海外不動産投資では、国によって日本よりも高い利回りが期待できます。では、実際にどれくらいの利回りが期待できるのか、気になるところです。そこで本記事では、海外不動産投資の国別利回りランキングと、おすすめの投資先国をご紹介します。

海外不動産投資における利回りとは?

利回りとは、正式には「年利回り」と呼ばれ、「投資した金額に対する利子も含めた年単位で得られる収益の割合」を意味します。

表面利回りと実質利回りの違いはコストを考慮しているかどうか

表面(グロス)利回りとは、不動産投資によってどれだけ効率よく収益が得られるかを表した、表面上の利回りのことです。年間の家賃収入から物件価格(税込)を割ることで算出される、単純な利回りと覚えておきましょう。

一方、実質(ネット)利回りは年間コストや物件価格以外の取得コストも含めて計算をした、実質的な利回りのことです。実質利回りでは次のようなコストを含めて、利回りを計算します。

不動産取得時のコスト

  • 不動産仲介手数料
  • 司法書士手数料
  • 不動産登記費用
  • 金融機関への融資手数料
  • 火災保険料
  • 地震保険料
  • 固定資産税
  • 不動産取得税
  • 収入印紙代
  • その他

年間でかかるランニングコスト

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 管理料
  • 修繕積立金
  • 修繕費用
  • 水道光熱費
  • リース料
  • 出張費用等
  • リフォーム代
  • その他

海外不動産投資の国別利回りランキング : アジア編 <コンドミニアムを少額で購入できる>

表面利回りと実質利回りの違いについて理解したところで、早速に国別の利回りランキング紹介に入っていきます。まずはアジア編として、GlobalPropertyGuideを参考に上位5カ国の表面利回りをご紹介します。

1位. インドネシア  : 7.09%

アジアの中でも断トツの利回りを実現しているのがインドネシアです。7.09%ということは、不動産価格が日本円で5,000万なら、年間で354万5,000円の収益が期待できる高利回りだと言えます。

インドネシアでは外国人の不動産取得において、最低購入価格が設定されています。都市部ジャカルタでは一戸建てなら100億ルピア(約8,700万円)、アパートなら30億ルピア(約2,600万円)です。※1ルピア=0.0087円で計算

利回りそのものは高いのですが、外国人投資家に対する規制が厳しく、実際にはインドネシアで不動産を取得する外国人投資家は少ない傾向にあります(一部のリゾート地を除く)。

2位. フィリピン  : 6.13%

次に高い利回りを記録しているのが、日本とも関係の深いフィリピンです。日本で働くフィリピン人は外国人労働者全体として3番目に多く、勤勉な国民性が知られています。

フィリピンの利回りは6.13%なので、インドネシアにも劣らない数値です。2020年第4期におけるフィリピン都市部の平均不動産価格は、1平米あたり22万7,060ペソ(約54万4,900円)です。※1ペソ=2.4円で計算

また、フィリピンは高い水準で経済成長が続いており、2015年から2020年にかけては不動産価格が年率8%で上昇しています。日本とは違い、不動産価値が下がりにくいため将来的にはキャピタルゲイン(不動産売却による収益)も期待できるでしょう。

3位. カンボジア  : 5.33%

続くカンボジアも、フィリピン同様に高い水準で経済成長が続いているアジア諸国の1つです。経済成長率が高いため、不動産価格の上昇にも期待できます。弊社ではカンボジアでの不動産投資を最もおすすめしており、主な理由は以下となります。

・高い経済成長率

・平均年齢が若く、高い賃貸需要が期待できる

・米ドルが流通しているため為替リスクを抑制できる

・非居住者の外国人も銀行口座を開設可能

首都プノンペンでも不動産価格は1,000万円台であり、他国と比べると比較的少ない金額で不動産投資を始められます。

4位. タイ  : 5.13%

リゾート地の印象が強いタイは、世界で日本人移住者が4番目に多い国です。日本ではタイの郷土料理人気が高いことから、食文化に適用しやすく、年間を通じて温暖な気候が多くの日本人に好まれています。

そんなタイの表面利回りは5.13%とカンボジアに次ぐ高利回り国です。安定した経済成長により、将来的には不動産売却によるキャピタルゲインにも期待できます。

タイ・バンコクの不動産事業者であるColliers Thailandのレポートによれば、タイでは今後平米単価10万バーツ(約37万3,250円)未満、または1ユニットあたり300万バーツ(約1,120万円)未満の「低価格帯コンドミニアム」の供給が増えると予測されています。※1バーツ=3.74円で計算

出典:Condo market shifts to low-priced units|帯Colliers Thailand

低価格帯なので手が出しやすく、高い需要が期待できるため不動産投資として有望国の1つだと言えます。

5位. ベトナム  : 4.33%

表面利回りが第5位となったベトナムは、2015年の法改正によって外国人投資家でも不動産を購入できるようになったことが話題になりました。コンドミニアム1棟につき、全戸数の30%まで外国人投資家による所有が認められています。

ただし、原則として中古物件を購入できない、法人名義で購入すると賃貸条件が厳しくなるなどの縛りも多いため、ベトナムで不動産投資をする場合は注意も必要です。

首都ハノイにおける各区の平均不動産価格は、2020年から2024年にかけて1平米あたり約3,700万ドン(約20万3,500円)とされています。※1ドン=0.0055円で計算

ホーチミンなどは区によっては不動産価格がマイナス成長になっている場所もあるため、不動産取得は慎重に行いましょう。

番外. 日本  : 2.66%

番外編として日本の表面利回りをご紹介しますと、カンボジアやタイの半分程度の水準となっています。

日本国内での不動産取得は、海外不動産の取得に比べると安心できる部分が多いものの、表面利回りで比較すると大きな収益を得るためには莫大な投資が必要となるでしょう。

海外不動産投資の国別利回りランキング . ヨーロッパ編 <国によっては価格が抑えらえる>

それでは続いて、ヨーロッパ各国の表面利回りランキングをご紹介します。

1位. ウクライナ  : 9.09%

ウクライナの表面利回りは9.09%と、世界トップクラスの数値を記録しています。ただし、ロシアの軍事侵攻によりウクライナで不動産投資を行うことは、非常に難しい状況にあります。

実質利回りも高い傾向にあり、1,500万円程度から不動産を取得できる可能性もあるため、海外投資家にとってウクライナという投資先を失ったのは大きなダメージだと言えるでしょう。

ロシアによる軍事侵攻が一刻も早く終結し、ウクライナに平和な日々が戻ることを心より願っています。

2位. モンテネグロ  : 7.53%

モンテネグロは南東ヨーロッパ、バルカン半島中西部の内陸に位置する国です。自然と古い街並みが調和した観光地が人気であり、2006年に独立した新しい国としても有名でしょう。

表面利回りは7.53%と魅力的な投資先国ですが、モンテネグロでは建物を購入することはできますが、土地を取得するためには現地での会社設立が必要なため、ハードルが高いという特徴があります。不動産投資に関する情報量も少ないため、信頼できる投資パートナーを見つけられるかどうかが成功の鍵を握ります。

不動産売却時はキャピタルゲイン税がかかりますが、一律9%と日本の半分程度の水準となっています。

3位. アイルランド  : 7.09%

アイルランドはヨーロッパの北西沖に位置し、グレートブリテン島に隣接する国です。ハロウィン発祥の地として知られるこの国では、インドネシアと同水準の表面利回りが期待できます。

「ヨーロッパのシリコンバレー」とも呼ばれ、首都ダブリンにはGoogleなど世界的なIT企業のヨーロッパ本部が置かれていることでも有名です。

そんなアイルランドでは不動産価格の高騰が続いており、キャピタルゲインが期待できる不動産投資先です。

中央統計局のデータによると、2015年の不動産価格指数を100とすると2022年1月の指数は158.2となっており、年間成長率は14.8%でした。

出典:Residential Property Price Index January 2022|アイルランド中央統計局

4位. ルーマニア  : 5.88%

ヨーロッパ南東部に位置し、カルパティア山脈に囲まれたトランシルヴァニア地方で有名なのがルーマニアです。表面利回りは5.88%と高いものの、比較的治安の良いヨーロッパ諸国の中では、多くの治安問題を抱えている国でもあります。

外国人投資家が個人で土地を所有することはできませんが、一方で、建物の所有は可能となっています。現在はウクライナの隣国ということもあり今後情勢が安定しない可能性を考慮しなければいけません

5位. ポーランド  : 5.5%

同じく、ウクライナの隣国であり、多くの難民を受け入れているポーランドも高利回りの国として知られています。ポーランドにおいて、外国人投資家は集合住宅の一室を購入することができ、居住権を保有していることが条件となります。

ウクライナ情勢の関係からポーランドでの不動産投資は難しいものの、古い物件であっても不動産価値が下がらない傾向が強く、築年数はむしろ値上げ材料になります。

不動産を長期保有していると、大きなキャピタルゲインが期待できるかもしれません。

海外不動産投資の国別利回りランキング . 北米&オセアニア編 <安定性を求めるなら>

続いて、北米&アセアニア諸国における海外不動産投資の利回りランキングをご紹介します。

1位. カナダ  : 3.91%

表面利回りが日本に近い水準にある北米&オセアニア諸国の中でも、特に高い利回りを実現しているのがカナダです。とりわけオンタリオ州トロントは、安定的な経済成長と人口増加を背景に、都市開発が持続的に進んでいるおすすめの地域です。

トロントに隣接し、多くの日系企業が拠点を置くミシサガの不動産価格は100万~200万カナダドル(約9,928万~1億9,856円)が相場となっています(TRREB調べ)。※1カナダドル=99.28円で計算

まとまった投資額は必要ですが、築年数に関係なく不動産価格が下がりにくいため、中長期的な不動産収益に期待できるでしょう。

2位. ニュージーランド  : 3.41%

ニュージーランドは日本人移住者が多く、不動産投資に興味を持っている方も多いでしょう。表面利回りはカナダに次いで高く、安定性もあります。

2019年12月におけるオークランド市内の平均不動産価格は95万5,000ニュージーランドドル(約8,222万円)となっており、前年比は7.9%と成長傾向にあります。※1ニュージーランドドル=86.1円で計算

ニュージーランドでは現在、土地価格の向上と住居不足の緩和のためにタウンハウスの建設が盛んに行われています。コロナ禍においては10ヶ月程度で不動産価格が27%以上高騰したという情報もあり、将来的なキャピタルゲインも期待できます。

3位. アメリカ  : 2.91%

アメリカの表面利回りは日本と同水準ですが、国力が強く、経済も安定していることからローリスク・ミドルリターンが期待できるため、不動産投資先として根強い人気があります。

2021年6月までは前年同月比で2桁成長が50週間続き、不動産価格が高騰していましたが翌月から1桁台に落ち着き、高止まり感を見せています。

アメリカの不動産は、手堅い投資手法で知られる中国人投資家が積極的に購入していることもあり、安定性の高い不動産投資だと客観的にも判断できるでしょう。

4位.オーストラリア  : 2.85%

オーストラリアは、世界の富裕層の移住先ランキングで第1位を獲得している国です。南半球の中でも先進国に当たり安定性が高く、手堅い不動産投資先として知られています。

オーストラリアの不動産投資で着目すべきは空室率の低さです。全国的な空室率は2~3%程度で、日本の空室率が13.6%であることを考慮すると、その低さが際立ちます。

空室率が低ければ空家リスクも低く、安定した家賃収益が得られるでしょう。ただし、国土が非常に広いことから人口は都市部に集中しているため、投資先の選択肢が狭いという点に注意してください。

海外不動産投資のメリットとデメリット

それでは最後に、海外不動産投資に取り組むメリットとデメリットをご紹介します。

海外不動産投資のメリットは値上がりへの期待や、売買時にかかる税金が安い

日本と海外における不動産の決定的な違いは「資産価値が下がりづらい」ことにあります。日本では築年数が増すほど建物価格が下がり、土地価格の値上がりがなければキャピタルゲインを得ることは非常に難しい状況です。

一方、海外の不動産は築年数が増すほどに建物価格と土地価格が上がる不動産も多く、将来的なキャピタルゲインに期待できるというメリットがあります。国によっては利回りも高く、高い不動産収益も期待できるでしょう。

また、相続税やキャピタルゲイン税が安く、国によっては相続税がかからない場合もあります。不動産投資による収益を得るだけでなく、将来的には家族に資産を残したいという場合でも、海外不動産投資は非常に有効な選択肢なのです。

海外不動産投資のデメリットは、為替の変動や信頼できる不動産会社の少なさ

一方、海外不動産のデメリットには、カントリーリスクによる不動産価格や為替の下落、購入規制などがあります。

とりわけ為替変動には注意しなければいけません。不動産価格が上昇したタイミングで売却しても、為替が下落していればキャピタルゲインは大きく減少します。国によってはカントリーリスクの予測がつかないため、過去の経済成長率や将来的な展望などを十分考慮しながら、適切な海外不動産投資先を選びましょう。

さらに、海外不動産投資では信頼できる不動産会社を見つけるのがまずは困難です。現地不動産と直接交渉する場合、足元を見られてしまう可能性もあるので注意しましょう。

海外不動産投資へ取り組む際は、現地に太いパイプを持ち、実績豊富な日本の不動産投資パートナーへ相談することをお勧めします。

まとめ

いかがでしょうか?海外不動産投資は難しく考えられがちですが、信頼のおける不動産投資パートナーの存在があれば、難しいものではありません。資産形成の選択肢として、海外不動産投資をぜひご検討ください。