です。
その不動産市場の実態はいかなるものでしょうか?
スロベニアはどんな国?
スロベニアは、1991年にユーゴスラビアから独立し、2004年にはEUに加盟、2007年には、旧共産圏の中で初めてユーロの導入をした国です。
経済面では、旧ユーゴスラビアの中でも「優等生」と呼ばれています。2017年の一人当たりGDPは、IMFによると20,948.84ユーロで、ポルトガルを上回りました。
人口は約200万人、首都はリュブリャナで、面積は日本の岩手県より少し広い程度、国土の半分は森林です。オーストリアと国境を接し、アルプスのふもとに位置します。
スロベニアの経済と、不動産の価格推移
スロベニアの主要産業は、繊維産業、電気機器製造、金属加工業などです。観光業も盛んです。
ユーゴスラビア時代から、西側諸国に隣接する先進的工業地帯であるという利点と、ソビエトから距離を置いたこと、各地域の特性を活かした経済政策を採用したことなどから、1980年ごろにはすでに、他のユーゴスラビアに加盟する共和国と大きく差をつけていました。
独立後、2008年の経済危機にいたるまで順調に成長を続け、経済危機の打撃は大きかったのですが、回復後には、スロベニアの国家統計事務所によると、2014-2016年のGDP前年比成長率はそれぞれ3%、2.3%、3.1% で、2017年には3.5%まで上昇、2018年には3.1% となる見込みです。
スロベニア全体の不動産市場として、スロベニアの国家統計事務所によると、2017年第二四半期の、国全体の前年比価格上昇率は8.34%、首都リュブリャナの一軒家では12.83%の上昇でした。
それ以外の地域では、集合住宅の価格が前年比価格上昇率5.75%、という記録が出ています。
不動産価格は、2008年の経済危機前の水準に戻りつつありますが、近年新築よりも中古住宅の取引件数が上昇しており、スロベニア全体の2017年第二四半期の住宅の取引件数は前年比プラス2.8%でしたが、新築に限っては60%減少、中古物件は9.67%の上昇となりました。
2016年の利回りは、首都リュブリャナの中心部で、50平方メートルほどの物件で4.56%、120平方メートルほどの物件では、5.13%に達しました。
また、一軒家と集合住宅の比較として、リュブリャナの中心部で、集合住宅5.84%、一軒家で7.78%、郊外では、集合住宅7.08%、一軒家で10.51%でした。
スロベニア不動産は外国人でも購入できる?
スロベニアでは、外国人は2003年2月以来、相互主義に基づいて不動産を購入することができるようになりました。
日本政府はスロベニア人の日本不動産購入に制限を設けていないため、日本人はスロベニア不動産を購入することができます。2004年にEUに加盟後は、EU加盟国の国民には購入制限はありません。
スロベニアで不動産を購入するステップ
スロベニアで不動産を購入する場合には、以下の書類を準備してください。
- パスポートのコピーを公証したもの
- 不動産購入の目的を記載したもの(居住用か、セカンドハウスかなど)
- 不動産の調査、地図作成を担当する機関によって発行された、不動産の詳細を記載した書類
- 手続き費用
購入前に買主は、不動産所在地の地方自治体で、税番号、社会保障番号を取得します。手続きには3日間を要します。
政府の許可、登録を受けた不動産業者を使用する必要があります。売主によって、買主からのオファーが受け入れられたら、不動産価格の10%を頭金として支払います。
売主が真に所有権を有するかどうかの調査を2営業日で行います。
不動産業者は、当該不動産に関する訴訟が提起されていないこと、公式な鑑定額を調べ、すべて問題がなければ売買契約を締結します。
すべての課程に、35-64日を要します。
スロベニアにおける不動産購入時、売却時の「税制」
購入時:
不動産取得税:不動産価格の2%
公証費用:不動産価格の0.01-0.4%
登記費用:不動産価格の0.01-0.5%。
非居住者の賃料収入にかかる税金は、一律25%です。
スロベニアの公法記録および関連サービス局に登録し、ビジネスによる収入と認められれば、課税価格たる不動産価格を計算するに当たり、修繕費用、管理費用などを差し引くことができます。
売却時:
キャピタルゲイン税:不動産の所有期間によりにより異なります。取得費用、偶発的コストなどを差し引いて計算します。
2017のキャピタルゲイン税
所有期間 | 税率 |
---|---|
5 年以下 | 25% |
5 ―10 年 | 15% |
10 ―15年 | 10% |
15 ―20 年 | 5% |
20 年以上 | 0% |
スロベニアで不動産を購入するのにおすすめのエリア
リュブリャナ
人口30万人弱の、スロベニアの文化、教育、経済、政治、行政の中心です。ヨーロッパの中では治安がよいことでも有名です。
中でも、郊外:2016年の利回りは、集合住宅7.08%、一軒家で10.51%でした。中心部:ベジグラート (Bežigrad) 、ツェンテル(Center) 、ルトニク(Rudnik) 、 モステ(Moste) などの地区です。2016年の利回りは集合住宅5.84%、一軒家で7.78%でした。
ピラン、イゾラ、コパル、ポルトローシュなどのアドリア海沿いのリゾート地
クロアチアと並んで、スロベニアのリゾート観光業は発展中であり、2016年にスロベニアを訪れた観光客数は、世界銀行によると約303万人と、国全体の人口を超えました。
スロベニア人も比較的経済力があり、欧州北部からの旅行者が主であるため、彼らを対象とした賃貸も考えられます。
まとめ
いかがでしょうか?スロベニアの不動産は取引関連費用が比較的安く、経済危機からの回復後の経済回復期であることなどから、魅力的といえるでしょう。
ただ、利回りも全体的に高いですが、賃料収入にかかる税金も高いという欠点もあります。小国であるため、EU全体の情勢の影響を良くも悪くも受けやすくもあります。
しかし、全体的に好機であるといえますので、スロベニアの不動産は購入を検討してもよいかもしれません。
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