今年のイギリス不動産市場は、昨年より好転するものと見られている。オンライン不動産ポータルを運営するRightmoveによると、今年にかけて平均住宅価格は2%上昇し、特に北部エリアにおける上昇が予想されているという。

背景にあるのは、政治的な安定である。1月末のイギリスのEU離脱が確実になるなど政治的な方向性が固まったこともあり、これまで様子見のスタンスを取っていたバイヤーや売り手側も行動を開始する構えになっている。政治的に不安定な時期には、不動産市場は低迷するものであるが、今後12~18カ月後には活気が戻ってくるだろうと関係者は話す。

しかし需要と供給の間には課題も残っている。2019年の不動産売上は3%下落しているのに対し、発売された物件数は8%減少している。価格については、今年2%ほど上昇すると予想されている。

政治的安定が見られたことで、今年のロンドン不動産市場は、2016年にEU離脱についての国民投票が行われて以来の好況の年になると見られている。これまでEU離脱に関するどっちつかずの状況下で鳴りを潜めていたバイヤーの需要が一気に高まる可能性があり、売り手側もかなりの数の物件を売り出すことが考えられる。売上が伸びれば、低迷が続いていた不動産価格もすぐに回復することになるだろう。

印紙税については、現在のところ引き下げの動きは見られない。つまり物件取得に係る費用が、バイヤーにとって大きな負担になることに変わりはない。(イギリスでは、長年にわたる住宅不足から価格が高騰し、住宅購入には手が届かないという市民が多い。)

市場を動かしているのは初回物件購入者である。彼らのために、より多くの物件購入のきっかけを与えることができれば、家賃の高騰を抑えることができ、また不動産市場の流動性を高めることにつながるはずである。

前述のとおり2020年については2%の価格上昇が見込まれているが、この数値はそれほど大きな上昇幅ではなく、また平均賃金も上昇見込みであるため問題にはならないという。

政府の方針が住宅購入にどのような影響を及ぼすのか、今後注目されるところである。


【参照】House price predictions 2020

海外不動産の最新動向が届くメールマガジンの登録はこちら。

メルマガ会員登録を行う

セカイプロパティ編集部
海外不動産投資に関する最新情報を発信中。