2017-12-27
マレーシアの巨大都市開発プロジェクト、「フォレストシティ」の全貌
- 海外不動産コラム
出典:ForestCityCountryGarden.com.my
マレーシアのジョホールバルで進行中の壮大なプロジェクト「イスカンダル計画」をご存知でしょうか?
ジョホールバルは、マレー半島の南端に位置しシンガポールに隣接する都市です。この都市で、2006年より世界的な大規模複合都市開発であるイスカンダル計画がスタートしました。
この計画はマレーシア政府とシンガポール政府が共同で巨大経済特区を作り出すことを目的としており、住宅や商業施設開発に止まらず、中心部では行政、金融、さらに教育およびエンターテイメント関連施設を集積、また、郊外の工業団地に製造、物流業を誘致するなどの包括的な都市計画となっています。
今回は、そのイスカンダル計画と並ぶほど、いやそれ以上の壮大なプロジェクトとして掲げられている「フォレストシティプロジェクト」を紹介させていただきます。
フォレストシティプロジェクトとは?
マレーシアの南端にあたるイスカンダル・プテリ南方のジョホール海峡というエリアがあります。そこに「フォレストシティプロジェクト」という巨大な都市開発プロジェクトが行われています。
プロジェクトの内容を分かりやすく言うと、マレーシアとシンガポールの国境にあたる部分に埋め立てにより4つの人口島を造成し、その上に巨大な環境複合都市を開発するというプロジェクトのことです。
投資規模や開発規模を含めても前例の無い大きさであり、世界から今最も注目されている都市開発プロジェクトのことです。
現在マレーシアとシンガポールを繋ぐ橋は2つあり、東側の橋をコーズウェイ、西側の橋をセカンドリンクと呼んでいるが、この人工島はこのセカンドリンクの更に西側に作られる予定です。
本計画によって生み出されるエリアの総面積は約20平方㎞。日本の東京都港区全体に相当する規模にあたる巨大プロジェクトです。尚、この地はシンガポールまで僅か約2kmの立地となり、イスカンダル計画よりも更にシンガポール寄りに位置することになります。
主事業者は中国系の大手企業
本プロジェクトは中国政府が2014年に提唱した「一帯一路」構想を背景に計画されたことから、事業者としては中国系の大手企業であるカントリー・ガーデン・パシフィックビュー(CGPV)が担っています。
フォレストシティの開発においては多数の住宅や商業施設、ホテル、オフィス、病院、学校、国際会議場等も含むことになるが、基本的にはこのCGPVによる単独プロジェクトとなります。
現時点ではスマートビジョンのコンサルとしてAccentureやEDSB、Huawei等、様々なグローバル企業とスマートエコシティを建設するためのパートナーシップを結んでいます。
未だかつて無い投資額のボリューム
マレーシア政府は、フォレストシティにおける今後20年の総投資額として、イスカンダル計画全体の投資額の半分に相当する約5兆円を見込んでいます。
計画によると、フォレストシティ内の人口は2050年までに70万人に達すると想定されている。
これは東京都の人気居住エリアである港区・渋谷区・新宿区の総計に匹敵する数であり、この人口を受け入れるためには、少なくとも新たに10万戸以上の住宅物件が供給されることになります。
最終的な総投資額は約1,000億米ドル(約10兆円!)に上る予定とも言われておりそのスケールの大きさがうかがえます。
急ピッチで進捗する計画スケジュール
もともとは海であった場所であるが、2016年2月には土台となる地表面だけでなくフォレストシティ内にセールスギャラリーをオープンさせました。ここまでプロジェクトが開始してから1年足らずしか経っていない。このことからも作業スピードの早さを伺い知ることができるでしょう。
ちなみにこのセールスギャラリーは将来ショッピングモールとしてオープンする予定の部分を利用して作られているため、規模が桁外れに大きいのです。
そこでは人工島の中に建設される予定である竣工前物件の販売を開始しましが、瞬く間に20数棟ものコンドミニアムが買い占められて完売状態になるという、異常な状態が続くプロジェクトとなっています。
現在はそこにはなんと、500名以上の販売員さんたちが不動産物件販売業務に勤しんでいるといいます。先に記載した通り、主事業者が中国系であるため、販売プロモーションも中国本土で積極的に展開しており、フォレストシティの住宅の多くは中国本土の投資家によって取得されています。中国本土の投資家を乗せたバスが連日そこへ到着し、その場で取得契約を済ませる投資家が後を絶たないとのことです。
2016年から中国の広州とジョホールバルを結ぶ格安航空の直行便が就航しているが、乗客の大半が不動産投資家のケースも多いようです。
フォレストシティの4つの特徴
交通アクセスの改善
イスカンダル計画と同じように、クアラルンプールとシンガポールを結ぶ高速鉄道に隣接することになります。
シンガポールのオーチャードロードまで39キロ、ジョホールのセナイ国際空港まで40キロの距離に位置し、空港とのアクセス改善により主要ASEAN国々へは4〜8時間のフライト時間の距離で移動が可能です。
歩道と車道の完全分離
地上には車道が全く無く、公共交通機関のみを設置して街全体の往来をサポートしています。道路及び駐車スペースは地下に配置し、歩行者と車の往来を完全に分離することで住民の安全を確保します。
税制優遇エリア
フォレストシティ内の不動産は、永遠所有権の不動産であり相続税も無税となります。
独自のC.I.Qを設置
※C.I.QとはC(Customs:税関)、I(Immigration:出入国管理)、Q(Quarantine:検疫)を意味し、これらをフォレストシティ内に設置することにより、シンガポールとの往来がより手軽に可能となります。
フォレストシティの将来
フォレストシティは、先行する他のプロジェクトよりもシンガポールに近い地理的優位性や、新たな環境都市のコンセプトによって一層のブランド価値を形成しようとしています。セカンドリンクからの直結道路やフォレストシティ内に新設されるC.I.Qにより、特にシンガポールへのアクセスに優れたエリアになると見込まれます。
行政面でも、免税商業区域や進出企業への優遇税制などを設定し、内外を問わず店舗および企業の誘致に積極的です。
既に、商業施設やホテル、ビーチパーク、プール等、島の一部が完成している状態であるが、本格稼働し始めるのは2026年、全て完成するのは2036年頃と計画されています。
今後の海外投資戦略の知識としては是非とも頭に入れておきたいフォレストシティプロジェクト。今、東南アジアでも最もホットな場所であることは間違いなく、そのポテンシャルは計り知れません。

