ロシアの住宅とアメリカの住宅、この二つを比較することは可能だろうか?また二国の間にはどのような違いがあるのだろうか?

まずロシアの住宅について世界の他都市と比較する際には、ロシアの人々の大半はアパートメントに住んでいるということを認識しておく必要がある。アメリカにおいては、アパートメントタイプが市場で占める割合は10%と少なく、多くのアメリカ人は大都市周辺の「衛星都市」と呼ばれるエリアに住んでいる。ロシアの方が、都市部の人口集中が顕著になっている。

一般的に住宅価格は、場所、住宅の質、地方経済、市場の需要などによって大きく異なり、これらの要素は常に変化するため、他国間または都市間の価格を純粋に比較することは難しい。

シンプルに通貨価値の違いから、モスクワの住宅価格はアメリカよりも安いのが一般的である。ルーブル安が続いているため、アメリカ人にとってはモスクワやロシアの他都市の家賃は安いとみなされるが、現地で生活をしているロシアの人々にとっては決して安いわけではない。

ニューヨークの不動産価格は1㎡当たり7,000~7,500ドル(約76万~81.5万円)、ロサンゼルスは3,500~4,000ドル(約38~43万円)、サンフランシスコは8,000ドル(約87万年)程度である。一方のロシアでは、モスクワが2,700ドル(約29万円)、サンクト・ペテルブルグが1,800ドル(約19.5万円)とかなりの差があることがわかる。

ニューヨークのアパートメントの家賃が最も安くて1,000ドル(約10.8万円)程度であるのに対し、モスクワでは400ドル(約43,000円)から物件を見つけることができる。しかし給料についても考慮する必要がある。アメリカの平均賃金は年間47,000ドル(約510万円)であるのに対し、ロシアは8,838ドル(約96万円)と、その額はアメリカの約1/5程である。

アメリカとロシアの不動産市場においては、ある共通点もあるという。アメリカの方が一見したところ高い給料をもらっているが、一般的な市民は住宅を購入する経済的余裕はなく、賃貸を選ぶ人が多いのだという。

住宅に係る費用は給料の33%を占めるというデータもあり、両親との同居を選ぶ若者は過去75年間において最多の33%に達している。ロシアでは、中央銀行による利下げで住宅ローンも利用しやすくなっているが、給与額が低いため住宅購入は難しく、こちらも賃貸を選ぶ人が多くなっている。


【参照】Is housing cheaper in Russia than in the U.S.?

海外不動産の最新動向が届くメールマガジンの登録はこちら。

メルマガ会員登録を行う

セカイプロパティ編集部
海外不動産投資に関する最新情報を発信中。