2021-07-19

フィリピン不動産投資の物件購入手続きと特徴について解説

  • 海外不動産コラム

成長著しい東南アジアの中でも、フィリピンは特に有望な投資先です。フィリピン不動産投資が持つメリットやリスクなど特徴のほか、物件購入の手続きについて解説します。

フィリピン不動産投資の特徴

フィリピン不動産投資の特徴は、長期的に大きな利益を狙える一方で、外国人向けの規制があることや中古物件を購入しづらいことなどです。

物件値上がりの期待が大きい

フィリピン不動産投資が持つメリットとして、人口増加や経済成長に伴う物件値上がりを期待できる点が挙げられます。東南アジアの新興国では全般的に人口増加率が高めに推移していますが、フィリピンの人口増加率は東南アジアの中でも特に高水準です。

日本ではすでに人口減少期に入っているほか、例えばタイなどはすでに平均年間人口増加率が0.5%を下回るなど、成長の勢いに陰りが見え始めています。フィリピンでは2015年から2020年までの人口増加率が1.4%と高水準を維持しているほか、国全体の人口が1億人を超えるなど、その国力は大きく成長中です。

※参照:国際連合

人口が増加しているエリアでは住宅需要が拡大するため、住宅価格の値上がりを期待できます。フィリピンもまた、今後の値上がりを期待できるエリアの1つです。

外国人向けの規制がある

今後も住宅需要の拡大を期待できるフィリピンですが、不動産投資を進めるにあたっては、外国人向けの規制に注意を要します。フィリピンでは外国人個人による土地の保有が認められていません。

また、戸建住宅は土地と同様に登記されるため、フィリピン不動産投資では土地と建物の登記が切り離されているコンドミニアムが主な選択肢となります。なお、法人であれば土地の保有は可能ですが、資本の60%以上をフィリピン人が出資していることが必要です。

また、名義貸しなどは処罰対象となるため、フィリピンの土地へ出資する目的で法人を設立するのは、あまり現実的ではないと言えます。フィリピン不動産投資では、日本国内のように物件種別による比較などができない点に要注意です。

不動産会社による客層の違いに要注意

フィリピン国内には大きな実績や歴史を持ったデベロッパーが複数存在します。例えばアヤラランドやシシャングプロパティなどは、代表的なフィリピンの大手デベロッパーです。

しかし、大手のデベロッパーが販売している物件には、富裕層向けの高級物件も少なくありません。高級物件は価格の高さから利回りが下がるほか、入居者が富裕層や外国人駐在員などに限定されるため、空室リスクに注意が必要です。フィリピンでは、大手のデベロッパーが客層ごとにグループ会社を設立していることも少なくありません。

しかし、デベロッパーごとの客層を判別できないと、低所得者向けの物件に当たってしまうこともあります。低所得者向けの物件では、価格が安い一方で施工が粗雑なものもあり、長期の運用に適さないことも多いものです。そのほか、外資のデベロッパーが開発している物件にも注意を要します。

外資のデベロッパーは、物件の売れ行きが良くないと撤退してしまうこともあります。建設工事の途中でデベロッパーが撤退してしまった結果、物件の引き渡しを受けられないリスクに要注意です。

外国人は中古物件をなかなか購入できない

フィリピンでは国として成長途上にあることから、日本と比較すると不動産市場の整備も道半ばの状態です。このため、フィリピンの不動産市場では、中古物件の情報が日本ほどオープンになっていません。個々の不動産エージェントが売主から物件売却を依頼されて情報を持っているケースも多く、不動産ポータルサイトなどにアップロードされている情報は少ないと言えます。

日本人の投資家が現地の不動産エージェントに直接コンタクトするのはハードルが高いため、フィリピン不動産投資では、中古物件を購入できるケースは少ない点に要注意です。

フィリピン不動産投資の物件購入手続きについて

フィリピン不動産投資における物件購入手続きについて解説します。なお、失敗を予防するために重要なポイントは、最初に投資目的を設定することです。

投資目的の設定と物件の選定

フィリピン不動産投資を始める場合も、日本国内での不動産投資などと同じように、投資目的の設定が重要なポイントです。投資目的によって適した物件は異なります。

なお、大まかな投資目的を設定したら、希望の条件について具体的な数字で決めておくと物件選びに失敗しにくくなります。具体的な希望条件とは、例えば希望の利回りやキャッシュフローのほか、物件購入予算や特に軽減したいリスクなどです。

「何でもいいからおすすめの物件を紹介してほしい」などの依頼では、不動産エージェントもどんな物件を勧めれば良いか見当がつきません。また、不動産エージェントが売りたい物件は必ずしも良質な物件とは限らないため、リスク軽減の観点からも投資目的と条件の設定は重要なポイントになります。

希望の条件が固まったら、複数の不動産エージェントにコンタクトを取って、物件を比較するのがおすすめです。提案された物件と不動産エージェントの対応の質とを見極めながら、不動産エージェントと物件を選ぶと良いでしょう。

物件購入の予約及び手付金の支払い

希望に適う物件が見つかったら、物件購入の予約申し込みを経て手付金を支払います。手付金の金額は売主や物件によって異なりますが、物件価格の数%などに設定されるのが一般的です。なお、フィリピン不動産投資の支払いは現地通貨であるフィリピンペソで進めます。

可能であれば、物件選びの際に現地視察するとともに現地の金融機関で口座開設しておくのがおすすめです。日本の金融機関からフィリピンの銀行口座へ送金することもできますが、送金するたびに外為送金の手数料がかかります。日本国内での送金と比較すると外為送金の手数料は高額なので、あらかじめフィリピンの銀行口座にお金を預け入れておくのが賢明です。

なお、手付金送金後の支払いについて、分割払いや一括払いなど選べるケースもあるので、物件選びの時点であらかじめ確認しておくと、支払いの計画を立てやすくなります。

売主との契約締結およびローンの申込

手付金の着金が確認されたら、売主と売買契約を締結します。フィリピン不動産の売買契約書は英語で書かれていますが、トラブルを防止するためには内容の把握が重要です。キャンセル条項や手付金の返金などについては特に、サインする前に確認を要します。

また、物件購入にローンを利用する場合は、売買契約の締結後に金融機関へ申し込み手続きをします。なお、海外不動産投資では、ローンを利用しても物件価格の半額程度は自己資金を求められることがあるので要注意です。

決済及び引渡

ローン審査を通過したら、残金決済及び物件の引渡しに移ります。なお、融資額が振り込まれるのは売主の指定口座なのか、買主の銀行口座なのか先に確認しておくと、手違いによるトラブルを防止可能です。残金の決済も確認が取れたら、物件の引渡しに移ります。

なお、フィリピンを含む海外不動産投資では、家具家電が入っている状態で賃貸するのが一般的です。このため、物件の引渡しに合わせて家具家電を選定します。売主のオプションとして家具家電が用意されている場合もあるので、手間を省きたい場合はオプションを利用するのも有効です。

まとめ

フィリピン不動産投資には物件の値上がり益などを狙えるメリットがある一方で、不動産会社の選定などは慎重に進める必要があります。フィリピン不動産投資を進めるうえで重要なポイントは、最初に投資目的を設定し、目的に適う物件を選ぶことです。希望条件が具体的に固まっているほど、物件選びに失敗する可能性を減らせます。

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