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2018-02-07

ヨーロッパでブーム?木造の高層建築(CLT)の未来

  • 海外不動産ニュース

世界の最先端を走る街 オーストリアの田舎町ギュッシング市

世界中から、年間三万人もの視察が殺到している街がある。それは、ハンガリーとの国境の町・ギュッシング市だ。

人口4000に満たない市が注目されている理由。それは、世界先端の発電施設だ。

20世紀を通して、極めて貧しく、西側諸国の中で最後尾を走っていた街であったが、2000年以降には、バイオマス産業で世界の最先端を走っている。

ギュッシング城と並んで、町を訪れる者の目を引くのが巨大な発電施設だ。

敷地内には、山のように木材や、それを砕いたチップが積まれている。ギュッシングには、こうしたバイオマス発電が三基あるほか、三十近いバイオマス関連施設があり、町全体の電力や熱を賄っている。

バイオマス発電を効率化するために、バイオマスが占める割合を飛躍的に高める「地域暖房」という仕組みがある。地域暖房は、発電の際に出る排熱を暖房や給湯に利用する、「コジェネレーションシステム」を実現しエネルギーの自給率を72%達成

した。 エネルギーの自給率は、オーストリア全体で10%、日本はわずか0.3%であることを考えると、小さな町とはいえ驚異的な数字だ。

またギュッシングに13年間に50もの企業が進出し、計1100人の雇用を生み出した。現在、市の税収は1993年の34万ユーロから2009年には150万ユーロと4.4倍になった。

これにより、各種交通インフラの整備も進み、ヨーロッパ一貧しかった国の面影を微塵も感じさせない街へと変貌を遂げたのだ。

ロンドン、イタリアでも進む、木造高層建築

コンクリート並みの強度を誇る新しい集成材、CLT(クロス・ラミネイティッド・ティンバー)を利用した、木造高層ビルが、オーストリアの都市部にどんどん建ち並び始めている。

CLTとは、ひき板(ラミナ)を並べた後、繊維方向が直交するように積層接着した木質系材料

CLTはオーストリア南部のカッチュ・アン・デア・ムアという小さな村にある製材所から生まれた。

CLT建築は、単に強度に優れているだけでなく夏は暑く、冬は寒い石造りや鉄筋コンクリートより快適な住環境を提供している。

オーストリアの小さな村から生まれた技術は、1995年頃からオーストリアを中心として発展し、現在では、イギリスやスイス、イタリアなどヨーロッパ各国でも様々な建築物に利用されている。

また、カナダやアメリカ、オーストラリアでもCLTを使った高層建築が建てられるなど、CLTの利用は近年になり各国で急速な伸びを見せている。

戸建て住宅はもちろん、中高層の集合住宅でのCLT利用は増え続け、CLTの生産量はヨーロッパ全体で、7年間で20倍、50万立方メートルに増え、ヨーロッパにおける生産量400万立方メートルの8分の1まで成長した。

ロンドンにはなんと、9階建のCLTビルまで登場しているのだ。

産業革命以来の革命

今まで我々は、石炭や石油など多くのエネルギーを費やしてきた。石炭や石油は有限である。セメントや鉄の生産には途方もない額の生産が必要だ。

今後、管理すれば無尽蔵にある資源の木材と共存しながら発展していくことは真の革命になる。

またオーストリア人には木目の温かい外壁を活かしながらも、赤や黄色のパステルカラーのデザインをあしらったおしゃれなアパートは非常に人気だ。天然の木材が使われていたり、熱を逃さないことで冷暖房費も安く住むことはメリットとして大きいという。

日本でもCLT革命がおきる

日本では建築基準法の大きな壁がたちはだかっている。建築基準法上3階建て以上の木造建築は制約が多いのだ。

2010年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が策定され、学校などの木造化が進められてきたが、それでも新規に着工される木造建築物のうち、木造はわずかに8.3%にとどまっている。

現状を打破しようと2012年1月、岡山県真庭市の建材メーカー社長の中島浩一郎氏は、鹿児島、鳥取の製材会社と連携し、「日本CLT協会」を設立した。中島氏はこれまで、製材の時に出る木くずを利用した発電事業を行い、本格的な普及に向け、乗り出した。

中島氏は何度も永田町や霞が関に足を運び、国会議員や行政に法改正の必要性を訴えてきた。ついに中島氏が念願していた耐震実験が行われ実用化に向けての大きな一歩を踏み出した。

2016年度は告示に基づく、構造計算等を行うことにより、大臣認定を個別に受ける必要があった。

しかし、CLTの材料の強度やCLTを用いた建築物の地震時の挙動が確認されたため、準耐火構造にて建築可能な3階建以下の建築物においては防火被覆無しでCLTを用いることができるようになった。

今後、CLTが日本の産業構造を根本から変えていく起爆剤となる日も近いかもしれない。

参考図書:藻谷浩介. ”里山資本主・日本経済は「安心の原理」で動く”.角川新書 ,2013年,p91-p116

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