過去 20 年で年平均成長率7.4%と高い成長率を見せるタイの不動産市場(1996 年-2015 年)。
今回はタイの中でも土地価格の高騰が続くと予測され、ビジネス中心地区(CBD)におけるコンドミニアム需要が堅調に推移しているバンコク不動産市場に焦点を当て、不動産購入時の注意点や価格の推移や購入の流れ、必要な税金、ホームローンまで解説していきます。
バンコクで外国人が不動産購入する際に知っておくべき4つの注意点
私たち日本人がバンコクで不動産を購入する際、外国人として知っておかなければならないタイの不動産取得規制があります。外国人は、タイ国民のように自由にタイの不動産を所有できるわけではありません。
・外国人が土地を所有することはできない
・コンドミニアムは自由に所有できる
・不動産売買と登記について
・名義貸しを利用すると処罰対象
外国人が土地を所有することはできない
外国人は、原則、タイの土地を所有できません。しかし例外もあり、指定事業に対する 4億バーツ(約1億3,700万円)以上の投資、投資期間3年以上、バンコクやパタヤなどの他、指定された地域内の土地であること、土地面積が1ライ(1,600 平方メートル)以下であり、且つ、内務省の大臣の許可を得ていることが条件となっています。
コンドミニアムは自由に所有できる
土地所有に関する例外はありますが、一般的な投資家にとっては現実的な取得条件とは言えません。
一方で、建物に関する外国人の所有制限を定めた法令はなく、比較的容易となっています。外国人でも自由にタイの建物を所有することができるため、コンドミニアムもOK。
ただし、外国人の保有が認められているのは、コンドミニアム全ユニットの総床面積49 パーセント以下に限られています。
不動産売買と登記について
タイにおける不動産売買を有効にするためには、書面による合意はもちろん、登記を行う必要があります。売買契約書を締結したとしても、所有権移転登記が完了されない限り、当該不動産売買契約が有効ではないことに注意しましょう。
名義貸しを利用すると処罰対象
外国人や外国法人への厳しい土地所有規制から逃れるための手段として使われる「名義貸し」。
タイ国籍を保有するタイ人等が、外国人に代わって土地を取得することは禁止されています。違反した場合は2 万バーツ(約6万8,500円)以下の罰金、もしくは2年以下の禁固、またはその併科の対象となります。
バンコクの不動産価格推移は?
活発な経済発展を背景に急ピッチで開発が進むバンコクの中でも、大規模な変化を遂げているエリアがバンコクリバーサイド。
このエリアにおける高級コンドミニアムの平均価格は、1平方メートル当たり321,750タイバーツ(約110万円)で、ルンピ二地区の270,208タイバーツ(約92.3万円)やスクムビット地区の255,954タイバーツ(約87.4万円)、シローム地区の233,583タイバーツ(約79.8万円)を大きく上回っています。
バンコク不動産の購入にかかる税金について
不動産購入・売却にかかる税金をタイと他国を比較した場合、タイでは控除額が非常に大きいという特徴があります。このため、ほとんどの不動産購入者は固定資産税・相続税がかかりません。
不動産の購入・売却にかかる税金は、源泉徴収課税(不動産売却により収入を得た場合、タイの歳入法で定められる5%~35% )、特別事業税(不動産所有後5年以内の売却で3.3%)、登記費用(2%)、印紙税(0.5%)の4つのみとなっています。
バンコクで不動産を購入するための6つのステップ
ステップ①不動産エージェントに問い合わせる
日本語対応可能な不動産エージェントがおすすめです。とくに、バンコクは日本人駐在員や現地採用として働く日本人が多く、日本語対応可能な不動産エージェントが多くあります。
ただし、日系のエージェントは、ローカルのエージェントよりも手数料が高く、全体のコストが膨らむ可能性があります。なお、外国人居住者が多いタイでは、ローカルのエージェントでも英語をはじめとする外国語に対応しています。
ステップ②不動産を視察する
可能であれば、バンコク現地で不動産を見ましょう。写真で見る画像とは、イメージが異なることも多く、購入後に失敗してしまう可能性も考えられます。
また、不動産を視察する際には、事前にいくつかの物件をピックアップします。気になる物件を全て見ることができるよう、事前に依頼しておくことが必要です。
ステップ③不動産購入申込書を提出し、予約金を支払う
購入する不動産が決まったら、日本国内と同様に購入申込書を作成します。
また、不動産エージェントによって異なりますが、予約金に加えて物件価格の数パーセントをコンサルティング料金として払うケースもあります。
ステップ④売買契約を結ぶ
申込書を提出したあとは、不動産契約を結びます。
このとき、不動産購入金額の10~20%の支払いが必要な場合があるため注意が必要です。
ステップ⑤支払いを行う
事前に自分の銀行口座をタイで開いておき、日本から残金を自分の口座へ海外送金します。これは登記手続きの際に 外貨送金証明書が必要になるため。非居住者である外国人が、タイでコンドミニアムを購入する場合、資金源の申請が求められるのです。
ステップ⑥不動産登記手続き
指定の土地局に出向き、不動産の登記を行います。この際、パスポート、売買契約書、外貨送金証明書、小切手、登記費用に必要な現金等が必要です。
上記が新築、または中古不動産を購入する際の流れです。なお、プレビルド物件の場合は、物件完成まで毎月分割で海外送金で支払います。もちろん、一括払いも可能です。
バンコクでホームローンを使って不動産購入はできる?
バンコクでコンドミニアムを購入した場合、現地銀行のホームローンを利用することができます。しかし、ホームローンの金利は割高なため、あまりおすすめではありません。一例として、シンガポールの大手銀行で、タイにも多くの支店を持つ UOB銀行のホームローンを紹介しておきましょう。
対象年齢は21~70歳(70歳までにローン完済が必要) で、タイの労働許可証非保有者の場合は8万5,000米ドル、又は10万シンガポールドルの年間所得があること。
300万バーツ(約1,000万円)以上のコンドミニアム物件が対象です。借入金額は、購入金額と政府査定額のうち低い方の価格の70%まで。ローン期間は3年から30年までとなっています。
まとめ
バンコク不動産市場に焦点を当て、不動産購入時における注意点をはじめ、価格の推移や購入の流れ、必要な税金やホームローンまで解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
タイで不動産を購入する日本人は年々増加しており、その目的のほとんどは投資。その背景の1つとして、タイでは相続税、固定資産税はほぼ存在しないことが、投資家には大きなメリットとなっています。
また、日系企業の中でも、阪急不動産と信和グループがタイの現地企業と合弁し、コンドミニアム等を開発する計画を発表するなど、引き続きタイの不動産ブームは続くと見られており、海外不動産を考えている方は大いに検討する価値があると言えるでしょう。