アメリカアリゾナ州の州都フェニックスから東へ16kmに位置する町テンピ。アリゾナ州立大学のメインキャンパスがあり学生街として知られるエリアだが、そのテンピでアメリカ初となる自動車禁止の住宅プロジェクト開発が行われることがわかった。

サンフランシスコに拠点を置くデベロッパー「Culdesac」が手掛けるプロジェクト「Culdesac Tempe」は、6万㎡を超える敷地に最大1000人の入居が可能となる複合施設開発であり、総工費は1億4000万ドル(約152億円)と見込まれている。

環境保護の観点から交通・輸送の在り方は大きく変化しており、不動産も何か策を講じるべきという考えから、施設内においては住民による車の運転または駐車が禁じられており、また施設周辺の駐車も禁止されている。施設内外の交通手段としては、都市鉄道(ライトレール)やスクーター、自転車などが用いられ、数は少ないがカーシェアリング用のスペースも設けられるという。

食料品や日用品を売る店舗やビジター用の駐車場は設けられるものの、面積としては非常に少なく、その代わりとして緑地が大幅に増える形になる。またプールやジム、コワーキングスペースも完備されるという。

ユニットの多くは1ベッドルームタイプで、価格は1,400~1,500ドル(約15~16万円)程度になる予定である。(テンピの家賃平均:1,360ドル(約14.8万円))

アリゾナのような砂漠の街では、ヒートアイランド現象の緩和など、緑地が増えることで得られるメリットは多い。運転可能なエリアについても、アスファルトではなく天然石舗装を使用するといった工夫が施されるという。また近隣エリアの警察や消防などとの連携も図られている。

テンピがあるマリコパ郡はアメリカの中でも成長著しい都市であり、テンピの人口も2040年までに現在の倍に増えると予想されている。交通に関する取り組みも積極的に行われており、市内とフェニックス空港を結ぶ都市鉄道や、300kmを超える自転車用レーン、ドックレス(専用駐車場のない)電動スクーター、無料周遊バス、路面電車ネットワークなどが2年以内に整備される予定だという。

Culdesacは、今回のプロジェクト完成後、ダラス・フォートワースやデンバー、ダーラムなどの車中心の都市に目を向けていきたいとしており、今後注目を集めていくことは間違いないだろう。


【参照】Culdesac Tempe is a car-free housing development for the 'post-car society'

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セカイプロパティ編集部
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