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2017-08-21

日本人が海外に法人を設立した時の留意点

  • 海外不動産コラム

昨今、グローバリズム、いわゆる世界の一体化(グローバリゼーションを進める思想がさかんとなり、多国籍企業が国境を越えて自由貿易および市場主義経済を全地球上に広げるのはごく自然になっていますが、インターネットを含むICTの拡大でますます国境の壁がなくなると感じる人も多い事でしょう。

日本では海外旅行は夢のまた夢の時代がありましたが、近年、個人でもLCC(格安航空会社)を利用する事もでき、気軽に海外渡航ができる時代です。

その様な環境も後押しして、海外に法人を設立したいとお考えの方は多いと思います。

海外進出形態によりますが、ここでは海外に設立した場合の会計処理、決算及び税務リスクについて説明したいと思います。

現地の会計、税務に基づく決算・申告

法人税を課税するためには、課税所得を計算しなければいけません。その際に決算が必要となります。その決算で利益が確定し法人税申告を行う場合には、その国に法人が存する場合と、恒久的施設(PE: Permanent Establishment)(※1)がある場合に分けられます。

また、現地で要求される決算の方法により、法人税申告の方法は国もしくは地域によって異なります。現地の適切な専門家のアドバイスに拠ることが必要と考えます。

その他税務に関しては、所得税、物品サービス税(日本の消費税)、固定資産税、印紙税、関税等さまざまな税金があり、国によってはその税金が存在するケースとないケースがあります。

※1恒久的施設

「恒久的施設」という用語は、一般的に、「PE」(Permanent Establishment)と略称されており、次の3つの種類に区分されています。

・支店、出張所、事業所、事務所、工場、倉庫業者の倉庫、鉱山・採石場等天然資源を採取する場所。ただし、資産を購入したり、保管したり、事業遂行のための補助的活動をしたりする用途のみに使われる場所は含みません。

・建設、据付け、組立て等の建設作業等のための役務の提供で、1年を超えて行うもの。

・非居住者のためにその事業に関し契約を結ぶ権限のある者で、常にその権限を行使する者や在庫商品を保有しその出入庫管理を代理で行う者、あるいは注文を受けるための代理人等(代理人等が、その事業に係る業務を非居住者に対して独立して行い、かつ、通常の方法により行う場合の代理人等を除きます。)。 国税庁HP:タックスアンサーより。



海外会社設立に伴う税務リスク

以下に、一般的に発生されると予想される海外設立後のリスクについて、順を追って説明いたします。

★タックスヘイブン対策税制

日本の法人税法に規定されているタックスヘイブン対策税制(外国子会社合算税制)は、内国法人等が特定外国子会社等を有する場合に、つまり日本法人が外国法人を保有している場合に一定の条件で、その海外の利益を日本の内国法人の収益とみなして合算課税するものです。その海外の対象会社(特定外国子会社等)は、日本の居住者、内国法人によって発行済株式総数の50%を超える株式数を、直接又は間接的に保有されている事が条件とされており、また租税負担割合が20%以下であるものとされています。


このタックスヘイブンとは特定の税金が極めて低いか、まったく課税されない国、地域を指します。「パナマ文書」のこのパナマも同様な地域といえます。


★移転価格税制

移転価格税制は、海外子会社等との取引価格の操作を通じて、海外に所得を移転することを防ぐのを目的とした税制です。簡単に言いますと国と国の税の取り合いです。グループ企業ではない第三者との取引価格(「独立企業間価格」と言います)と比較して、金額に差異が生じる場合、独立企業間価格で取引したと見なして課税されてしまう制度です。

平成28年度の税制改正により、日本においても移転価格文書化が義務化されました。

知らなかったでは済まされません。移転価格税制への対応は、小さな判断ミスが大きな課税リスクとなり得るため、移転価格文書化資料の作成にあたっては専門家と共に対応方法を検討することが重要です。また、もし税務調査が行われる場合には、適切な処理をしなければ調査自体も大変長くなることが予想されます。


★過小資本税制

過小資本税制とは日本と外国法人との間で、日本法人側の所得を外国法人へ移転することを防止する税制です。

具体的には、資金調達の例で考えてみましょう。もし低税率の外国法人が日本法人へ出資を行い、業績に応じて日本法人が外国法人へ毎年配当を支払ったとしましょう。日本法人が支払う配当は元々経費に計上できません。それでは、日本法人が外国法人からの借入金を増大させ、その借入金に伴う支払利息も多く計上したらどうでしょう。経費計上になりますから所得を減少することができます。(経費を計上すると利益が減り、結果、税金が減るという事になります。)これを防止するのが当制度です。その借入金は外国法人等の資本持分の三倍を超えてはいけないことになっています。


★外国税額控除(二重課税)

国と国の取引は、法律も違うため租税制度もまた違うことになります。そのためどうしても二重課税が発生してしまいます。それは配当やロイヤリティを払うときの支払時に課税され、また受領時にまでも課税されてしまうケースです。

例えば、自分の国の個人や法人を中心に考え、その居住地がある国に課税権を主張できることを居住地国課税といいます。その反対に所得の発生した国に課税ができる考えを源泉地国課税といいます。

このように課税方法の違いにより、海外取引では課税権の取り合いが発生してしまいます。そこで、支払った税金を自国の税額から外国税額控除をしたり、二国間の租税条約の適用で可能な限り免税、減税などの調整を図ったりします。

最後に、これまでの内容について日本国内はもちろん海外においても、是非、各専門家にご相談下さい。



著者:今野 真輔


事務所名:ラポール会計事務所

所有資格:税理士、行政書士

所属団体:東北税理士会

専門分野:国際税務・海外進出、宗教法人、

不動産賃貸、スポーツ選手、会社設立・創業

経歴:

平成四年に東北学院大学法学部卒業

同年、仙台国税局入局

法人税、所得税を中心に税務調査を担当。

勤務しながら、日本大学で会計学、

米国カリフォルニア州立大でのプログラムで

米国の会計、税務を中心に学ぶ。

平成二七年、仙台国税局辞職

同年、税理士、行政書士を取得し、

「ラポール会計事務所」開設