「不動産投資はインフレ対策に有効である」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。とはいえ、不動産投資が本当にインフレ対策に効果があるのか、インフレ時に不動産の価値が下がらないのか、といった不安も多いはずです。

そこで、今回の記事では、不動産投資とインフレの関係性や、なぜインフレ時に有効な対策であるのかを徹底解説します。また、不動産投資で得をする人になるためのポイントもまとめているので参考にしてみてください。

そもそも「インフレ」とは?

「インフレ」とは、インフレーションを略した言葉で、物価上昇に伴いお金の価値が相対的に下がってしまうことです。たとえば、ある缶コーヒーが「100円」で売られていたとします。

数年後に、同じ缶コーヒーが「200円」に値上がりすると、これまでと比較して2倍の代金を支払わなければなりません。これは逆に言うと、物に対して、お金の価値が2分の1となったということです。

つまり、インフレが発生している状態では、お金の価値が下がってしまうことから、保有資産が目減りする可能性があります。

インフレと不動産価格の関係

一般的に、インフレ時には現金を保有していると、資産が目減りするリスクがあります。一方、土地やマンション、戸建てといった不動産は「物」に該当するので、インフレが発生しているなかでも資産の目減りを防ぐのに役立ちます。

ただし、自宅として不動産を所有している場合、自分自身の資産を守る点については優れているものの、そのままでは収入自体が増えることはありません。不動産投資という形で物件を所有し、資産価値が上昇したときに売却したり、毎月の家賃収入を狙ったりすることで、インフレ時における恩恵を受けられます。

不動産投資がインフレ対策に有効な理由

不動産投資は、インフレ対策に有効な手段であると言われています。以下の3つの理由を踏まえながら、インフレ時の対策として考えておきましょう。

不動産購入による資産の目減りを防げる

1つ目の理由は、不動産購入による資産の目減りを防げることです。すでに冒頭でも解説したとおり、不動産は「物」に分類されるので、現金と比較して価値が下がりにくいと言われています。

とくに、2022年現在では、新型コロナウイルスをきっかけとして、世界的にインフレが加速しています。また、各国における政情不安も重なり、しばらくインフレが続くのではないかという見通しもあります。インフレの収束が見えないなかで、不動産投資はインフレ対策に有効な手段であると期待できます。

物価上昇に伴い家賃収入の増加を狙える

一般的に、消費者物価指数が上昇するとともに、家賃収入も増加しています。消費者物価指数とは、消費者が日常的に購入する商品価格の動きを指数にしたもので、日用品や衣服、通信、電化製品といったものが含まれます。

また、消費者物価指数を参考にする際には、対前年比が重要となります。たとえば、「対前年同月比で5ヶ月連続で指数が上昇している」という場合、インフレ傾向にあると推測できます。

不動産投資ローンの借金が実質的に目減りする

不動産投資用ローンの借金が実質的に目減りする可能性があることも挙げられます。ローンを借り入れる際に、金融機関からお金を融資してもらいますが、インフレが起こるとお金の価値が下落します。

一方で、借金の返済額自体は変わらないので、相対的に借金が目減りする形となります。ただし、急激にインフレが発生しているときは、金融引き締めによる金利上昇のリスクにも注意が必要です(変動金利を選択している場合)。

経済状況に依らない不動産価値の高め方

これまで解説したとおり、インフレが発生している経済状況では不動産投資が有効な対策となります。しかし、不動産投資で成功を狙うためには、経済状況に依存しないような対策が求められます。

空室リスクへの対策

空室リスクは、不動産投資における主要なリスクです。不動産を購入しても入居者がいない状態が続くと、収益を得ることができずにキャッシュフローが悪化してしまいます。

空室リスクを防ぐためにも、賃貸需要が高いエリアや競合となる物件の調査、築年数・物件の設備を確かめておくようにしましょう。経済状況に依らず安定した収益を狙えるように、不動産を探す時点から空室リスクを頭に入れておきましょう。

家賃滞納リスクへの対策

次に、家賃滞納リスクです。入居者が家賃を支払ってくれないと、空室時と同様に収益を得られないだけでなく、ほかの入居者を探すこともできません。

家賃滞納が続いた場合には、弁護士にも相談し、最終的に裁判所への訴訟も検討する必要があります。また、リスクを防ぐためにも、入居者の審査を徹底したり、保険会社の加入を必須にしたりするなどの対策も重要です。

流動性への対策

一般的に、株式や外貨預金であれば、比較的早く現金化が可能です。しかし、不動産は、金融商品に比べると流動性が低く、現金化に時間がかかってしまう点に注意が必要です。

また、不動産売却を急ぎすぎてしまうと、買い手に足元を見られる可能性もあります。不動産投資を始める段階で売却の計画を作成し、狙ったタイミングで売却できるように準備しましょう。

インフレ時に不動産投資で得する人になるには?

インフレ時に不動産投資で得する人になるためには、さまざまな点に注意しなければなりません。不動産投資で儲けるにあたって、どのような点に注意するのかを解説します。

不動産投資をインフレ対策だけの目的にしない

不動産投資を始める際には、インフレ対策だけを目的にしないようにしましょう。もちろん、インフレ時に資産価値下落を防ぐのに有効ではあるものの、多くのリスクがあります。

資産価値の安定を目的に不動産投資を始めた結果、物件の修繕に費用がかかってしまったり、空室が続いてしまい、キャッシュフローが悪化してしまったりといった危険性も考えられます。不動産投資の目的を明確にしたうえで始めるようにしましょう。

資産価値が維持しやすい不動産を購入する

インフレ対策に効果のある不動産ですが、資産価値が維持しやすい物件を購入することも大切です。もともと資産価値がそこまで高くない物件を購入すると、インフレに関係なく、資産価値が下落する可能性があるためです。

資産価値が維持しやすい物件の特徴として、交通アクセスの利便性が優れている物件や、商業施設が物件周辺にあるエリア、築浅で設備が整っている物件などが挙げられます。各物件の特徴をチェックし、インフレ時に関係なく資産を維持しやすいようにしましょう。

ポートフォリオで資産状況をチェックする

自身の資産状況を管理するためにも、ポートフォリオの作成も忘れないようにしましょう。ポートフォリオを作成しておかないと、不動産の収益状況が把握しにくくなり、キャッシュフローの悪化につながる恐れがあるためです。

とくに、複数の不動産を所有している方は、各物件における収益や、修繕・リフォームなどにかかる費用などを可視化することが大切です。いつ、どれくらいの収益・費用が発生したのかを確認するためにも、ポートフォリオの作成をおすすめします。

経済成長が著しい東南アジアの不動産も検討する

最後に、日本国内の不動産だけでなく、海外不動産にも目を向けてみることです。というのも、不動産価格は経済状況にも連動しており、将来的に経済発展が進むほど、不動産価格の上昇を期待できるためです。

たとえば、カンボジアの首都プノンペンにおける主要エリアの地価が、2019年のたった1年間で約12%も上昇しました(※1)。日本が経済成長したように、東南アジアでも経済成長が進んでおり、今後の不動産価格上昇を狙えます。

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まとめ

物価の上昇を意味するインフレが起きているときは、不動産の価値も上昇する可能性があります。インフレ時に弱いとされる現金と比較すると、資産の目減りを軽減したり、高く売却したりするのに効果的です。

しかし、インフレだけを目当てに不動産投資を始めると、思わぬ損失を招いてしまうことも考えられます。不動産投資で明確な目的を持ち、経済状況に依存しないように運用することを意識しましょう。

※1:CBRE社「Phnom Penh, Q4 2019