2017-12-19
MSCステータスとは?実際にマレーシアで取得した会社がメリットを解説
- 海外不動産コラム
マレーシア政府は近年、海外からの投資や事業を積極的に誘致する政策を採っています。
その中でも特にITやマルチメディアに関わる外資企業の誘致を推し進め、マルチメディア産業をマレーシアの一大産業に育てようとしています。
その中で、「MSCステータス」という外資IT企業に対する認証・優遇制度を行なっていることをご存知でしょうか?
本稿では、マレーシアでビジネスを考えている方必見の「MSCステータス」について解説します。
MSCステータスとは?
マレーシア政府は、1991年に「2020年までに先進国になる」という目標を掲げた「ビジョン2020」という政策を打ち出しました。
この政策は、2020年までに労働集約型産業から知識集約型産業へと産業構造の転換を図流という壮大な計画です。日本における60年代の国民所得倍増計画を想像していただけるとわかりやすいかもしれません。
1996年には、当時の首相であるマハティールがビジョン2020の一環として国家プロジェクト「MSC(マルチメディアスーパーコリドー)計画」を打ち出しました。これは自国を東南アジアのITハブにするために海外先進国からの関連産業の積極的な誘致を行うというものです。
誘致の推進のために要件を満たした企業に対しては、各種の優遇措置や特典を与えており、これらを総称して「MSCステータス」と呼んでいます。MSCステータスは、マレーシア・デジタル・エコノミー公社(略称:MDEC)という政府系企業が認証からサポートまで幅広く担っています。
MSCステータスを取得した際のメリット
MDECからMSCステータス認定を受けた企業は、納税や外国人知的労働者の雇用において優遇措置を受けることができます。
MSCステータスを受けた企業への主な特典は下記の通りです。
- 最長10年間、法人税を免除
- 日本人を含む外国人の自由雇用
- マルチメディア関連機器の輸入税免除
- 外資規制の撤廃
税金面での優遇もさることながら、特筆すべきは「日本人を含む外国人の自由雇用」が保証されることでしょう。通常、マレーシアでは外国人労働者の人数やビザ発給に制限をかけています。それが無制限発給となることは多くの日系企業にとっても朗報でしょう。
MSCステータス取得企業への義務
MSCステータス取得後には、企業はMSCステータス維持のためにいくつかの義務が課されています。
ステータス維持のために企業に課される義務は以下の通りです。
指定された建物への事務所設立
クアラルンプール市内やサイバージャヤの指定されたオフィスビルに事務所を設立する。
四半期ごとの進捗報告義務
四半期ごとにオンラインでMDECへ決算等の報告を行う。
年間の進捗報告義務
毎年12月末にオンラインでMDECへ年間の決算等の報告を行う。ここで問題になるのは「⑴指定された建物への事務所設立」でしょう。クアラルンプールにも設立は可能ですが、指定された事務所に入居しなければならないことは予め理解しておくことが必要です。
MSCステータス取得の難易度
上記で見たように、MSCステータスはマレーシアへ進出を考えている企業にとっては、非常に魅力的な制度です。しかしながら、ここ数年で取得のためのハードルは高くなってきていることが実情のようです。
取得のためには、クアラルンプールから離れたサイバージャヤにあるMDECオフィスへ何度も赴き、3年間のビジネス計画や収益計画、職員の経歴などを説明する必要があります。
まとめ
MSCステータスは、マレーシア政府肝いりの計画のため、マレーシアのみならず東南アジア全体へビジネスを進出させたいIT企業にとってはとても魅力的な制度だと言えるでしょう。

