中国はGDP世界二位の経済レベルを確立し、今では世界の誰もが認めるアジアの大国です。そんな中国の経済上昇に乗って新たなチャンスを手にしようという方に必須なるのは、やはり中国人民元の銀行口座を用意することではないでしょうか。
今回は、中国本土の銀行口座開設を検討している人に、中国の銀行口座最新事情とその最新開設方法を徹底解説します。
中国で銀行口座を開設するのは難しい!?
つい最近まで中国の銀行口座は、旅行者でもパスポートさえあれば簡単に開設できました。しかし2017年春先以降その状況が明らかに変化しました。中国の経済発展に伴い、中国政府がマネーロンダリングなどの犯罪防止対策を強化し始めた為、非居住者に対する銀行口座開設を不可とする銀行が一挙に増えました。
つまり現在では、非居住者が中国で銀行口座を持つことが容易ではなくなってしまったのです。現在では中国国内銀行の口座開設の際、以下の要件を満たしていることが基本的な必要事項となります。
- 留学、就業、ビジネスなど中国での居住証を持っている
- 中国の納税者番号を持っている(日本のマイナンバーと同じ)
- 中国の携帯電話・ホテル以外の住所が必須
ただごく稀のようですが、中国にたまに行く機会のある日本人のブログなどを見ていると「奇跡的に銀行口座開設できた」という人もいるようです。このような人たちが口座開設時に窓口で申請した要点としては、以下のような共通項があります。
- we chat ペイ・アリペイを使うので、決済引き落とし口座に使いたい
- 定期的に中国の知人・特定の法人に送金する支払いがある
- 中国で株の投資、または不動産を購入する予定をしている
実際にここ中国に在住している筆者の見解は、現在の中国のこの状況で③以外の目的で非居住者の方が口座開設できたのは奇跡に近いと感じます。ただあり得るとしたら、日本人観光客が最も多い地域の支店であればOKしてくれる可能性が高いと言えます。つまりこういった理由で口座を作りにくる日本人の一定の層がいる事をよく理解しているところに限られるということですね。(しかしこのような奇跡的な状況も日々難しくなってきているようですので、状況は随時流動的であると考えましょう)
非居住者におススメの中国国内銀行2選
それでは規制が厳しくなった後でも中国非居住者の口座開設を受けてくれる可能性が高い国内銀行を2つほど厳選して紹介します。
中国銀行(BANK OF CHINA)
↑このようにキャッシュカードに銀聯(ぎんれん)という中国のデビットカードが自動的に付帯されます。
中国銀行は、中国4大銀行の1つと言われるメガバンクです。日本にも東京、大阪など支店が6つありますので、日本でも見掛けたことのある方も多いのではないでしょうか。非居住者が中国に銀行口座を開設するなら、最もおすすめの銀行がこの中国銀行です。その主な理由は以下の点です。
中国最古の外貨取り扱い銀行のため、外国人に寛大
前項でお話しましたように、今中国では非居住者の銀行口座開設の際、かなり色々なことを聞かれます。ちなみに筆者は、中国銀行でこういった煩わしいことは一切聞かれず、あっさりパスポートだけで口座を作ることができました。(2017年4~5月時点ですので、それ以降は不明です。)筆者が口座を開設した支店は広州市内の支店ですが、当時はまだ中国に来て間がなかったので、携帯電話の用意もなければ、納税者番号なども当然ありませんでした。ビザの確認も無かったです。
しかしこれはあくまでここの支店だけで中国全土の中国銀行が同じ対応とは限りません。規制改正後は支店によってOK、あそこではダメといったようなことがあり得るようですので、中国銀行に行けば100%作れますよということは残念ながら言い切れません。ただ中国銀行は元々中国最古の外貨取り扱い銀行であることから、外国人に対して比較的丁寧に対応してくれるはずです。
日本に支店があるので、口座開設の相談とフォロー面が安心
中国銀行は日本に支店がありますので、とりあえず一旦在日本の中国銀行の支店で口座を作ってしまって、人民元の口座を中国で開設したい旨を事前相談するという手が最も確実な方法と言えます。ただ、、中国銀行の日本支店で口座を作っても、それはあくまで「日本の銀行口座扱い」と同じになり、中国国内で口座を作ったことにはなりませんのでご注意ください。
しかし中国銀行の日本の支店に口座を作る、または窓口に事前相談に行くことで、実際に中国に渡航したときの口座開設は、もう中国銀行顧客になっているので、日本の支店から口座開設のための何かしらの協力は得られることは間違いありません。
また、日本の支店で予め相談しておくメリットとしてはもう1点あります。銀行口座は大切なお金を預ける機関なので、もし現地の政治情勢の変化や口座の凍結などで資金を動かすことができないなどのトラブルが起こった場合、日本から遠隔操作でトラブル解決を行うことは非常に労力がかかるやり取りとなります。
中国に誰か頼れる知人がいれば別ですが、それでも自分のの大切なお金の話となると、そうそう他人に気軽にお願いすることは躊躇する場面も出てくるでしょう。
そんなとき、日本に支店がある銀行であれば、その支店を経由して現地とのやり取りを仲介してくれることは可能なのでいざという時のフォロー面が安心です。
HSBC(香港上海銀行中国支店)
HSBCは元来イギリス資本の銀行で、香港系銀行のイメージが強いですが、中国でHSBCは上海を拠点にその規模が拡大していった歴史を持つ銀行です。非居住者で一定の人民元の取引額を予定している人であれば、HSBCは比較的安易に口座が作れる金融機関の一つとなります。
HSBC口座開設の要件は、100,000万元(約日本円で170万円)以上の預金を預ける必要があるので、完全にビジネスか投資、不動産を購入する人向きの口座と言えます。ただ外資系の銀行によくあるシステムですが、この預金額を下回った場合は、毎月口座管理手数料が100元かかることになります。筆者がHSBCをおススメする理由は以下になります。
- 予め日本から担当者とメールでやり取りが可能
- 投資案件目的の顧客を大切にするため開設規制は厳しくない
HSBCは一定の資金の金額を預ける事が前提なので、非居住者であっても資金があればあっさりと口座開設が可能です。そして日本からでも、必要書類の確認など事前のやりとりがある程度メールでできる+ので、「現地に行って開設できない」などということがないため完璧な安全策が取れる金融機関と言えるでしょう。
中国で銀行口座を開設方法する3つのステップ
それでは、中国で銀行口座を開設する場合のステップを解説していきます。ここでは中国銀行の場合を例にとります。
- 銀行口座開設のための必要書類
- パスポート
- SMSが受領できる中国で使える携帯番号
- 中国の住所
- 中国納税者番号(筆者の時は不要でした)
余談ですが筆者は中国に来た当時は中国語が全くわかりませんでした。(今もわからないに等しいですが...)しかし中国のメガバンクのスタッフは、ほとんど英語は話せるので中国語が話せなくてもやりとりは英語で問題はありません。ただ残念ながら日本語が通じることは期待できません。中国語、英語どちらも話せない方は、やはり通訳してくれる人と該当の支店に一緒に行く事を強くおすすめします。
1. 案内デスクで口座開設したい旨を申し出て準備
上記を準備し、まず銀行のエントランス(受付入口)に行って案内係に「OPEN ACCOUNTオープンアカウント!」と伝えます。すると受付担当者が上記の必要書類の有無を確認してきます。中国の銀行では、窓口で事前やりとりをすることはせず、書類や要件が揃っているかを全てこのエントランスで確認します。そして開設要件と上記の準備物が揃っていれば、担当者が口座開設用記入用紙をくれます。
この用紙に名前、パスポート番号、携帯番号、住所などを記入します。住所はできることならホテルでない方がよく、在住者の方の知人など誰かか住所を貸してくれる人がいればその住所を記入しましょう。また信用できる中国在住の知人・友人がいればその人の連絡先もくれと言われることがあります。(緊急連絡先のようなものです)
これら必要事項の記入が終われば、番号札を担当者が取ってくれますので順番まで待ちます。支店によっては1時間待ちなどは普通ですので時間のないときの来店は避けましょう。
トータルで2時間は最低限余裕をみるべきです。
2 順番がきたら必要書類に個人情報・必要事項を記入
順番が回ってきたら指定のカウンターに行き、窓口担当者から記入用紙のチェックと、パスポートの確認を受けたら、初回に口座に入れる金額を預けます。この時キャッシュカードの暗証番号を6桁を自分で設定します。備え付けの機械で番号設定操作を行います。(係員が教えてくれます。)
手続きが終わればキャッシュカードと書類の控えをもらって終了中国銀行では、口座開設と同時に銀聯(ぎんれん)付きのキャッシュカード(デビットカード)をその場で発行してくれます。日本のように郵送で後日何かを受け取る必要はありません。ただ万が一、キャッシュカード紛失した際も再発行は窓口でしかできませんので、日本でキャッシュカードを紛失した場合がちょっとやっかいです。その際は一旦カードだけ緊急で止めて、再発行は次の渡航時にご自身で行うことになります。(ネットバンクは使えます)
香港で銀行口座開設するという選択肢も
前項では中国本土で銀行口座を開設する場合をご紹介しましたが、中国の非居住者ので不動産購入、株、FXなどの投資や金融取引などで銀行口座を使用する場合は、わざわざ中国本土に口座開設に行くは、香港で口座開設をする方が何かと円滑に済むことが多いです。
上記で紹介した、中国銀行、HSBCともに香港にも支店があり、近年ではある一定金額の預金を動かす前提の顧客には香港で人民元口座の保有を認めるようになってきました。
単純に「we chat」が使いたい!というような理由だけでは難しいですが、中国本土への個人投資目的の銀行口座開設なら、中国本土のように煩わしい規制は香港には一切ありません。それこそ近年では1泊2日の弾丸ツアーで香港に口座開設にやってくる個人投資家が年々増えています。香港はご存じのようにアジアトップの金融都市なので外国人大歓迎モードであり、特に日本人は香港では優遇されます。こういった意味では香港で銀行口座を開設することはがなにかと利便性があるのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?今回は中国在住者の筆者がおすすめする「中国銀行口座開設手順」についてお話しました。年々厳しくなる中国銀行口座の開設ですが、中国でのビジネスチャンスを狙う人にとって、中国圏での銀行口座開設は必須ツールとなるので、検討してみてはいかがでしょうか?