近年マレーシアでは多くの住宅開発が進み、供給過剰も懸念されている。現地の人々が手頃な価格の住宅を購入しないのには、いくつか理由がある。手頃な価格の物件は、公共交通機関の駅から離れていることが多く、この点がネックとなっているというのだ。

そこに目をつけたのがRAC(Railway Assets Corporation)である。RACはマレーシア運輸省所轄の法定組織であり、セランゴール州内に1,400ヘクタールに及ぶ土地を所有している。その土地を利用して、手頃な価格の住宅開発を進める案があるという。

駅などに近い場所に住宅を建てることで、公共交通機関の利用率を高めることができ、人口増加や経済成長も期待できる。また今後10年以内に手頃な価格の住宅を100万件建設するという政府の指針とも一致する。

RACはすでにMBI(Menteri Besar Selangor Incorporated)社との協議書にサインしており、今後手頃な価格の住宅開発を含む公共交通機関を重視した戦略的鉄道用地の開発が進められる予定である。これからプロジェクトの詳細部が詰められていくことになるが、すでにバンギ駅周辺など、住宅地としての利用が決まっている土地もあるという。

駅に近い土地は価値が高く、このような土地で住宅開発を進めることで、RAC側にも大きな利益が見込まれる。香港の例を見てみると、鉄道路線システムMTRの利益は、乗車券の売上によるものばかりではない。

MTRが所有する土地には数多くのビルが建ち並んでおり、交通の便が良い戦略的な区間であるため、高い賃貸料を維持しているのである。

今後は、開発による利益を継続的に得られるようにすることが重要となる。

【参照】Affordable homes on RAC's railway land

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セカイプロパティ編集部
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