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2017-08-09

日本投資家がアジア各国の不動産を取得・保有・譲渡する際に課される税金

  • 海外不動産コラム

松永 容明

松永 容明 税理士事務所 所長





今回は、前回に引き続いて、アジア各国にうち、タイ、フィリピン、マレーシア、香港、台湾の不動産を取得、保有、譲渡取引に課される税金についてご説明申し上げます。なお、実際の意思決定は、現地の専門家にご相談の上行ってください。また、この報告にあたって、前回同様、伏見俊行編『アジア 税の基礎知識』(税務研究会 平成28年)を参照しました。従って、平成28年以降の改正等はフォローしていません。

E. タイ不動産の税金

1.不動産取得時

印紙税が一定の文書または証書(契約書、株券等)の作成に対して課されます。税率の詳細は、歳入法附則の印紙税額表に定められていますが、契約書は、1000バーツにつき1バーツです。実際の負担者及び印紙の消込者に規定は印紙税額表に記載されています。

2.保有時

(1)土地家屋税(Land and Building Tax)が賃貸不動産(土地、家屋)の所有者に対して課されます。税率は、年間賃貸評価額(見積額)または実際年間賃貸料のいずれか高い額に対して12.5%を乗じた金額になります。毎年2月までに地方の地区事務所または市役所に申告書を提出します。  

(2)所得税

1暦年に180日以下タイに滞在した者は、非居住者としてタイ源泉所得(タイに所在する不動産から生じる所得)に対して所得税が課されます。税率は0~35%の累進課税です。

3.譲渡時

所得税が課されます。2、保有時 (2)を参照してください。

また、印紙税が課されます。1.不動産取得時をご参照ください。

F. フィリッピン(フィリピン)不動産の税金

1.不動産取得時

付加価値税の対象になりますが、納税義務者は譲渡をした者です。課税標準は、総譲渡価格(Gross Selling Price)であり、売買契約書等の書類に記された金額もしくは公正市場価値(Fair Market Value)のいずれか高い金額です。税率は12%ですが、対価の額が1500,000ペソを超えると、10%に縮減されます。

印紙税が施行されていますが。不動産売買契約書に印紙添付が必要かは、現地の専門家に確認をお願いします。

2.保有時

所得税が課されます。必要経費として、合理的に計算された減価償却費は、控除できます。税率は、5%から32%の累進課税です。

3.譲渡時

付加価値税の対象です。詳細は1.不動産取得時の付加価値税をご参照ください。

また、所得税が課されます。


G.マレーシア不動産の税金

1.不動産取得時

印紙税が不動産の売買契約書を作成した場合に課されます。金額は次の通りです。

譲渡金額RM10万まで:RM100ごとにRM1(端数切り上げ。以下同じ)

譲渡金額RM10万超~RM50万まで:RM100ごとにRM2

譲渡金額RM50万超~                    :RM100ごとにRM3

2.保有時

地方税たる固定資産税(土地に対しては、Quit Rent, 建物に対しては、Assessment)が課されます。

不動産賃貸所得に対して所得税が課されます。税率は、非居住者の場合26%です。確定申告は翌年4月30日までに電子申告し、同日までに納付することになります。

3.譲渡時

不動産譲渡益税(RPGT:Real Property Gains Tax)が課されます。税率は、保有期間が5年以内の場合は30%、6年目以降は5%です。

譲渡契約書に印紙税が課されます。

H. 香港不動産の税金

1.不動産取得時

香港内における不動産売買契約書を作成した場合に印紙税が課されます。税率は以下のとおりです。 

HKD

税率

200万HKD以下 

1.5%

200万HKD~300万HKD

3.0%

300万HKD~400万HKD

4.5%

400万HKD~600万HKD

6.0%

600万HKD~2,000万HKD

7.5%

2,000万HKD以上

8.5%



2.保有時

固定資産税(Rates:レーツ)は、香港政府が毎年公表する推定賃貸価格の5%を納税します。

資産所得税が、香港内に所在する不動産から生ずる家賃収入に対して課税されます。賃料収入の80%相当額に15%を乗じた金額が課税されます。

資産所得税額=年間賃料収入×0.8×0.15


3.譲渡時

香港内における不動産売買契約書を作成した場合に印紙税が課されます。税率は、1.不動産取得時の印紙税の説明を参照ください。

譲渡益に対しては、課税されません。


I.台湾不動産の税金

1.不動産取得時

印紙税が不動産売買契約書作成時に課されます。譲渡価額の0.1%相当額が課されます。

契約税が、不動産の買主に課されます。売買価額の6%相当額が課されます。


2.保有時

土地に対してその地価の1%~5.5%の割合で地価税が課されます。また、建物に関しては、評価額に対して、賃貸住宅用の場合は、1.5%~3.6%、営業用の場合は3%の割合で家屋税が課されます。

不動産賃貸所得に対しては、総合所得税の対象になります。税率は、5%~40%の累進税率です。40%の対象は、台湾非居住者の場合に台湾源泉所得の金額が4,400,000台湾元以上ある場合の、4,400,000台湾元を超過する部分です。


3.譲渡時

総合所得税の対象にはなりません。しかし、土地増値税の対象になります。地価が設定された土地であって、土地所有権移転の際の値上がり総額に対して、20%から40%の割合で課税されます。税率は保有年数により調整がされます。

なお、現在のところ、土地増値税は、日本で譲渡益を申告する際に、外国税額控除がみめられていません。したがって、譲渡益の計算上、必要経費に計上することになります。



著者:松永容明(まつなが ひろあき)


所有資格:税理士、MBA、LLM、CFP

所属団体:東京地方税理士会大和支部

事務所名:松永国際税務税理士事務所

専門分野:法人税や地方勢の税務申告の作成、海外税額控除、移転価格、

租税条約、税務調査、大手の外国系税理士法人との橋渡し・交渉

経歴:

1980年 慶応義塾大学商学部卒業 会計学専攻

1980年 東京国税局に就職、10年在職。所得税、資産税部門の調査を担当する。

1990年 朝日Ernst& Young税務事務所に転職

1993年 中央Coopers&Lybrandに請われて移籍する。

1995年 White&Case 外国法事務弁護士事務所の税務グループに移籍。

2000年 USB信託銀行 税務部門に移籍

2001年 トーマツの税務部門に移籍

2004年 トーマツ退社し、豪州ボンド大学のMBAコースに入学する。

2006年 MBA卒業。同年、神奈川県で、松永税理士事務所を開設する。







本コラムは、税理士、弁護士、不動産鑑定士などの専門家が執筆したコラムです。