不況のイメージがいまだに残るギリシャだが、居住権が手に入る「ゴールデン・ビザ」を求める中国人の増加で、景気は回復しつつある。

ギリシャの「ゴールデン・ビザ」プログラムは、25万ユーロ(約3,000万円)以上の不動産を購入することで5年間(更新可能)の滞在許可を取得することができる制度である。EU加盟国でこのような制度を取る国はギリシャだけではなく、ポルトガルやキプロス、スペインなどにも同様のプログラムが存在する。

これまでのところ「ゴールデン・ビザ」の取り組みは功を奏しているようで、昨年における非EU市民へのビザの発給は46%増加した。2013年に開始されてから約5,300件のビザが発給されているが、内3,400件は中国人によって取得されている。

中国とギリシャは、2008年に中国海運大手のCosco社がギリシャ最大のピレウス港のコンテナターミナルの運営権を取得して以来、安定した関係構築を進めてきた。

ギリシャは今や中国人にとってEUへの旅行先ではなく、新しい生活の場として認識されているという。首都アテネや郊外にチャイナタウンを形成し、アパートを一棟丸ごと所有する中国人オーナーも見られる。

しかし「ゴールデン・ビザ」プログラムについては、懸念すべき点もある。今年初旬、欧州委員会は、「ゴールデン・ビザ」プログラムは脱税やマネーロンダリング、安全上のリスクにつながる可能性があるとし、特にキプロス、ブルガリア、マルタの3か国において乱用されているきらいがあると注意を促す報告書を発表している。こうした背景がありながらも、ギリシャは外国人投資家を受け入れることに積極的な姿勢を見せている。

事実、「ゴールデン・ビザ」プログラムによって、ギリシャの不動産市場は再び活気を取り戻している。ギリシャ中央銀行の試算によると、2018年は中国人から総額4億6,900万ユーロ(約564億円)の投資を集め、今年においては前半だけで4億4,300万ユーロ(約533億円)に達しているという。(2017年は総額7,700万ユーロ(約92.6億円))

Photo:Shutterstock

【参照】Chinese investors take a shine to Greece's 'Golden Visa' scheme

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セカイプロパティ編集部
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