2017-07-27

【専門家コラム】事例に基づいたハワイ不動産法解説:不動産の所有権の重要性

  • 海外不動産コラム

著者:ロイ・M・小谷

ロイ小谷法律事務所



日本でも根強い人気のあるハワイ不動産。以前のハワイ不動産に関する記事では不動産売買の基本を事例に基づき解説しました。今回はハワイで不動産を購入する際の所有権の重要性、種類について前回に引き続きロイ小谷法律事務所のロイ・M・小谷先生に事例を基に分かり易く解説して頂きました。 

1.ハワイ不動産を購入する際の所有権の重要性

事実:坂本さんがワイキキにある分譲アパートを購入する際の「購入同意書(Purchase Agreement)」に署名した時、坂本さんの仲介業者が所有権を移転するために、アパートメントの証明書(Apartment Deed)にはどの所有形態(Tenancy)を記載すべきかと聞きました。

質問:買主がハワイの不動産の所有権を取得するときに、所有形態(Tenancy)を選ぶことは重要なのですか?

回答:重要です。

法律解説:所有権は不動産が所有者によってどのように所有されるかを法律上で指定するものです。所有権は所有者が亡くなった時に所有権が、所有者の遺書に記された相続人または信託受益者(不動産の所有権などを譲渡される者)に移行する時に重要になってきます。

まず、所有権の種類について整理して、事例に基づいて各所有権(Tenancy)を取得する際のメリット・デメリットを見ていきましょう。

 

2.ハワイ不動産に関する所有権の種類

・単独不動産所有形態(Tenancy in Severalty):1個人が単独で持つ不動産の所有権のことです

・連帯不動産所有形態(Tenancy by the Entirety):この所有形態の下では、不動産が、結婚されたカップル、夫と妻が所有していることを意味します。第一配偶者が亡くなった後は生存配偶者が自動的に100%不動産の所有者となります。

・合同不動産所有形態(Joint Tenancy):このタイプの所有形態では、不動産の所有者が二人、もしくはそれ以上存在し、最後まで生きていた方が不動産の100%所有者になります。

・共同不動産所有形態(Tenancy in Common):このタイプの所有形態では、二人かもしくはそれ以上の所有者がおり、それぞれの所有者が自分の財産権を持っています。



3.事例を使ったハワイ不動産の権利の解説

前項において、ハワイ不動産の所有権を解説してきました。その権利を保持する方が亡くなった場合または譲渡した場合、その権利がどうなるのかについて見ていきたいと思います。

【事例A】所有権を1人で持っている場合

単独不動産所有形態(Tenancy in Severalty):1個人が単独で持つ不動産の所有権のことです

状況:坂本さんがご自身で分譲アパートを購入する場合(所有形態(Tenancy):単独不動産所有形態)

法律解説:坂本さんが亡くなった時、もし彼の信託受益者を名乗る被信託人(受託者、保管人など)を指す信託が無い場合、遺言検認(Probate)という司法手続きによって所有権を変更する必要があります。プロベートの司法手続きはJudge of the Probate Court(プロべート裁判所の裁判官)が司ります。ハワイでは司法管轄区域が四つあります。プロベート手続きは不動産の所在地の管轄裁判所によって行われます。検認手続きは一年から二年と長い時間をかけて行われます。長時間かかるのは、遺言検認は弁護士によって行われなければならないからであり、弁護士費用、訴訟費用等は弁護士に払わなければなりません。



【事例B】所有権を夫婦2人で持っている場合

連帯不動産所有形態(Tenancy by the Entirety):この所有形態の下では、不動産が、結婚されたカップル、夫と妻が所有していることを意味します。第一配偶者が亡くなった後は生存配偶者が自動的に100%不動産の所有者となります。

状況:分譲アパートは坂本さんと彼の妻が所有している場合(所有形態(Tenancy):連帯不動産所有形態)

法律解説:第一配偶者が亡くなった時には、所有権は自動的に生存配偶者に移転することになります。例えば、坂本さんが亡くなった場合には、坂本さんの妻は所有権を移行する書類を書かなくても自動的に所有権が奥様に移行します。



【事例C】所有権を3人が共同で持っている場合

合同不動産所有形態(Joint Tenancy):このタイプの所有形態では、不動産の所有者が二人、もしくはそれ以上存在し、最後まで生きていた方が不動産の100%所有者になります。

状況:坂本さん、山田さん、川崎さんの三人が分譲アパートを購入しており、三人とも所有権を持っている場合(所有形態(Tenancy):合同不動産所有形態)

法律解説:川崎さんが亡くなった時には、自動的に坂本さんと山田さんが分譲アパートの残った所有者となります。そして、山田さんが亡くなった時には、坂本さんのみが分譲アパートの所有権を所持することとなります。よくあるお話が家族、例えば父、母、息子、などが不動産を購入する時には、彼らは合同不動産所有形態 (Joint Tenancy) のもとで不動産購入します。それ故、父が亡くなった時には、不動産は母と息子によって所有されます。そして、母が亡くなった場合には、書類を書かずとも、自動的に不動産は100%息子が所有することとなります。



【事例D】所有権を3人が3分の一ずつ持っている場合

共同不動産所有形態(Tenancy in Common):このタイプの所有形態では、二人かもしくはそれ以上の所有者がおり、それぞれの所有者が自分の財産権を持っています。

状況:坂本さん、山田さん、川崎さんが共同不動産所有形態 (Tenancy in Common) のもと、不動産を購入した場合(所有形態:共同不動産所有形態 (Tenancy in Common))

法律解説:それぞれの所有者が三分の一の所有権を持っていることになります。それぞれが三分の一の所有権を誰かに移行することも売ることもできます。坂本さんが亡くなった時には、彼の所有する三分の一の所有権を遺書か信託によって、相続人もしくは信託受益者に移行することができます。これは山田さんと川崎さんの場合も同様です。それぞれの所有者が自由に誰にでも権利を移行、または売ることができます。ただし、これは所有者が亡くなった場合のみであり、生存者から生存者への所有権の移行は自動的には行われません。

もしも購入者が所有権の成り行きについて詳しくないようであれば、購入者はハワイの不動産法に精通した弁護士と相談するといいでしょう。万が一間違った判断がされた場合、その間違いの結果は痛烈で損失の大きなものとなるかもしれません。





著者:ロイ・M・小谷

事務所:ロイ小谷法律事務所

経歴:ラファイエット大学 卒業

     ジョージ・ワシントン大学法科大学院 卒業

     大学院在学中にOren E. Long上院議員事務所及びMeyers & Batzell法律事務所に勤務

     ハワイ州司法副長官として不動産委員会及び税務局を担当

資格:ハワイの不動産仲介業者免許, ハワイ州弁護士

専門分野:不動産、商法、会社法、訴訟、国際法、信託、遺言法

使用言語:英語、日本語

著書:Open House: A Guide to Buying and Selling Hawaii Real Estate Published by University of Hawaii Press




本コラムは、税理士、弁護士、不動産鑑定士などの専門家が執筆したコラムです。
文章は著者の責任において作成されています。

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